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第2章 骸帝編
第31話 最悪のお告げ⁉︎ その名は骸帝‼︎
しおりを挟む「……う、うぅ……」
「大丈夫か?シーカー?」
シーカーが目を開けると、砂浜の上でSyoが心配そうに顔を覗いていた。シーカーは頭痛で頭を抑えながら起きた。
「いたたた……負けたか……」
「うん、負けたよお前は……それに見ろよあれ」
「……?」
シーカーが見たのは、あの青年がニヒルな笑みでシーカーを心配し、見に来たアルを口説いていた。アルが多少戸惑っていたのだ。
「やぁお嬢さん、何処かで見かけたような……」
「いやぁ……そのぉ~」
「そうゆう顔可愛いと思うよ」
「あ……ははは」
「あのなぁ……‼︎」
そんな青年を見て、怒りの顔を現し、拳を振り上げるシーカー。
ーーーーーーーーーーーーーー
「刻印を持つお前が、本当に俺と勝負したいが為にここに来たのか?」
「流石シーカー、お目が高い‼︎」
両手を紐で縛られているのに呑気に話している青年。そんな姿にSyoも呆れ顔だ。アルはとりあえずホームに返した。
「……こんな奴がねぇ……」
「まっ、僕がここに来た理由はちゃんとあるよ。それも重要な理由でね」
いきなり真剣な表情で言う青年にシーカーもSyoも驚き、青年に耳を傾けた。
「なんだ……それは」
そして青年は静かに語り出した。
「僕には水の刻印の他に1ヶ月先の未来からのお告げを聞ける能力がある。その光景には、骸帝と名乗る人工知能がこのAlterFrontierへと現れる。奴はこの世界で知能を蓄えて行き、このAlterFrontierのデータ世界を滅ぼす。やがて奴は現実世界のあらゆるコンピューターの中に侵入し、コンピューターの世界を滅ぼし、いづれかは核のボタンにまで及ぶ……」
こんなアニメや漫画の世界の話をさせられて、全員困惑した。
「……いきなり言われると、信じがたいな……」
「なら、僕の肩に掴まって、そして目を閉じてくれ」
「……」
シーカーとSyoは疑いながらも青年の肩に触れた。そして青年とシーカー達は目を閉じた。
すると、そこには黒く影に包まれた人型の何かがAlterFrontierの世界を破壊して、高らかに笑っている光景だった。そして、その前にはシーカーや青年が倒れていた。
「こ、これは……」
「これが骸帝だ……君や僕は挑んだが負けた……」
「……」
2人は肩から手を離し、お互いの顔を見合った。たしかに変な話だが、こんなにはっきりと光景を見た。勿論、このようなシステムはこのゲームにはない。この青年は運営側の人間なのか?それともNPCなのか、と2人は思った。そしてシーカーが聞く。
「……色々と聞きたい事が生まれたがいいかな?」
「いいよ、何でも」
「まず骸帝って何だ?」
「さっきも言った通り、人工知能さ。でもそんじょそこらのとは違う。10年も前にとある科学者達が自分達の知能などを与えて3つの人工知能を作り出した。だが、その奴は科学者達の予想を上回る成長を遂げ、科学者達でさえ分からない難解な数式でさえ解いた。すると世界は人工知能に感情という物と別々の性格を与えた。名は臆病なティミッド・意地悪なスパイト・そして頑固なスタボーンと。だが、それが間違いだった。世界の歴史、世界情勢、世界問題、それらを一気に与えた。そして彼らが導き出した答え……それは世界の破滅だった。この事態に科学者達はこの人工知能を消そうとした。だが、予想以上の知能をつけた彼らは自分達のコピーを大量に作り上げて、その間に3体の人工知能は逃げた。でも、そのうちのなんとか2体は破壊した。だが、残ったもう一体は何処かへ姿を隠した……それがスパイトであり、骸帝だ」
再び2人は顔を見合った。話にしてはかなり怪しいが、青年の真剣な表情に少し考え耽るシーカー。とりあえず信じようと2人はうなづき、シーカーは聞く。
「……10年も?ならその間に何故行動を起こさなかったんだ」
「スパイトは10年も姿を消して眠り、力を蓄えていた。そしてこの1ヶ月以内に目覚める」
「でも何でAlterFrontierに来るんだ?」
「AlterFrontierには、人がいる、壮大な世界がある……それに、強者がいる……」
「強者?」
「スパイトは人工知能の中では、1番荒い性格であり、攻撃的な発言ばかりをしていたらしい……」
情報がありすぎて頭が痛くなって来たシーカー。色んな情報がおおく困惑する中、Syoはふつうに青年へと聞く。
「その科学者達はどうなったの?」
「科学者達はその人工知能が逃げた後から一切情報はない。そもそも作った科学者達がいても手には追えん……」
そしてシーカーも再び聞く。
「でも、何でその事で俺を訪ねたんだ。刻印を持ってるからなのか?」
「あぁ……それもある。そして君の所に来たもう1つの理由は、君の実力を見に来た。弱かったらそこまでだ。だが君は僕の予想以上の力を持っている」
「そんなに骸帝って奴は強いのか」
「あぁ今の僕や君でも歯が立たない。だからお告げではこう言われた。"新たなる仲間達と刻印を持つ戦士を探せ"と……」
「新たなる刻印……俺の事か」
「君もだ……そして他にもこの世界にいるんだ……誰かは分からないけど」
「……?」
そこでシーカーはある事を思い出し、ツッコミを入れた。
「……ってお前戦っている時、君が2人目って言ってたよな‼︎」
「あぁ~あれね、嘘から出た誠って奴だよ。でも本当に刻印を持つ者は僕達以外にも何人かいるらしい……」
「それに何だよさっきの未来の光景的なのは?」
「あれは刻印を持つ者にある特殊な能力だ。僕の場合はお告げとその光景を簡単に写してくれる。君の場合は、その腕の反応さ」
「腕の反応?」
「それは刻印を持つ者が近くにいると、反応するみたいだね」
またシーカーはある事を思い出した。
「つまり深海にいたのはお前だったって訳か……」
「正解~‼︎まっ、その事も君の実力を知るためにやった事さ。あの正確に当てる実力、そしてブルダングを持ち上げる力、そしてクルエルの攻撃を読む鋭さ、保安局から逃げるスピードと頭の回転率……本当に凄い‼︎スーパースターみたいだ‼︎」
「えっ⁉︎本当⁉︎あ、ははは‼︎」
そうやって話していると、Syoがシーカーを押しのけて堂々と割り込んで来た。
「楽しい所申し訳ないが、もう少し骸帝とやらの話を聞きたい。骸帝にはどう対抗すればいいんだ?」
「ただ勝つのみだよ、僕達の力で骸帝を倒すだけだ。それにはもっと力が、仲間が欲しい……多分今、みんなに言ったも信じてはくれないだろう」
「当たり前だ、俺達だって未だに信じがたい事だしな」
青年の言葉の数々、信じ難いが本当のようだ。だが、自分達にはどうすればいいのか分からない。いきなり滅亡だの破壊だのと言われ、そして刻印の戦士を探せと……
「ところで何で骸帝って名前なんだ?」
「そこまでは分からない……でも自分でそう名乗っていたからには、何かしらの理由はあるはずだ」
そして青年はシーカーの顔を真剣に見て、頭を下げた。
「君達にお願いしたい……僕と一緒に骸帝と戦ってくれ」
「……」
綺麗なお辞儀に今の青年の顔に偽りのはない、そうシーカーは確信した。
「よし‼︎骸帝を退治、やるしかねぇ‼︎」
顔を上げた青年からは溢れんばかりの満面の笑みが浮かんでいた。
「ありがとう‼︎とりあえず君達は、少しでも強い仲間を集めてくれ……僕みたいな人見知りにはちょっとキツイから」
「オメェ人見知りじゃねぇだろ‼︎」
そう言うと青年はシーカーの耳元で囁く。
「最後に1つ……」
「何だ?」
「フレンドになって‼︎」
「……う、うん……」
フレンド登録をしようとしたら、名前は匿名で書いてあった。そこに疑問に思った。
「そういえばお前の名前は?」
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本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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