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第2章 骸帝編
第32話 頭に過ぎる過去
しおりを挟むあの日……俺達3人の友情は崩壊した……
雨が降っていたあの日あの街、1つの大切なものが崩れ去った……
「悠斗‼︎将呉‼︎貴様らぁぁぁ‼︎」
「隼‼︎違うんだ‼︎俺達は……‼︎」
「絶対に許さんぞ……許してたまるかぁぁぁ‼︎」
あの時、俺はただ呆然と見ているだけだった。
当時の俺達には、保安局の前にはなす術はなかった。
「悠斗、いやシーカー……もう帰ろう、俺達は……」
「く、くっそぉぉぉ‼︎」
連れて行かれる仲間……聞こえてくるのは友達の声ではなく、保安局のサイレンの音だけだった……
強く、憧れていた強き光が闇に覆われた……
あの時の行動を間違ったのはどっちだろう……俺達なのか?
それとも……
ーーーーーーーーーーーーーー
目を開けるとそこには真っ青な青空が広がっていた。どうやら悠斗は山の丘にある公園のベンチで寝ていたようだ。まだ眠そうな顔で青空を見上げる。
「……ふぅ、寝てた……か」
「授業サボる勇気もない奴がサボるなんて、天変地異でも起きるんじゃねぇか?」
「将呉⁉︎いつのまに⁉︎」
将呉がベンチに座ってアイスココアを飲んで、街を眺めていた。
「お前が休む時は俺に連絡が来る……なのに今日は無かったから、何かあるなって思ってね。それにここは昔からの遊び場だから、お前1人で行くならここしかないなって」
「……流石は名探偵、ご正解……」
悠斗は起き上がり、丘の柵に捕まり街を眺めた。そして苦笑いしながら話す。
「いや~昨日の事が頭から離れなくてなぁ……嘘か本当か、分かんなくなっちゃって……」
「まっ、俺もまだ半信半疑だけどな。嘘のような気もするし、あの光景を見せられて困惑している部分もあるし……」
「……そうだな……」
悠斗も烏龍茶を買い、2人で飲みながら、将呉が話を静かに切り出した。
「強い戦士を集めるか、簡単に言ってくれるよな……」
「俺はそれを言われて真っ先に浮かんだ奴がいた」
「やっぱりお前も思ったか……隼の事を」
「あぁ……でもあいつはもう……」
「あいつの事はもう忘れようって決めたじゃないか」
そう言いながら将呉はバッグを担ぎ、悠斗の浮かない顔を見て話を逸らそうとする。
「今からでも遅くはない……学校へ行こう」
「……分かった」
「学校でゆっくりと仲間を探す方法を考えようぜ‼︎」
「うん……」
悠斗はゴミ箱に缶を投げ捨てた。
そして将呉は悠斗のバッグを持ち、悠斗に投げた。悠斗はちょっと落としそうになったが、無事にキャッチして少し笑顔が戻った。
ーーーーーーーーーーーーーー
遅く学校に到着すると、休み時間なのか殆どの生徒は椅子に座り、AlterLinkを装着して静かにAlterFrontierをしていた。2人は外の小鳥の鳴き声も聞こえそうな程静かな廊下を堂々と歩き、教室へと向かう。
「休み時間はみんなAlterFrontierしているから助かるぜ……」
将呉が喋りながら歩いていると、悠斗の足が自分の教室じゃない教室で止まった。
「……」
「どうした悠斗?」
悠斗が教室の中を静かにずっと見ていた。将呉がすぐに駆け寄ると、悠斗はとある人物を見ていた。
そのクラス内は1人を除く全員がAlterFrontierをしていてその1人は静かに読書をしていた。背が高く、尖った目、跳ね上がった金髪、それは先程話に出てきた霧山隼だった。
すると悠斗は教室に入ろうとし、それを将呉は血相を変えてすぐに止めに入った。
「さっさと行くぞ悠斗‼︎授業が始まるぞ‼︎」
「……」
「あいつはもうAlterFrontierをしていない、だから仲間にしようとしたって無駄だ‼︎第一、あいつが仲間にやる保証なんてないんだ」
将呉の言葉も耳に入らず、動き気配を見せない悠斗に将呉は無理矢理手を引っ張り教室へと連れて行った。
「もう過去は忘れろ……俺達とあいつとは世界が違うんだ。とうの昔からな……」
「くっ……」
居なくなった悠斗を確認し、チラリと廊下側を見る隼。だが、気にする様子も見せずに読書を続けた。
「……」
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