50 / 64
第三部 天嬢篇
宿敵
しおりを挟む
──パラディオン王国第一王子、ミハイル・パラディオン。
ここからは、彼の力が必要だ。
魔鎧を圧倒できる──でなければゲームのシナリオがハッピーエンドにならない──であろう「絶聖の加護」を得た聖騎士との共闘は、修正力に打ち克つため不可欠のはずだ。
「その前に、ダンケルハイトを名乗る貴公はいったい何者だ」
答えに選択肢は多くないだろうけど、彼の中でエリシャ=レイジョーガーはどうしても成り立たないらしい。
「エリオットという名の生徒は在籍していない。私は、信頼できぬ者の言葉に傾ける耳を持たない」
やはり頭が堅い。この真っ直ぐさが魅力ではあるのだろうけど。
いま私が信頼を得るためにできるのは、正体を明かすことぐらい。しかしジブリール達を眼前にして纏装を解いていられるはずもない。何より再纏装は魔力消耗が大きい。雄弁は、ユーリイがそうであったように、どうやら王族には効果が薄いようだ。
──どんな言葉なら、彼の心に届くだろうか。
思いつくことが、ひとつある。それは、エリシャの記憶を衿沙が客観的に見返したことでわかったことなのだけれど。
幼いエリシャがリヒト──ミハイルとはじめて出会ったあの日。小さなエリシャがぐすぐす泣きながら迷い込んだ城の奥で、小さなミハイルもまた、ひとりすすり泣いていた。
「……あなたも、迷子なの?」
かけた声にびくんと体を震わせ、顔を上げた彼の、今は眼帯で覆われた右目の周囲。そこに、赤黒い痣が燃える炎のように拡がっていた。
それは魔瘴斑と呼ばれるもの。
両親が過去に魔瘴を浴びたせいだとか、いろいろ言われているが、真相は定かではない。ただ、王家ではそれを凶兆として忌み嫌っていた。禍を呼び寄せる悪魔の刻印だと。
けれど、そんなことを知る由もないエリシャは、彼にこう言ったのだ。
「お目々が燃えてるみたいですてき! あなたは強いひとね!」
「えっ……ぼくが、強い?」
「ええ! だから、あなたを私の騎士にしてあげる! さあ、王様のところまでえすこーとなさい!」
「だめだよ、ぼくなんか……知ってるんだ、みんながぼくを『悪魔の子』って言ってるの」
彼がひとり城の奥で泣いていたのは、どうやらそれが理由だった。
「ほら、やっぱり! おかあさまが言ってたもの、悪魔のちからに、正しいこころを合わせたら、さいきょうなんだって!」
小さなミハイルは、その言葉を呆然と聞いていた。それは彼が閉じこもっていた世界の、あまりに遥か外側にある言葉だったのだろう。
「だから、いじわるしないでつれていって! ねえ、お願いだから……」
ようやく見つけた騎士も言うことを聞いてくれない。小さいエリシャは再び、わんわんと泣き出していた。
それをしばらく見つめていた小さいミハイルは、やがて口を開く。
「……わかったよ……だいじょうぶ、ぼくがきみの騎士になって、お守りするからね」
「……ほんとに……?」
「うん、約束するよ!」
すがるような少女の涙目に、頷き返した少年の瞳はきらきらと輝いて、涙はとっくに乾いていた。
──これは、あくまで衿沙の考察でしかないけれど。
身分を隠し、騎士として民を守る最前に立つという彼の今の在り方は、幼い頃のエリシャとの想い出が、大きなきっかけになっているのではないだろうか。
ふと、昨日の王妃様の言葉を思い出す。うちの息子たちはみんなあなたが大好きだ、と。
「燃える目をした強いあなたに、お願いするわ」
私は彼に語りかけた。
「マリカと王妃様を、安全な場所までエスコートなさい」
その瞬間だけ視線を合わせた私の、黒い仮面で覆われた顔──紫水晶の双眸を彼は、切れ長の隻眼でまじまじと見詰め返す。
「……そうか。きみは、エリシャなのだな」
ゆっくりと頷く私。
「ならば、断るわけにはいかない。ぼくはきみの、騎士だからね」
彼の言葉に胸が高鳴る。
けれど、その背後で驚きに目を見開くマリカの表情が、鼓動を制止するのだった。
話をまとめるためとは言え、そして肝の据わり方に定評のある彼女とは言え、色んな事を一気にネタバレし過ぎてしまったかも知れない。
彼女がエリオットにも好意を抱いているのではないかということは、薄々感じていた。
それが、聖騎士を選ぶ邪魔になっているかも知れない。ならエリオットが実際は存在しないことを理解し、王子という属性も付与されたミハイルに心を決めてもらうのがいちばん良い……はずだ。
色んな矢印の想いが入り混じって、こっちは心がぐちゃぐちゃになりそうだけど。
一方、ジブリールの高笑いは、ようやく収まったようだ。まるでタイミングを計っていたかのように。──いや、そこで私は違和感を抱く。
マリカはさきほど、あと「四か五」来ると言った。その時点でシブリールはすでにこの場に居た。最後に参戦した試製伍型は、四体目。つまり、まだ何か来る可能性がある。
ジブリールは、それを待っていたのではないか。
お父様の推測では、転移門は瞬間移動ではなく、対象の内包する魔力が大きいほど、転送完了まで長い時間を要するはず。
「──さて、それでは宴を再開いたしましょうか?」
案の定。空に黒穴が開き、解き放たれた蒼い光が雷のように、垂直に大地を穿つ。
ジブリールの前方に立っていたそれは、魔鎧を纏わぬ生身の人間だった。遥か上空から落下したというのに、事も無げにそこに無造作に佇むのは、蒼髪をオールバックにした青年である。
「雑魚に構うな、お前たちが狙うべきは王妃と聖女のみ。できるだけ傷ものにせず連れ帰れと、皇帝陛下から直々のお達しだ」
細かな刺繍の施された紺の衣装を、ラフに着崩した彼は、とても不愉快な指令を魔鎧将たちに下知する。彼らの「御意」の言葉に鷹揚に頷くと、私に視線を向け──
「そこにいるのは、エリシャ・ダンケルハイトだな」
言葉と同時に大地を蹴り、額に輝いた蒼い魔紋で軌跡を描きつつ、一跳びで私の眼前まで間合いを詰めていた。同時に攻撃予測が私の胸を貫く。疑神化による肉体強化──知っていても反応しきれない超高速移動から、いつ抜刀したかも判らない長剣の切っ先が襲う!
「焦がれたぞ、この日をッ!」
ギィィィン、と凄まじい金属音が響き渡った。割り込んだミハイルの聖剣が、それを防ぎとめると同時に半ばで折れ、回転しながら私の鼻先をかすめ飛んでいった。
ほんの一呼吸だけ遅れて私の黒い手刀が閃き、相手の長剣の刃を叩き折る。
──アスラフェル大帝国皇太子、アズライル・アスラフェル。
彼は私の手刀による追撃をかわし、舞台から距離をとって着地した。
「安心しろ、お前は皇帝には渡さない。代わりに、俺の妃にしてやろう」
何を言ってるんだこいつは。しかし彼は──「修正力」の象徴のような彼こそは、誰よりも私が倒すべき相手だろう。
「申しわけないけれど、あなた好みじゃないから」
帝国妃の座を切って捨てながら、私は舞台をひらり飛び降りる。大丈夫、レイジョーガーなら疑神化に負けることはない。
しかしアズライルは不敵に笑いながら、右手を天に掲げる。その手首には、蒼い腕輪が装着されていた。
「見るがいい、我が纏装──」
静かに宣言した彼の全身を、鮮やかな蒼の業火が包む。
「──魔鎧皇、アスライザー!」
ここからは、彼の力が必要だ。
魔鎧を圧倒できる──でなければゲームのシナリオがハッピーエンドにならない──であろう「絶聖の加護」を得た聖騎士との共闘は、修正力に打ち克つため不可欠のはずだ。
「その前に、ダンケルハイトを名乗る貴公はいったい何者だ」
答えに選択肢は多くないだろうけど、彼の中でエリシャ=レイジョーガーはどうしても成り立たないらしい。
「エリオットという名の生徒は在籍していない。私は、信頼できぬ者の言葉に傾ける耳を持たない」
やはり頭が堅い。この真っ直ぐさが魅力ではあるのだろうけど。
いま私が信頼を得るためにできるのは、正体を明かすことぐらい。しかしジブリール達を眼前にして纏装を解いていられるはずもない。何より再纏装は魔力消耗が大きい。雄弁は、ユーリイがそうであったように、どうやら王族には効果が薄いようだ。
──どんな言葉なら、彼の心に届くだろうか。
思いつくことが、ひとつある。それは、エリシャの記憶を衿沙が客観的に見返したことでわかったことなのだけれど。
幼いエリシャがリヒト──ミハイルとはじめて出会ったあの日。小さなエリシャがぐすぐす泣きながら迷い込んだ城の奥で、小さなミハイルもまた、ひとりすすり泣いていた。
「……あなたも、迷子なの?」
かけた声にびくんと体を震わせ、顔を上げた彼の、今は眼帯で覆われた右目の周囲。そこに、赤黒い痣が燃える炎のように拡がっていた。
それは魔瘴斑と呼ばれるもの。
両親が過去に魔瘴を浴びたせいだとか、いろいろ言われているが、真相は定かではない。ただ、王家ではそれを凶兆として忌み嫌っていた。禍を呼び寄せる悪魔の刻印だと。
けれど、そんなことを知る由もないエリシャは、彼にこう言ったのだ。
「お目々が燃えてるみたいですてき! あなたは強いひとね!」
「えっ……ぼくが、強い?」
「ええ! だから、あなたを私の騎士にしてあげる! さあ、王様のところまでえすこーとなさい!」
「だめだよ、ぼくなんか……知ってるんだ、みんながぼくを『悪魔の子』って言ってるの」
彼がひとり城の奥で泣いていたのは、どうやらそれが理由だった。
「ほら、やっぱり! おかあさまが言ってたもの、悪魔のちからに、正しいこころを合わせたら、さいきょうなんだって!」
小さなミハイルは、その言葉を呆然と聞いていた。それは彼が閉じこもっていた世界の、あまりに遥か外側にある言葉だったのだろう。
「だから、いじわるしないでつれていって! ねえ、お願いだから……」
ようやく見つけた騎士も言うことを聞いてくれない。小さいエリシャは再び、わんわんと泣き出していた。
それをしばらく見つめていた小さいミハイルは、やがて口を開く。
「……わかったよ……だいじょうぶ、ぼくがきみの騎士になって、お守りするからね」
「……ほんとに……?」
「うん、約束するよ!」
すがるような少女の涙目に、頷き返した少年の瞳はきらきらと輝いて、涙はとっくに乾いていた。
──これは、あくまで衿沙の考察でしかないけれど。
身分を隠し、騎士として民を守る最前に立つという彼の今の在り方は、幼い頃のエリシャとの想い出が、大きなきっかけになっているのではないだろうか。
ふと、昨日の王妃様の言葉を思い出す。うちの息子たちはみんなあなたが大好きだ、と。
「燃える目をした強いあなたに、お願いするわ」
私は彼に語りかけた。
「マリカと王妃様を、安全な場所までエスコートなさい」
その瞬間だけ視線を合わせた私の、黒い仮面で覆われた顔──紫水晶の双眸を彼は、切れ長の隻眼でまじまじと見詰め返す。
「……そうか。きみは、エリシャなのだな」
ゆっくりと頷く私。
「ならば、断るわけにはいかない。ぼくはきみの、騎士だからね」
彼の言葉に胸が高鳴る。
けれど、その背後で驚きに目を見開くマリカの表情が、鼓動を制止するのだった。
話をまとめるためとは言え、そして肝の据わり方に定評のある彼女とは言え、色んな事を一気にネタバレし過ぎてしまったかも知れない。
彼女がエリオットにも好意を抱いているのではないかということは、薄々感じていた。
それが、聖騎士を選ぶ邪魔になっているかも知れない。ならエリオットが実際は存在しないことを理解し、王子という属性も付与されたミハイルに心を決めてもらうのがいちばん良い……はずだ。
色んな矢印の想いが入り混じって、こっちは心がぐちゃぐちゃになりそうだけど。
一方、ジブリールの高笑いは、ようやく収まったようだ。まるでタイミングを計っていたかのように。──いや、そこで私は違和感を抱く。
マリカはさきほど、あと「四か五」来ると言った。その時点でシブリールはすでにこの場に居た。最後に参戦した試製伍型は、四体目。つまり、まだ何か来る可能性がある。
ジブリールは、それを待っていたのではないか。
お父様の推測では、転移門は瞬間移動ではなく、対象の内包する魔力が大きいほど、転送完了まで長い時間を要するはず。
「──さて、それでは宴を再開いたしましょうか?」
案の定。空に黒穴が開き、解き放たれた蒼い光が雷のように、垂直に大地を穿つ。
ジブリールの前方に立っていたそれは、魔鎧を纏わぬ生身の人間だった。遥か上空から落下したというのに、事も無げにそこに無造作に佇むのは、蒼髪をオールバックにした青年である。
「雑魚に構うな、お前たちが狙うべきは王妃と聖女のみ。できるだけ傷ものにせず連れ帰れと、皇帝陛下から直々のお達しだ」
細かな刺繍の施された紺の衣装を、ラフに着崩した彼は、とても不愉快な指令を魔鎧将たちに下知する。彼らの「御意」の言葉に鷹揚に頷くと、私に視線を向け──
「そこにいるのは、エリシャ・ダンケルハイトだな」
言葉と同時に大地を蹴り、額に輝いた蒼い魔紋で軌跡を描きつつ、一跳びで私の眼前まで間合いを詰めていた。同時に攻撃予測が私の胸を貫く。疑神化による肉体強化──知っていても反応しきれない超高速移動から、いつ抜刀したかも判らない長剣の切っ先が襲う!
「焦がれたぞ、この日をッ!」
ギィィィン、と凄まじい金属音が響き渡った。割り込んだミハイルの聖剣が、それを防ぎとめると同時に半ばで折れ、回転しながら私の鼻先をかすめ飛んでいった。
ほんの一呼吸だけ遅れて私の黒い手刀が閃き、相手の長剣の刃を叩き折る。
──アスラフェル大帝国皇太子、アズライル・アスラフェル。
彼は私の手刀による追撃をかわし、舞台から距離をとって着地した。
「安心しろ、お前は皇帝には渡さない。代わりに、俺の妃にしてやろう」
何を言ってるんだこいつは。しかし彼は──「修正力」の象徴のような彼こそは、誰よりも私が倒すべき相手だろう。
「申しわけないけれど、あなた好みじゃないから」
帝国妃の座を切って捨てながら、私は舞台をひらり飛び降りる。大丈夫、レイジョーガーなら疑神化に負けることはない。
しかしアズライルは不敵に笑いながら、右手を天に掲げる。その手首には、蒼い腕輪が装着されていた。
「見るがいい、我が纏装──」
静かに宣言した彼の全身を、鮮やかな蒼の業火が包む。
「──魔鎧皇、アスライザー!」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
笑顔が苦手な元公爵令嬢ですが、路地裏のパン屋さんで人生やり直し中です。~「悪役」なんて、もう言わせない!~
虹湖🌈
ファンタジー
不器用だっていいじゃない。焼きたてのパンがあればきっと明日は笑えるから
「悪役令嬢」と蔑まれ、婚約者にも捨てられた公爵令嬢フィオナ。彼女の唯一の慰めは、前世でパン職人だった頃の淡い記憶。居場所を失くした彼女が選んだのは、華やかな貴族社会とは無縁の、小さなパン屋を開くことだった。
人付き合いは苦手、笑顔もぎこちない。おまけにパン作りは素人も同然。
「私に、できるのだろうか……」
それでも、彼女が心を込めて焼き上げるパンは、なぜか人の心を惹きつける。幼馴染のツッコミ、忠実な執事のサポート、そしてパンの師匠との出会い。少しずつ開いていくフィオナの心と、広がっていく温かい人の輪。
これは、どん底から立ち上がり、自分の「好き」を信じて一歩ずつ前に進む少女の物語。彼女の焼くパンのように、優しくて、ちょっぴり切なくて、心がじんわり温かくなるお話です。読後、きっとあなたも誰かのために何かを作りたくなるはず。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ライバル悪役令嬢に転生したハズがどうしてこうなった!?
だましだまし
ファンタジー
長編サイズだけど文字数的には短編の範囲です。
七歳の誕生日、ロウソクをふうっと吹き消した瞬間私の中に走馬灯が流れた。
え?何これ?私?!
どうやら私、ゲームの中に転生しちゃったっぽい!?
しかも悪役令嬢として出て来た伯爵令嬢じゃないの?
しかし流石伯爵家!使用人にかしずかれ美味しいご馳走に可愛いケーキ…ああ!最高!
ヒロインが出てくるまでまだ時間もあるし令嬢生活を満喫しよう…って毎日過ごしてたら鏡に写るこの巨体はなに!?
悪役とはいえ美少女スチルどこ行った!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる