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そのあと。
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へリオとの行為の後、私が目を覚ますまでに数時間ほどを要した。
全身に気だるさを感じながら体を起こす。
美しかった真っ白な肌には乾いた愛液と精液がこびりついており、行為の跡が色濃く残されていた。
それによって嫌でも昨日の行為が思い出される。
(私は……へリオと……)
そのときになってようやく自分のしたことを理解した。
自分は発情する身体を持てあまし、あのような下劣で愚かな男に自らの純潔を捧げてしまったのだ。
深い後悔が胸中を渦巻く。
しかし、いつまでもこのようにはしていられなかった。今この部屋にこのような恰好でいるのは危険である。
まずは身を清めて着替える必要があるだろう。人目につかないように移動しなければならない。
幸いにも部屋には今誰もいない。
そこらに投げ捨てられていたネグリジェとショーツを穿きなおす。
グチュ……
精液まみれでドロドロのカミラの秘所の上にショーツを穿いているので気持ち悪い。しかし服を着ないで歩くだなんて考えられなかった。
私はそれから認識阻害の魔法を張る。これで他の下僕たちには気づかれなくなったはずだ。
へリオの部屋の扉から急いで飛び出す。目指すは浴場である。
廊下に飛び出す。周囲には誰もいないことを確認すると早足で移動する。
道中何度か下僕たちとすれ違うことはあったがだれも私に気が付いた様子はなかった
そしてなんとか浴場にたどり着く。
入り口の扉に鍵をかけて私はようやく安堵の息を漏らす。
「ふぅ……、なんとかなったわね」
ようやく私はそこで体を洗う。温かい湯を浴びることで段々と思考にも余裕が出てきたのか今までのことを振り返る。
(よもや、私があのようになってしまうとは)
そう発情する身体を制御しきれなかった自らの精神の軟弱さを恥じていた。指で膣から精液を掻き出すだなんて無様を演じる羽目になったのもそのせいである。
サラサラの銀髪にまでこびりついた汚れを流しながらこれからのことを考える。
呪いをどうにかしなければ今回と同じようなことは起こりうる。
対症療法でもなんでもいいから考えねばならない。
そうおもいながら湯船に浸かる。体に染みこんだ汚れや疲労が溶けていくかのようだ。
(そういえば、今はさほど性欲が湧かないな。それに魔力も回復してる)
今気が付いたことだがへリオとのセックス以降、私を蝕むような淫紋の発情が収まっている。それに加えて魔力が回復している。
(もしかすると……エン婆の言った通りに男と交わったから呪いの効果が少しだけ弱まったのだろうか)
私はそこに一つの解を得る。
そうであるのならば呪いに対抗する手段がないわけではないのか。その道は恥辱にまみれたものであろうとも道はある。
それを歩む覚悟があるかどうかだ。
……正直、理性ではそんなの認めないと思っている。この完璧な生物とまで呼ばれたカミラがなぜそのような汚辱に身をやつさねばならないと言うのだろうか。
そのようなことをするなら死んだ方がマシだという女性はたくさんいるだろう。
しかしカミラの身体にはもう刻まれていた。快楽という抗いがたいものの爪痕が。
へリオとのまぐあいを思い出すだけで体が火照るような錯覚を覚えるほどだ。
それがカミラの判断を鈍らせたのだ。
(ひとまず、もう一度色々なことを確認してからでもいいだろう。今回がたまたま呪いに効果があったというだけかもしれないしな)
そう、保留という選択肢をカミラに取らせた。
それは無意識にあの行為を期待していたからに他ならない。性交を。
私は風呂を上がり、外に置いてある新しい自分の衣服に着替える。
そして自分の部屋に戻った。
~~~~~~~~~~
そして私は再びへリオの部屋を訪れている。
皆が寝静まる日の出の時を見計らってへリオの部屋にやってきたのである。
私は若干の緊張を顔に浮かべながら戸を叩く。ここまでくるときにも今も認識阻害の魔法を使っている。
この訪問は決してほかの下僕たちに悟られることはない。
中からはへリオの声が返ってくる。
「おう、入っていいぞ」
私は身体を滑り込ませるように部屋に入る。
部屋の様子は昨日とあまり変わっていない。相変わらず汚い部屋であったが一つだけ前とは違うものがあった。
机の上に輝く水晶のようなものが置かれている。あれは……。
へリオはニヤリとしながら話しかけてくる。
「昨日ぶりだなぁ。あの後無事に帰れたようで安心したぜ」
その態度はとてもじゃないが主人に対するものではなく、やたらと慣れ慣れしいものだった。
視線はカミラの体をまさぐるように動かされ、その欲情を隠そうともしない。
「不敬だぞへリオ」
「良いじゃねぇか、昨日はあんなにたっぷり楽しみ合った仲だろう?」
「冗談じゃない。それについて私は話があって来たのだ」
私は毅然とした態度で机の上にあるそれを指差す。
「映像結晶を返してもらおうか」
そう。へリオとのあの行為は録画されていた。自分の命を守るための保身として用意したのだろう。
ずる賢いこいつのことだ。ここで強奪しても予備がいくつも用意してあるに違いない。
まあ、素直に返却に応じるとは思っていない。魔法でへリオの思考を読み取り、隠し場所を暴くための誘導である。
思考を読み取る魔法は当人が今考えてることしか読み取れない。
予備の映像結晶がある場所を暴くにはこれしかないと思ったのだ。
しかしへリオの返答は意外にもあっさりしたものだった。
「いいぜ」
それにあっけにとられる。
隠し場所をへリオが連想しなかったので魔法は不発に終わる。
「それはお前の命綱じゃないのか。それがなければ今頃私はお前を八つ裂きにしているぞ」
威嚇するように魔力を高める。これだけでもただの人間であるへリオには相当の圧力になるはずだ。
しかし奴は冷や汗を掻きながらも確かに言葉を紡いでいく。
「まあ、そりゃそうなんだがな。でも無理やり言うこと聞かしても面白くねぁってな。おれぁ屈服させたいわけよ、カミラをな。あと返すつっても条件付きだ」
屈服……? 私がこいつに?
あまりの馬鹿馬鹿しい言いように私は呆れる。呪いの影響が薄れ、媚薬の効果が切れた今あのような醜態をさらすはずもない。
へリオは呪いの力を自分の功績と勘違いしてるのだ。
これほど滑稽なこともない。やはりこいつはとてつもない愚か者である。劣等種族のさらに下の人間。
私は内心ほくそ笑みながら答える。
「いいだろう。条件を言ってみよ」
「……カミラ、アンタの身体をもう一度だけ抱かせろ。今度は薬もなにも使わねェよ」
もう一度、か。私は考える。
いまさら一度も二度もそう大きく変わりはしない。当然、嫌悪感はあるがそれで自分の立場を守ることが出来るなら……それでもいいかもしれない。
こいつを喜ばせることになるのは業腹であるが、薬や呪いの効力なしにあのように乱れることもないだろう。
それに約束が守られなかった場合でも私には思考を盗み見る魔法があるのだ。
問題ない範疇である。
「……よかろう」
「交渉成立だな。じゃあこっちに来いよ」
へリオはベッドの縁に腰かけて手招きをする。それに導かれるように私はゆっくりと足を進めた。
~~~~~~~~~~
そのときのカミラは自分のことを正常だと思っていたが、実際には違った。
へリオの提案を聞いた時、その身体を再び貪られると考えたときには体に異常は現れ始めていたのだ。
呪いの効力でもない、媚薬の効果でもない小さな情欲の火。
それは思考回路を歪め、へリオとの行為へと至らしめた。
実際にはへリオの提案など受ける必要はないのに。
そう、今まで気が付く機会がなかっただけで生まれついてのカミラの気質。
淫乱の資質であった。
全身に気だるさを感じながら体を起こす。
美しかった真っ白な肌には乾いた愛液と精液がこびりついており、行為の跡が色濃く残されていた。
それによって嫌でも昨日の行為が思い出される。
(私は……へリオと……)
そのときになってようやく自分のしたことを理解した。
自分は発情する身体を持てあまし、あのような下劣で愚かな男に自らの純潔を捧げてしまったのだ。
深い後悔が胸中を渦巻く。
しかし、いつまでもこのようにはしていられなかった。今この部屋にこのような恰好でいるのは危険である。
まずは身を清めて着替える必要があるだろう。人目につかないように移動しなければならない。
幸いにも部屋には今誰もいない。
そこらに投げ捨てられていたネグリジェとショーツを穿きなおす。
グチュ……
精液まみれでドロドロのカミラの秘所の上にショーツを穿いているので気持ち悪い。しかし服を着ないで歩くだなんて考えられなかった。
私はそれから認識阻害の魔法を張る。これで他の下僕たちには気づかれなくなったはずだ。
へリオの部屋の扉から急いで飛び出す。目指すは浴場である。
廊下に飛び出す。周囲には誰もいないことを確認すると早足で移動する。
道中何度か下僕たちとすれ違うことはあったがだれも私に気が付いた様子はなかった
そしてなんとか浴場にたどり着く。
入り口の扉に鍵をかけて私はようやく安堵の息を漏らす。
「ふぅ……、なんとかなったわね」
ようやく私はそこで体を洗う。温かい湯を浴びることで段々と思考にも余裕が出てきたのか今までのことを振り返る。
(よもや、私があのようになってしまうとは)
そう発情する身体を制御しきれなかった自らの精神の軟弱さを恥じていた。指で膣から精液を掻き出すだなんて無様を演じる羽目になったのもそのせいである。
サラサラの銀髪にまでこびりついた汚れを流しながらこれからのことを考える。
呪いをどうにかしなければ今回と同じようなことは起こりうる。
対症療法でもなんでもいいから考えねばならない。
そうおもいながら湯船に浸かる。体に染みこんだ汚れや疲労が溶けていくかのようだ。
(そういえば、今はさほど性欲が湧かないな。それに魔力も回復してる)
今気が付いたことだがへリオとのセックス以降、私を蝕むような淫紋の発情が収まっている。それに加えて魔力が回復している。
(もしかすると……エン婆の言った通りに男と交わったから呪いの効果が少しだけ弱まったのだろうか)
私はそこに一つの解を得る。
そうであるのならば呪いに対抗する手段がないわけではないのか。その道は恥辱にまみれたものであろうとも道はある。
それを歩む覚悟があるかどうかだ。
……正直、理性ではそんなの認めないと思っている。この完璧な生物とまで呼ばれたカミラがなぜそのような汚辱に身をやつさねばならないと言うのだろうか。
そのようなことをするなら死んだ方がマシだという女性はたくさんいるだろう。
しかしカミラの身体にはもう刻まれていた。快楽という抗いがたいものの爪痕が。
へリオとのまぐあいを思い出すだけで体が火照るような錯覚を覚えるほどだ。
それがカミラの判断を鈍らせたのだ。
(ひとまず、もう一度色々なことを確認してからでもいいだろう。今回がたまたま呪いに効果があったというだけかもしれないしな)
そう、保留という選択肢をカミラに取らせた。
それは無意識にあの行為を期待していたからに他ならない。性交を。
私は風呂を上がり、外に置いてある新しい自分の衣服に着替える。
そして自分の部屋に戻った。
~~~~~~~~~~
そして私は再びへリオの部屋を訪れている。
皆が寝静まる日の出の時を見計らってへリオの部屋にやってきたのである。
私は若干の緊張を顔に浮かべながら戸を叩く。ここまでくるときにも今も認識阻害の魔法を使っている。
この訪問は決してほかの下僕たちに悟られることはない。
中からはへリオの声が返ってくる。
「おう、入っていいぞ」
私は身体を滑り込ませるように部屋に入る。
部屋の様子は昨日とあまり変わっていない。相変わらず汚い部屋であったが一つだけ前とは違うものがあった。
机の上に輝く水晶のようなものが置かれている。あれは……。
へリオはニヤリとしながら話しかけてくる。
「昨日ぶりだなぁ。あの後無事に帰れたようで安心したぜ」
その態度はとてもじゃないが主人に対するものではなく、やたらと慣れ慣れしいものだった。
視線はカミラの体をまさぐるように動かされ、その欲情を隠そうともしない。
「不敬だぞへリオ」
「良いじゃねぇか、昨日はあんなにたっぷり楽しみ合った仲だろう?」
「冗談じゃない。それについて私は話があって来たのだ」
私は毅然とした態度で机の上にあるそれを指差す。
「映像結晶を返してもらおうか」
そう。へリオとのあの行為は録画されていた。自分の命を守るための保身として用意したのだろう。
ずる賢いこいつのことだ。ここで強奪しても予備がいくつも用意してあるに違いない。
まあ、素直に返却に応じるとは思っていない。魔法でへリオの思考を読み取り、隠し場所を暴くための誘導である。
思考を読み取る魔法は当人が今考えてることしか読み取れない。
予備の映像結晶がある場所を暴くにはこれしかないと思ったのだ。
しかしへリオの返答は意外にもあっさりしたものだった。
「いいぜ」
それにあっけにとられる。
隠し場所をへリオが連想しなかったので魔法は不発に終わる。
「それはお前の命綱じゃないのか。それがなければ今頃私はお前を八つ裂きにしているぞ」
威嚇するように魔力を高める。これだけでもただの人間であるへリオには相当の圧力になるはずだ。
しかし奴は冷や汗を掻きながらも確かに言葉を紡いでいく。
「まあ、そりゃそうなんだがな。でも無理やり言うこと聞かしても面白くねぁってな。おれぁ屈服させたいわけよ、カミラをな。あと返すつっても条件付きだ」
屈服……? 私がこいつに?
あまりの馬鹿馬鹿しい言いように私は呆れる。呪いの影響が薄れ、媚薬の効果が切れた今あのような醜態をさらすはずもない。
へリオは呪いの力を自分の功績と勘違いしてるのだ。
これほど滑稽なこともない。やはりこいつはとてつもない愚か者である。劣等種族のさらに下の人間。
私は内心ほくそ笑みながら答える。
「いいだろう。条件を言ってみよ」
「……カミラ、アンタの身体をもう一度だけ抱かせろ。今度は薬もなにも使わねェよ」
もう一度、か。私は考える。
いまさら一度も二度もそう大きく変わりはしない。当然、嫌悪感はあるがそれで自分の立場を守ることが出来るなら……それでもいいかもしれない。
こいつを喜ばせることになるのは業腹であるが、薬や呪いの効力なしにあのように乱れることもないだろう。
それに約束が守られなかった場合でも私には思考を盗み見る魔法があるのだ。
問題ない範疇である。
「……よかろう」
「交渉成立だな。じゃあこっちに来いよ」
へリオはベッドの縁に腰かけて手招きをする。それに導かれるように私はゆっくりと足を進めた。
~~~~~~~~~~
そのときのカミラは自分のことを正常だと思っていたが、実際には違った。
へリオの提案を聞いた時、その身体を再び貪られると考えたときには体に異常は現れ始めていたのだ。
呪いの効力でもない、媚薬の効果でもない小さな情欲の火。
それは思考回路を歪め、へリオとの行為へと至らしめた。
実際にはへリオの提案など受ける必要はないのに。
そう、今まで気が付く機会がなかっただけで生まれついてのカミラの気質。
淫乱の資質であった。
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