器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。

武雅

文字の大きさ
82 / 121

朽ちた遺跡

しおりを挟む
ギルド受付のうさ耳お姉さんに教会からの依頼を受けると伝えた翌日、食料や雑貨などを補充する為、王都の商店を回り、購入したそばからアイテムBOXに収納して行く。

自分のアイテムBOXは珍しく、アイテムBOXに収納した物が収納した時の状態を保持される為、屋台で焼き立ての串焼きなんかもアイテムBOXに入れておけば腐る事も冷める事も無くいつでも熱々が食べられるという事で、野営の際に自炊をしなくてもいいようにとの事で、王都の飲食店を多くまわる羽目になった。

そして、王都で食料や雑貨を補充した翌朝、高級な宿を一旦チェックアウトした後、ギルドに行って依頼書にサインをし目的地である大森林の中にある遺跡群を目指して出発する。

「それにしても、遺跡群周辺に竜残血花があるかもって何で知ってるんだろう?」
今更ながらそんな疑問を口にすると、ルイーズさんがギルドで仕入れた情報だと言って理由を教えてくれた。

どうやら相当昔、遺跡群がある所を根城にしていた、はぐれと思われる竜種と冒険者が戦って討伐をしたらしい。
竜種との戦いはかなりの激戦だったらしく、多くの冒険者が命を落とし、遺跡群もかなりが破壊され見るも無残な状態だったらしいけど、その戦いのさなか、竜種の血が遺跡群周辺に流れたから竜残血花が生えている可能性があるとの事だった。

遺跡群って何かイメージ的に魔物の根城とかになってて荒れ果ててる気がするんだけど、そんな所に竜残血花なんて花が生えているのかな…。
なんかゴブリンとかオークに食べられてそうな気がするんだけど。

遺跡までの行程は特に問題も無く、探知でルート上周辺に居る魔物や魔獣を事前に見つけ狩りながら進むと王都を出発して6日目の昼に目的地である遺跡群に到着した。

「これは…、古い遺跡とは聞いてたけど、若干原型を留めてる建造物が少しあるだけでほぼ瓦礫の山だ…」
「そんなもんだろ、なんせ昔ここで竜種と冒険者の戦いがあったっ場所だって言われてるんだから反対に建物とかが無傷の方がおかしいだろ」
ルイーズさんがそう言いながら木や蔦に覆われた瓦礫の山を見渡している。

「それにしてもこの大森林の中に遺跡って昔はこの周辺は森じゃなかったって事?」
そんな疑問をルイーズさんにぶつけると、そんな事は知らんと言う風な顔をし周辺を散策しに行ってしまった。

「カトレアの時代にもこの遺跡群は知られてた?」
「ええ、そこそこ有名な場所だったわよ。 少し実力の付いた冒険者がこの遺跡を目指して何かしらの遺物が無いか血眼になって探してたって聞いた事あるから」

「って事は、既に調査しつくされて目ぼしい物は何もない的な?」
「無いでしょうね…。 私が生まれる前から冒険者が出入りしていたぐらいの遺跡だから」

それにしてもここは何の遺跡群なんだろう?
広さ的にはキャールの街より広く王都並みに広い気がするんだけど、森の中にこれだけ広大な遺跡があるって凄く不自然なんだよね…。

「カトレア、因みにこの遺跡群は元々何があった場所か知ってたりする?」
「知ってるわよ、伝承程度だけど」

「知ってるんだ…。 っで? ここはどんな場所だったの?」
「千年以上前にあった神殿があった街だったらしいわよ」

「神殿? この世界を創造した女神ジャンダークの?」
「いえ、ここにあった神殿は女神ジャンダークではなく邪神ドラゾレーラって教えられたわ、そして女神ジャンダークとの戦いに敗れ邪神とその信奉者達は未踏の山脈の奥地に逃れたらしいわ。 そして邪神ドラゾレーラが追手を足止めする為に大地を魔力で汚染してこの大森林が産まれたって」

邪神ドラゾレーラ…。
初めて聞くけど結構有名なのかとカトレアに聞くもカトレアが生きていた時代にはすでに忘れ去られた存在のようで教会でも一部の人が知っている程度で、ドラゾレーラに関する書物類に至っては聞いた事が無く、有ったとしても禁書として保管されているのではないかとの事だった。

「なんかこの遺跡を見てると、祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。 って感じだね…」
「昔、教会に居た時、人づてに召喚者から聞いた何とか物語ね。 確か…」

「祇園精舎の鐘の音は、諸行無常の響きに聞こえる。 沙羅双樹の花の色は、盛んな者も必ず衰えるという物事の道理を示していて、おごり高ぶっている人の栄華も長く続くものではなく、覚めやすいと言われている春の夜の夢のようなもの、勢いが盛んな者も結局は滅亡してしまう、まったく風の前の塵と同じ。 って感じの意味だよ。 平家物語の冒頭の部分」
「祇園精舎や沙羅双樹と言う物はよく分からないけど、要は栄華を誇っていてもそれに胡坐をかいていれば衰退の道を辿るってところね。 昔いた貴族と同じね…」

「カトレアが生きてた時代の貴族がどんなんだったかは知らないけど、まあ代々の血筋を誇るだけって事は何となくわかる気がする」

そんな話をしつつ野営の為の拠点づくりをしていると、遺跡を軽く見て周っていたルイーズさんとリーズが肩を落として戻り価値のありそうな物は無かったと残念そうな顔で見た範囲の状況を教えてくれた。

うん、カトレアの時代…、約400年以上前から調査や探索され尽くした遺跡なんだし反対に価値があるものがある方が驚きなんだけどね。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜

束原ミヤコ
ファンタジー
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。 そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。 だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。 マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。 全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。 それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。 マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。 自由だ。 魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。 マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。 これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

処理中です...