器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。

武雅

文字の大きさ
115 / 121

転移魔法陣

しおりを挟む
ギルドの酒場で食事をしつつ次に向かう場所を話合った結果、現在居る水の国から東側にある火の国に向かう事に決まった。
あのお姫様の居る国の可能性もあるけど火の国の街でフーレイゼやバールの名前が出てきたら即刻他の国に向うようにする。
なんか異世界に転生したのに、脛に傷を持つお尋ね者になった気分だ…。
まあ、実際の所、前世で巻き込んでしまった可能性があるのである意味仕方ないと言えな仕方ないけど、転生してまで前世での事を追及されるとは思わなかった。
絶対に犯人が自分だとバレて捕まったら酷い目にあわされる気がする。

そんな事を思いつつ、酔いが回り上機嫌のドリューンさんが魔道具について熱く語っているので、ふと最近まで忘れていた転移魔法陣の魔道具について聞いてみた。

転移魔法陣の魔道具は大まかに分類すると2種類あり、1つは一方通行タイプ、これは魔法陣が書かれた紙に魔力を通す事であらかじめ設定されている場所へ強制的に転移させられるらしい。
魔法陣の大きさにもよるけど1メートル四方の紙に書かれた魔法陣で半径5メートル以内が転移させられるとの事。
そしてもう一つは2枚1組の相互転移タイプ、こっちは昔、この一帯が帝国領だった頃に良く用いられていて一般的なものだったらしい。
因みにパダーリン迷宮にドリューンさんが設置していたのは、相互転移タイプを更に進化させ行きたい階層に行けるようにした転移魔法陣らしい。
要は前世でいう所のエレベーターみたいな感じだと思う。

「それで、この魔法陣は一方通行タイプ? それとも相互転移タイプ? どちらか分かります?」
そう言いアイテムボックスから出した転移魔法陣の書かれた紙をドリューンさんに渡して調べてもらう。
うん、カトレアが居た墳墓のダンジョンにあったやつ、カトレアに絶対魔力を流すなと言われたからアイテムボックスに入れて放置してたけど、魔道具のプロが居るから調べて貰う分には問題ないはず。

そう思いながら、魔法陣を真剣な目で見ながらブツブツ言っているドリューンさんの回答を待つ。

「お前、これは迷宮産だろ?」
「そうですけど、見ただけでそんな事まで分かるんですか? カトレアが居たダンジョンの最下層に有ったんですけど…」

「見たらすぐわかる、どう見ても人が作ったものじゃない。 恐らく一方通行だろうな」
「それで転送される場所とかは分かるんですか? 鑑定で調べても転移先は分からなくって…」

そう言うとドリューンさんは一言、「そこまでは俺にも分からん!!」と言って魔法陣の書かれた紙を付き返してきた。
流石に魔道具のプロでも転送先は分からないんだ…。

「ただ、魔法陣に書かれてる古代文字、一部しか分からんが南の方に転移するみたいだ、とは言え何処を起点にして南か、どの程度の距離かまでは分からんから南とだけ分かっても、意味がないがな」

ぶっきらぼうにそう言い、ジョッキに入った酒を飲み干し、追加注文をした後、つまみの肉を口に運んでるけど、魔法陣を見ただけでそこまで分かるのはある意味凄いと思う。

その後、カトレアと昔話に花を咲かせ、ルイーズさんと飲み比べなどを始め、自分達の居るテーブルは迷宮で一発大きな山を引き当てた冒険者の宴会状態になった。
まあ最下層まで行ったからあながち間違ってはいないんだけど、ドリューンさんもルイーズさんも呑み過ぎじゃない?
昼前にギルドに来たはずなのにもう夕方だし…。

「おい、カツヒコ!! さっきの転移魔法陣が書かれた紙をもう一回見せてみろ!!!」
「えっ? いいですけど、どうかしたんですか?」

酔って若干目が座って居るドリューンさんにアイテムボックスから魔法陣の書かれた紙を出し渡すと、ドリューンさんは再度魔法陣を食い入るように見つめている。

「カトレア、ドリューンさんが何か思い出したとか、心当たりがあるのかな?」
「さぁ~、結構変わり者だから酔った事で転移先が分からないのが気に食わなくて意地になったんじゃない?」

カトレア興味なさそうに酒を口に運びながらそう答え、真剣な表情で魔法陣を見ているドリューンさんのを若干呆れた感じで見てる。
まあそうだよね、古代文字で書かれてるって言ってたし、読めなければどんだけ読んでも分からないものは分からないし…。

「分からん!!!」
やっぱり古代文字が読めないのでどんなに見入っても分からないのは当然と言えば当然だけど、遂にドリューンさんも諦めたよう…だ?

「何処に転送されるかは魔法陣を見ただけでは分からんが、転送先を知る方法はある!! こうすれば良いんだ!!!!!」

一瞬何を言いだしたか理解出来なかったけど、ドリューンさんが何をしようとしてるのか一早く気が付いたカトレアが止めに入る。

「調べて分からないなら、使って自ら行ってみれば良いんだ!!!」
カトレアが転移魔法陣の書かれた紙を取り上げようとした瞬間、ドリューンさんが魔法陣に魔力を流し込んだ。

な、何やってくれてんだこのおっさん!!!
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

処理中です...