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第十一章
手抜きチャーハンと、愛しい君へ④
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来未は、三ノ宮から会社近くのカフェに呼び出されたことを俺に打ち明けてくれた。
この間の飲み会で、三ノ宮がどれだけプライドの高い女であるかということが分かった。ほぼ間違いなく、来未に何かを仕掛けるつもりだろう。
俺があんな風に言ったことで、もしかしたら三ノ宮が山田来未を退社に追い込んだのではないかと、疑念を抱いた者もいるはずだ。
普通ならば絶対に、会社近くを待ち合わせ場所に指定したりはしない。
あえてそのリスクを取る理由があるとするならば、それ以上に自分に利のある状況を作り出せる自信があるからに他ならない。
「クソ、あの女…」
この後に及んでもまだ来未を苦しめる気でいるのかと、はらわたが煮え繰り返りそうになる。
会社で顔を合わせたら、今度こそ手でも出してしまいそうだ。
(…いや、違う)
そもそも俺があんなことをしなければ、来未は三ノ宮と関わらずに済んだかもしれない。
本当に殴るべきは、三ノ宮じゃなくてあの時の短絡的な自分だと反省した。
「話ってやっぱり、私と新太さんのことでしょうか?」
「だと思う」
「三ノ宮さんは、利根川さんと新太さんが友達だということは知らないんですよね?」
「あぁ。恭平は、俺が友達の彼女から会社で話しかけられたりするのを嫌がるタチだって分かってるから。それに昨日も、一応念を押しておいたしな」
「まさかこのタイミングで、三ノ宮さんから連絡が来るなんて」
「なんの因果だろうな」
「新太さんは、利根川さんに事実を伝えるつもりなんですよね?」
「うん。だけど、伝えるだけでは信憑性が薄い。恭平にも実際に見てもらうことにしようと思う。三ノ宮が、どんな女なのかを」
俺の言葉に、来未が驚いたように顔を上げた。
この間の飲み会で、三ノ宮がどれだけプライドの高い女であるかということが分かった。ほぼ間違いなく、来未に何かを仕掛けるつもりだろう。
俺があんな風に言ったことで、もしかしたら三ノ宮が山田来未を退社に追い込んだのではないかと、疑念を抱いた者もいるはずだ。
普通ならば絶対に、会社近くを待ち合わせ場所に指定したりはしない。
あえてそのリスクを取る理由があるとするならば、それ以上に自分に利のある状況を作り出せる自信があるからに他ならない。
「クソ、あの女…」
この後に及んでもまだ来未を苦しめる気でいるのかと、はらわたが煮え繰り返りそうになる。
会社で顔を合わせたら、今度こそ手でも出してしまいそうだ。
(…いや、違う)
そもそも俺があんなことをしなければ、来未は三ノ宮と関わらずに済んだかもしれない。
本当に殴るべきは、三ノ宮じゃなくてあの時の短絡的な自分だと反省した。
「話ってやっぱり、私と新太さんのことでしょうか?」
「だと思う」
「三ノ宮さんは、利根川さんと新太さんが友達だということは知らないんですよね?」
「あぁ。恭平は、俺が友達の彼女から会社で話しかけられたりするのを嫌がるタチだって分かってるから。それに昨日も、一応念を押しておいたしな」
「まさかこのタイミングで、三ノ宮さんから連絡が来るなんて」
「なんの因果だろうな」
「新太さんは、利根川さんに事実を伝えるつもりなんですよね?」
「うん。だけど、伝えるだけでは信憑性が薄い。恭平にも実際に見てもらうことにしようと思う。三ノ宮が、どんな女なのかを」
俺の言葉に、来未が驚いたように顔を上げた。
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