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「第二章 この状況を、有効活用することにしました」
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今日のリリアンナは、ブラックドレスを身に纏っていた。それは、以前「母が呼んでいる」とわざわざ自分達に知らせに来てくれた時と同じ服装だと気付いた二人は、その日と同じように敷地内の丘まで行くことにした。
「お姉様も一緒に行こう」
「い、いいえ私は……」
「いいから、ほら!」
案の定乗り気ではない姉を、それぞれ両脇からぴったり包囲する。普段なら怖くてとても出来ない行動だけれど、ルシフォードとケイティベルの心の中には、以前とは違う感情が生まれていた。
――リリアンナは、危険を顧みず助けてくれた。
と。
敷地内のはずれにある、見晴らしのいい小高い丘。すぐ側には湖もあり、二人はここでしょっちゅう遊んでいる。けれど、そこにリリアンナも混ざったことはただの一度もなかった。
「私、やっぱり屋敷に帰るわ。ピアノや刺繍の練習も怠るわけにはいかないし……」
「心配しなくても、お姉様は完璧よ!少しくらい遊んでも、いきなり下手になったりしないわ」
「そうだよ。たまには僕達と一緒に遊ぼうよ!」
特にルシフォードは、気まずさが隠しきれていない。これまで怖い、苦手、嫌われている、などのネガティブな感情しかなかったのだから、いくら姉といえども急に距離は縮まらない。
それでも、シーツぐるぐる巻きの刑回避の為には、なんだって試してみるしかないのだと、二人は気合を漲らせていた。
弟妹の気迫に押されたリリアンナは、しぶしぶといった様子で側にしゃがみ込む。内心は心臓バクバクで、こんなに幸せな奇跡が起こるなんて私は明日死ぬのかしらと、ロイヤルブルーの瞳を血走らせていた。
「はい、ベル。これあげる」
「まぁ、綺麗。ありがとうルーシー」
あの日の再現をする為、二人はわざと同じ行動を取ることに決めた。ルシフォードは目に付いた中で一番萎れているように見える花を摘み、ケイティベルの耳元に挿してやる。
「どう?お姉様。私に似合ってる?」
にこっと笑いながら、彼女は姉に向かって小首を傾げる。右側の頬がぴくぴくと引き攣っているのは、ご愛嬌ということで。
リリアンナはぱちぱちと忙しなく瞬きを繰り返しながら、頭を振る。
「いいえ、それは貴女には相応しくないわ」
以前とまったく同じ台詞に、双子のふっくらとした体に力が込もる。やはりこの人は、意地悪な悪役令嬢なのではないかと。表情も険しく、ちっとも楽しそうに見えない。
本来ならば、少し臆病なルシフォードを引っ張るのはケイティベルの役目。けれど彼女は、傷ついたようにしゅんと俯いている。それに気付いた弟は、覚悟を決めてぎゅっと拳を握り締めた。
「リ、リリアンナお姉様!」
はっきりとした力強い口調で名前を呼ばれ、リリアンナの心の頬がぽっと染まる。
「どうして、そんな酷いことを言うの?ケイティベルには似合わないって意味?それとも、萎れたお花を選んだ僕を責めているの?」
争いごとが苦手なルシフォードにとっては、一世一代の行動と言っても過言ではない。威嚇するようにきっ!と眉を吊り上げてみせても、丸くてふわふわの頬がそれを台無しにしている。
詰め寄られたリリアンナは「まさかそんなはずない!」と叫びそうになった。が、自身の愛想のなさと感情表現の乏しさは理解している。いつもこんな風に誤解させてしまっているのだと思うと、酷く胸が痛んだ。
「お姉様も一緒に行こう」
「い、いいえ私は……」
「いいから、ほら!」
案の定乗り気ではない姉を、それぞれ両脇からぴったり包囲する。普段なら怖くてとても出来ない行動だけれど、ルシフォードとケイティベルの心の中には、以前とは違う感情が生まれていた。
――リリアンナは、危険を顧みず助けてくれた。
と。
敷地内のはずれにある、見晴らしのいい小高い丘。すぐ側には湖もあり、二人はここでしょっちゅう遊んでいる。けれど、そこにリリアンナも混ざったことはただの一度もなかった。
「私、やっぱり屋敷に帰るわ。ピアノや刺繍の練習も怠るわけにはいかないし……」
「心配しなくても、お姉様は完璧よ!少しくらい遊んでも、いきなり下手になったりしないわ」
「そうだよ。たまには僕達と一緒に遊ぼうよ!」
特にルシフォードは、気まずさが隠しきれていない。これまで怖い、苦手、嫌われている、などのネガティブな感情しかなかったのだから、いくら姉といえども急に距離は縮まらない。
それでも、シーツぐるぐる巻きの刑回避の為には、なんだって試してみるしかないのだと、二人は気合を漲らせていた。
弟妹の気迫に押されたリリアンナは、しぶしぶといった様子で側にしゃがみ込む。内心は心臓バクバクで、こんなに幸せな奇跡が起こるなんて私は明日死ぬのかしらと、ロイヤルブルーの瞳を血走らせていた。
「はい、ベル。これあげる」
「まぁ、綺麗。ありがとうルーシー」
あの日の再現をする為、二人はわざと同じ行動を取ることに決めた。ルシフォードは目に付いた中で一番萎れているように見える花を摘み、ケイティベルの耳元に挿してやる。
「どう?お姉様。私に似合ってる?」
にこっと笑いながら、彼女は姉に向かって小首を傾げる。右側の頬がぴくぴくと引き攣っているのは、ご愛嬌ということで。
リリアンナはぱちぱちと忙しなく瞬きを繰り返しながら、頭を振る。
「いいえ、それは貴女には相応しくないわ」
以前とまったく同じ台詞に、双子のふっくらとした体に力が込もる。やはりこの人は、意地悪な悪役令嬢なのではないかと。表情も険しく、ちっとも楽しそうに見えない。
本来ならば、少し臆病なルシフォードを引っ張るのはケイティベルの役目。けれど彼女は、傷ついたようにしゅんと俯いている。それに気付いた弟は、覚悟を決めてぎゅっと拳を握り締めた。
「リ、リリアンナお姉様!」
はっきりとした力強い口調で名前を呼ばれ、リリアンナの心の頬がぽっと染まる。
「どうして、そんな酷いことを言うの?ケイティベルには似合わないって意味?それとも、萎れたお花を選んだ僕を責めているの?」
争いごとが苦手なルシフォードにとっては、一世一代の行動と言っても過言ではない。威嚇するようにきっ!と眉を吊り上げてみせても、丸くてふわふわの頬がそれを台無しにしている。
詰め寄られたリリアンナは「まさかそんなはずない!」と叫びそうになった。が、自身の愛想のなさと感情表現の乏しさは理解している。いつもこんな風に誤解させてしまっているのだと思うと、酷く胸が痛んだ。
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