死に戻りぽっちゃり双子、悪役お姉様を味方につける。

清澄 セイ

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「第二章 この状況を、有効活用することにしました」

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「まぁ、感じが悪い。妹をそんな風に邪険に扱うなんて」
「いえ、私はただ……」
「可哀想なケイティベル。ほら、こっちへおいで」
 ベルシアの手招きに素直に応じながらも、内心は姉が気になって仕方ない。これまでは怖いという感情しか抱いていなかったから、なんの疑問も感じずに母に甘えていたけれど、今はもう違う。
「ベル、大丈夫?」
 ルシフォードは彼女を案じ、優しく声を掛ける。それはリリアンナに傷つけられたという意味ではないのだけれど、ベルシアはそれ見たことかとほくそ笑む。
 リリアンナは無表情を貫いていてとても傷付いているようには見えないが、二人はどうしても違和感を拭えないまま。
 双子は互いを見つめながら、やはりこれはなんとかしなければならないと、決意を固めるように頷き合うのだった。

 約十年家族として過ごして来て、姉の部屋を訪れるのが初めてだなんておかしいと、なぜ今まで気付かなかったのだろう。
「そこに座って。今お茶を淹れるから」
 ルシフォードとケイティベルは、きょろきょろと視線を彷徨わせながら、そわそわと忙しなく指を動かす。
「お姉様が自分で淹れるの?」
「ええ、そうよ」
「いつもそうなの?」
「ええ」
 自分達も両親も、そんなことは絶対にしない。きちんと整理整頓された姉の部屋は清潔で綺麗だが、二人の子供部屋よりずっと物が少なく殺風景だった。
 リリアンナは手馴れた手付きで紅茶を淹れると、それぞれの前に置く。特徴のないカップとソーサーしかないことを、初めて残念に思った。

――せっかく二人が訪ねてきてくれたのだから、もっと素敵なおもてなしが出来たら良かったのに。

 最近立て続けに奇跡が起こるせいで、いよいよ死期が近いのではと覚悟を決めているリリアンナ。愛らしい弟妹を遠くから眺められるだけで幸せだったのに、こんな風に一緒に過ごせるなんて。
 二人の手は見た目以上にずっと柔らかくて温かで、陽だまりのような香りがした。同じ血を分けた家族なのに、自分とは何もかもが違う。
 両親や周囲から溢れんばかりの愛情を注がれている弟妹を、羨ましく思う気持ちもないわけではない。けれどそれ以上に、可愛い、愛しいという感情の方がずっと強かった。どうか二人には私のようになってほしくないと、願うのはそんなことばかり。
「この紅茶、とっても美味しいわ!」
「本当だ、すごく飲みやすい!」
 ふうふうとカップに息を吹きかけて、あちあちと唇を振るわせながら、白い頬をふんわりと紅く染める姿は、実に愛らしい。これまではただの作業だと思っていたけれど、自分の淹れた紅茶を喜んでもらえるのはとても嬉しいことだと、鉄仮面のリリアンナもついつられて微笑んだ。
「あ、お姉様が笑った!」
 妹に指摘された彼女は、途端に恥ずかしくなりぎゅっと眉間に皺を寄せる。怒らせてしまったのかと肩をすくめるケイティベルを見て、ルシフォードが勇気を出して尋ねる。
「お姉様は今怒っているの?」
「えっ?私は……」
「そんな顔をしていると、まるでベルに腹を立てているように見えるんだ」
 以前よりずっと姉を理解出来るようになり、表面と内面は正反対ではないのだろうかと思うようになったのだ。
「……ごめんなさい。ただ少し、恥ずかしかっただけなの」
 リリアンナも勇気を出して、二人に本音を打ち明ける。いつも凛とした美人な姉の照れた表情は、破壊力抜群の可愛らしさだった。
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