死に戻りぽっちゃり双子、悪役お姉様を味方につける。

清澄 セイ

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第七章「いざ、双子同士の対決へ!」

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 そんなオリバーの姿を、ルシフォードはじっと見つめていた。まるであの時の自分を見ているようで、胸が張り裂けそうになる。きっとケイティベルも、今目の前で涙を流しているオリビアと同じ気持ちだったのだろうと。
 大切な誰かを守ろうと身を挺して庇っても、それはその相手の幸せには直結しない。オリバーとオリビアの姉も、自分達の姉であるリリアンナも、弟妹の為に自らの命を犠牲にした。
 果たしてそれは、本当に正しい行動だと言えるのだろうか。愛する人を守りたいと思うのは、守られる側も同じであるのに。
「……みんな一緒に幸せになれたら、それが一番良いに決まってる」
 良いじゃないか、綺麗事だって。ルシフォードは、自身が甘い考えの持ち主だということも承知の上で、オリバーとオリビアを助けたいと願う。もしもそれで二人に足元を掬われたら、きっと後悔するだろう。この小さな掌では、まだ全員を救えない。
「ルシフォード……」
 ケイティベルの瞳には、決して消えない光が宿る。それは「何があっても貴方を否定しない」と、ルシフォードの全てを認められているような温かさだった。
「レオニル殿下、お願いです。二人を許してあげてください!」
 オリバーと同じように跪き、眼前の権力者に情状を乞う。ルシフォードは、そうすることしか出来ない自分が情けなくて堪らなかった。
「お前……」
「ここには敵なんていないし、酷いことをする人もいない。君の命を渡したって誰も喜ばないと思うし、逆に困ってしまうよ」
 まさか侯爵家の令息が跪くなど考えもしなかったオリバーは、驚愕にただ目を見開くだけ。頼りのナイフもなければ、おそらく体術でもレオニルには敵わない。それどころか喉元に剣の切先を突きつけられているというのに、恐怖よりも困惑の方が遥かに勝る。

――満月の夜に産まれた男女の双生児は、神の祝福の下に万人から愛されて然るべき。

「違う、こいつらは……」
 確かにルシフォードとケイティベルは、この世に誕生したその瞬間から恵まれている。大切にされ、愛され、温かな家と豊かな生活の中で、惨めで貧しい思いなどとはかけ離れた美しい花畑の中で生きてきた。
 だから、他人に慈悲を施すのは当たり前?いや、それは違うとオリバーは頭を振る。どれだけ我儘に振る舞ったとしても、絶対に見捨てられない環境にいる中で、二人は底抜けに優しくてお人好し。
 だからこそ、皆から愛され慈しまれる。全ての決め手は産まれであってそうでなく、ルシフォードとケイティベルは自分達の意志で、清らかな心を輝かせている。
「私からもどうかお願いします、レオニル殿下!オリビアとオリバーは、この屋敷の中でまだ何も罪を犯していません!」
 ルシフォードに続きケイティベルも、声を張り上げ援護する。胸にはオリビアを抱き抱えたまま、もはや窒息させたいのではという勢いでぎゅうっと力を込めていた。
「大体、痣を持って産まれたことの何がいけないっていうの!それを勝手に罪にしたのは、昔の貴族達じゃない!」
 彼女の言葉に、オリビアの体にぎゅうっと力が籠る。それはずっと、自分自身が抱えてきた叫びと同じだった。
「レオニル殿下。恐れながらこの私も、弟妹と共にお願い申し上げます」
 その時。パーラーの扉が静かに開き、リリアンナとエドモンドが揃って姿を現す。微かに漏れ聞いた弟妹の声色だけで、リリアンナはほとんど完璧に状況を把握していた。
「情けをかけたい気持ちは分かる。だがたとえ子どもとはいえ、公爵家に忍び込みあまつさえその子息の命を狙うなど、この場で切り捨てられても文句は言えまい」
「重々承知した上で申し上げております、殿下」
「罪は罪だ。経緯がどうであれ、無罪放免では示しがつかない」
 レオニルは、この場における自身の役割を把握していた。今にも泣きそうなケイティベルの顔を見て心はぐらぐらと揺れるが、王子という立場を持って産まれた以上彼もまた、粛々と役割をこなす必要がある。
 彼女を殺そうとした怒りや、白豚と罵倒した憤りとは、また別のもの。そう、決して私怨などではない。決して。
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