死に戻りぽっちゃり双子、悪役お姉様を味方につける。

清澄 セイ

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第七章「いざ、双子同士の対決へ!」

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「レオニル殿下の仰る通りです。我々は、この者達の罪を見逃すべきではない。ここに忍び入る以前のあれこれを不問にしたとしても、なかったことにして見逃せというのはあまりにも軽過ぎる」
「エドモンド殿下……」
 二人の王子が厳しい表情を見せる中で、ケイティベルのふくふくとした頬がみるみるうちに膨らんでいく。少し濃い目の眉をきっと吊り上げ、唇をつんと尖らせて。
 これは昔から、彼女が盛大にだだをこね始めるという合図。
「何よ、もう!皆無事だったんだからそれで良いじゃない!硬いこと言わないで、許してあげてよ!」
「ちょ、ちょっとだめだよベル!落ち着いて!」
「これが落ち着いていられるっていうの、ルーシー!」
 ぱんぱんに膨らんだ頬は、指で突いたら弾けてしまいそうだ。ルシフォードはおろおろと慌てふためきながら、ぱっと顔を上げ姉に助けを求めた。
 リリアンナは気の抜けたようにふふっと微笑むと、ケイティベルの下へと足を進めた。
「貴女はどんな表情でも可愛らしいけれど、殿下を困らせてはいけないわ」
「だって、お姉様……」
「意地悪を言っているわけではないと、貴女だって理解しているでしょう?」
 細くしなやかな指がケイティベルの頬に触れると、それはみるみるうちに萎んでいく。一見冷たく見える彼女のロイヤルブルーの瞳はどこまでも慈愛に満ちていて、側にいたオリビアは思わず目を奪われた。
 実の姉の顔など、とうの昔に記憶から消えている。けれどもしも生きていたならば、この人のように自分を慈しんでくれただろうかと。
「心配しないで、ケイティベル。きっと、すべて上手くいくから」
 リリアンナは愛しい妹の頬にそっとキスを落とすと、静かに立ち上がりエドモンドに視線を向ける。彼は小さく頷き、その形の良い唇を開いた。
「殿下さえお許しくださるのならば、彼らをトレンヴェルドへ同行させていただきたいのですが」
「トレンヴェルドヘ?それは……」
「いわゆる追放、という形をとることに」
 その場にいたリリアンナ以外の誰もが、彼の言葉に驚きを隠せない。どう捉えても追放とはほど遠く、むしろ彼らにとっては利にしかならない。
 トレンヴェルドは外国人に対する偏見もなく、他国民が共生する寛容な国。加えて「痣持ちの双子」にまつわる忌まわしい歴史もなく、迫害や冷遇もされない。
 ルシフォードとケイティベルの心情を汲んだ、明らかな救済措置だった。

「お姉様、それって……」
「ええ、そうねケイティベル。私も、そうすべきだと思うわ」
 リリアンナはそう言って、そっと妹の耳に唇を寄せる。
「いずれ私が輿入れした時には彼を護衛に、彼女をメイドとして側に置いてくださるって」
「まぁ、とっても素敵!」
 結局この場にいる全員の意見はほとんど一致しており、レオニルさえ「仕方ない」という表情で剣を突きつける腕にもさほど力入れていない。
 とはいえ、それは痣持ちの双子を信用しているからではなく、ルシフォードとケイティベルが強く望むからというだけのこと。この先、二人や他の誰かに牙を向くような真似をすれば、即刻断罪しなければならない。
「オリバーの馬鹿……っ!この死にたがり野郎!」
 が。おそらくその心配は必要ないだろうと、泣きじゃくりながら悪態を吐くオリビアを見つめながら、リリアンナは内心ほっと胸を撫で下ろす。想像していた以上に双子の絆は強く、そして心身ともに極限まで追い詰められていた。
 随分と大人びて見えるが、まだたった十歳の子ども達。本来ならば、温かな家族に囲まれて幸せに暮らしていたのにと思うと、心が痛む。
 彼らを虐げる外的要因さえ取り除けたならば、きっともうエトワナ家の双子を殺そうなどと考えはしない。
 ケイティベルは満面の笑みを浮かべながら再びオリビアに抱きつき、彼女は嫌そうにぷいっと顔を背ける。真っ赤に腫れた目のせいか、そこに敵意は感じられなかった。
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