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第二章「夢じゃないなんてありえない!」
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マーサさんに支度と簡単なレッスンをしてもらってるあいだ、いつのまにかどこかに消えたと思ってたルミエール姫が、気づいたら目の前にいた。
すごい形相でわたしを指差して、ダメ出しのオンパレード。マーサさんの優しさに落ち着いてた気持ちが、またどこかへ消えた。
マーサさんは悪い人じゃないって言ってたけど、ルミエール姫はやっぱり怖い。顔はそっくりなのに、やっぱり中身は全然違う。
「本当にメイは、わたくしと全然違うわ!」
イライラしたように足を踏みならしながら、ルミエール姫がわたしの心の中の声とおなじセリフを口にする。
「いくら貴族出身ではないからって、酷すぎる!こんなんじゃ、すぐにバレてしまうわ!」
「や、やっぱりわたしには……」
「弱音を吐くのはやめて!あなたには絶対に、わたくしの代わりを務めてもらわないと困るのよ!」
どうしてそんなに、わたしを身代わりにしたがるんだろう。わざわざレッスンまでして、こんなの絶対手間なのに。
「お嬢様。メイ様は不慣れなのですから、もっとゆっくり教えて差し上げませんと」
「そんな悠長なこと言っていられないわ!わたくしはカンペキな王女なのよ!あなたもそうならないといけないの!」
なんだか、ルミエール姫の様子が少し違う気がする。焦っているみたいに見えて、わたしは思わず彼女のキレイな瞳をジッと見つめた。
わたしの瞳も、こんな風に見えてるのかな?
「なによ、睨みつけて」
睨みつけてるのは、私じゃなくてルミエール姫だ。
「どうしてルミエール姫は、お茶会に参加しないんですか?」
「それは……」
彼女の視線が、横に逸れる。
「面倒だから。ただそれだけよ」
「もしバレたら、大変なことになるのに」
「そうならないように死ぬ気で頑張りなさいよ!」
ルミエール姫がさっきと同じように怒るけど、やっぱりなにかが引っかかる。
ふとわたしの頭の中に、昨日の夜の男の人たちの会話が浮かんでくる。
ー逃げようとしてもムダだぞ、ルミエール姫。お前は俺達が捕まえて、どっかの国に高値で売り払ってやる
ーそうとも。国民からは感謝されるかもしれないな。ワガママ姫がいなくなるんだから
ー嫌われ者の姫さまがいなくなっても、誰も悲しまないだろうさ
わたしが知ってるルミエール姫は、明るくて優しくて誰からも愛される…
「ちょっとメイ!ちゃんと聞いているの!?」
「あ……ご、ごめんなさい」
とにかく、こうなったらやるしかない。
「いい?絶対に余計なことはしないで!あなたはただ、ルミエールとして堂々と胸を張っているだけでいればいいのだから」
ルミエール姫の真剣な目に、わたしは思わずゴクンと唾を飲み込んだ。
すごい形相でわたしを指差して、ダメ出しのオンパレード。マーサさんの優しさに落ち着いてた気持ちが、またどこかへ消えた。
マーサさんは悪い人じゃないって言ってたけど、ルミエール姫はやっぱり怖い。顔はそっくりなのに、やっぱり中身は全然違う。
「本当にメイは、わたくしと全然違うわ!」
イライラしたように足を踏みならしながら、ルミエール姫がわたしの心の中の声とおなじセリフを口にする。
「いくら貴族出身ではないからって、酷すぎる!こんなんじゃ、すぐにバレてしまうわ!」
「や、やっぱりわたしには……」
「弱音を吐くのはやめて!あなたには絶対に、わたくしの代わりを務めてもらわないと困るのよ!」
どうしてそんなに、わたしを身代わりにしたがるんだろう。わざわざレッスンまでして、こんなの絶対手間なのに。
「お嬢様。メイ様は不慣れなのですから、もっとゆっくり教えて差し上げませんと」
「そんな悠長なこと言っていられないわ!わたくしはカンペキな王女なのよ!あなたもそうならないといけないの!」
なんだか、ルミエール姫の様子が少し違う気がする。焦っているみたいに見えて、わたしは思わず彼女のキレイな瞳をジッと見つめた。
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「なによ、睨みつけて」
睨みつけてるのは、私じゃなくてルミエール姫だ。
「どうしてルミエール姫は、お茶会に参加しないんですか?」
「それは……」
彼女の視線が、横に逸れる。
「面倒だから。ただそれだけよ」
「もしバレたら、大変なことになるのに」
「そうならないように死ぬ気で頑張りなさいよ!」
ルミエール姫がさっきと同じように怒るけど、やっぱりなにかが引っかかる。
ふとわたしの頭の中に、昨日の夜の男の人たちの会話が浮かんでくる。
ー逃げようとしてもムダだぞ、ルミエール姫。お前は俺達が捕まえて、どっかの国に高値で売り払ってやる
ーそうとも。国民からは感謝されるかもしれないな。ワガママ姫がいなくなるんだから
ー嫌われ者の姫さまがいなくなっても、誰も悲しまないだろうさ
わたしが知ってるルミエール姫は、明るくて優しくて誰からも愛される…
「ちょっとメイ!ちゃんと聞いているの!?」
「あ……ご、ごめんなさい」
とにかく、こうなったらやるしかない。
「いい?絶対に余計なことはしないで!あなたはただ、ルミエールとして堂々と胸を張っているだけでいればいいのだから」
ルミエール姫の真剣な目に、わたしは思わずゴクンと唾を飲み込んだ。
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