ワガママ姫とわたし!

清澄 セイ

文字の大きさ
23 / 89
第三章「わたしの大好きなお姫様」

2

しおりを挟む
お茶会は無事に進んで、このままなにもなく終わるかもしれないって胸を撫で下ろしたその時、

「ルミエール様。今日はやけにお静かですわね。お体の調子でも優れないのですか?」

わたしのとなりからそんな台詞が聞こえた。

そっちに視線を向けると、さっきまで座っていた人と違うご令嬢だったから、内心首を傾げる。

「この方は、アリー・アレクサンドリーヌ公爵令嬢です。お嬢様とはあまり折り合いがよくありません」
「あ、アレク……?」

反対側からマーサさんがこっそり教えてくれる。どうしてこの世界の人達って、やたらと名前が長いんだろう。とても覚えられそうにない。

それに、ルミエール姫とは仲がよくないって…

「ルミエール様?どうされました?」
「あ…えっと…」

わたしは深呼吸をしたあと、テーブルの下でグッとこぶしを握る。

「心配してくださりありがとうございます。わたくしはいつもとか、変わりありませんわ」

この喋り方、妙に恥ずかしい……っ

「それはよかったですわ。ルミエール様になにかあれば、この国の者達が悲しみますもの。ねぇ、みなさま?」

アリーさんが口元を扇子で隠しながら、クスクス笑う。言ってることは普通なのに、なんだか意地悪に感じるのはなんでだろう。

「この国の危機を救ってくださるのは、ルミエール様しかいませんわ」
「そうです、唯一の妖精つかいでいらっしゃるルミエール様がいれば、なにも怖くありません」
ウワサだって、きっとなにかの間違いに決まっていますもの」

アリーさんに合わせるみたいに、他の令嬢たちも一斉に話しはじめる。わたしの頭の中はハテナだらけで、必死に目配せしてマーサさんに助けを求めた。でも他の人が話しかけてくるから、彼女と話すスキがない。

頭の中がパニックになりながら、わたしは一生懸命考える。

ルミエール姫が「妖精つかい」だってことはわたしもよく知ってる。だって、誰よりもあの絵本が大好きでもう数えきれないくらい読んだから。

……そうだ。

わたしには、絵本の知識があるんだ。

なんで今まで気づかなかったんだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。 相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。 さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!? 「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」 星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。 「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」 「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」 ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や 帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……? 「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」 「お前のこと、誰にも渡したくない」 クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

王女様は美しくわらいました

トネリコ
児童書・童話
   無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。  それはそれは美しい笑みでした。  「お前程の悪女はおるまいよ」  王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。  きたいの悪女は処刑されました 解説版

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

処理中です...