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第六章「妖精の剣」
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それからも、わたしたちはひたすら前を目指した。ラランとソララの案内のおかげで、あんまり魔獣に出くわさずにすんでる。
さっきみたいに飛び出してきた魔獣は、ソルが応戦してくれた。
戦うところを初めて見たけど、ソルはやっぱりすごく強い。
「もう少しで着くわ」
「る、ルミエール姫。大丈夫ですか?」
「え、ええ……平気よっ」
いつものドレス姿とは違って、ルミエール姫は動きやすいワンピースに身を包んでる。それでもやっぱり、こんな風に歩くのは辛そうだ。
わたしもそこまで体力があるわけじゃないけど、ルミエール姫は王女さまだ。慣れてなくても当たり前だと思う。
それにいつ魔獣が出てくるか分からないから、恐怖でつい歩くペースも早くなる。
「わ、わたしにつかまってください」
「そんなことしなくたって」
「大丈夫だから、ほら」
額に玉のような汗を浮かべて荒い呼吸を繰り返しているルミエール姫に、わたしは肩を差し出す。
「……まったく、平気だと言っているのに」
拗ねたような口調とは裏腹に、彼女はしっかりとわたしに捕まる。その様子がおかしくて、思わず笑みがこぼれた。
「ここよ、メイ!」
ラランとソララが声を上げて、くるくると私の周りを回る。目の前がパッと開けて、さっきまで薄暗かった森の中にそこだけキラキラと光が差し込んでいた。
「すごい……」
あまりに幻想的で、無意識に声がもれる。
「ここだけは、妖精の力で守られてるんだ。魔女も手は出せない、神聖な場所だ」
ソララから聞いたことを、わたしが二人に説明する。ルミエール姫はわたしに寄りかかっていた体を起こした。
「あ、あの……ルミエール姫。なにか感じますか?」
本のストーリーでは、この場所でルミエール姫が聖なる剣を引き抜く。その剣で、魔女と戦って勝つんだ。
「わたくしは、なにも感じないわ」
「あ、ご、ごめんなさい」
「いいのよ、別に」
わたしは、自分の言葉にすごく後悔した。
さっきみたいに飛び出してきた魔獣は、ソルが応戦してくれた。
戦うところを初めて見たけど、ソルはやっぱりすごく強い。
「もう少しで着くわ」
「る、ルミエール姫。大丈夫ですか?」
「え、ええ……平気よっ」
いつものドレス姿とは違って、ルミエール姫は動きやすいワンピースに身を包んでる。それでもやっぱり、こんな風に歩くのは辛そうだ。
わたしもそこまで体力があるわけじゃないけど、ルミエール姫は王女さまだ。慣れてなくても当たり前だと思う。
それにいつ魔獣が出てくるか分からないから、恐怖でつい歩くペースも早くなる。
「わ、わたしにつかまってください」
「そんなことしなくたって」
「大丈夫だから、ほら」
額に玉のような汗を浮かべて荒い呼吸を繰り返しているルミエール姫に、わたしは肩を差し出す。
「……まったく、平気だと言っているのに」
拗ねたような口調とは裏腹に、彼女はしっかりとわたしに捕まる。その様子がおかしくて、思わず笑みがこぼれた。
「ここよ、メイ!」
ラランとソララが声を上げて、くるくると私の周りを回る。目の前がパッと開けて、さっきまで薄暗かった森の中にそこだけキラキラと光が差し込んでいた。
「すごい……」
あまりに幻想的で、無意識に声がもれる。
「ここだけは、妖精の力で守られてるんだ。魔女も手は出せない、神聖な場所だ」
ソララから聞いたことを、わたしが二人に説明する。ルミエール姫はわたしに寄りかかっていた体を起こした。
「あ、あの……ルミエール姫。なにか感じますか?」
本のストーリーでは、この場所でルミエール姫が聖なる剣を引き抜く。その剣で、魔女と戦って勝つんだ。
「わたくしは、なにも感じないわ」
「あ、ご、ごめんなさい」
「いいのよ、別に」
わたしは、自分の言葉にすごく後悔した。
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