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第二章「ムクチな同級生」
⑥
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それから放課後になり、私とはーちゃんは部活に行く支度を始める。一緒に行こうと思ったけど、はーちゃんは職員室に寄るらしいから先に行ってることにした。
部活が終わったら、やっぱり“MIX″に行ってみようかなぁ。話せるようになったって言っても、そもそも会うチャンスが少ないし。
「白石」
昇降口の端の方で名前を呼ばれ、私はそっちを向く。そこには甘崎君が立っていて、私は慌てて駆け寄った。
「今から部活?」
「うん、そうだよ。甘崎君部活は?」
「俺は入ってないから」
そっか、そうだよね。家の事全部やらなくちゃいけないんだもんね。
昨日は聞かなかったけど、甘崎君のご両親もウチと似たような感じなのかな?
「昨日はありがとう」
「こちらこそ」
私達はまるで井戸端会議のおばちゃんみたいな挨拶をして、ペコリとお辞儀をしあう。
すると甘崎君が、ごそごそとカバンから何かを取り出した。
「これ。もしよかったら食べて」
「えっ!」
「クッキー。昨日、白石が帰った後に翠達が駄々こねるから作った」
シンプルな袋に入れられたそれは、中身が見えない。でも受け取ると、ふんわりと甘い香りがした。
「苦手なら持って帰るけど」
「ううん、クッキー大好きだよ」
笑顔になる私を見て、甘崎君の表情も少し和らぐ。
「でもあの時間からクッキー作っちゃうなんて、やっぱり甘崎君って凄いね」
「別に。クッキーってそんなに難しくないし」
「ア、アハハ。そうなんだ」
王寺先輩のタイプを聞いた後スマホでレシピ調べたけど、よく分からなくてすぐ諦めたとは言えない。
「ホントにもらっちゃっていいの?」
「アイツらが、白石にも渡せってうるさくて」
「そうなんだ、じゃあもらうね。ありがとう甘崎君」
甘崎君は軽く頷くと、くるっと背を向けて帰っていく。私はもらったクッキーを、大切にカバンにしまった。
何だか、さっきよりうんと元気が出た気がする。今日も、部活頑張ろう。
部活が終わったら、やっぱり“MIX″に行ってみようかなぁ。話せるようになったって言っても、そもそも会うチャンスが少ないし。
「白石」
昇降口の端の方で名前を呼ばれ、私はそっちを向く。そこには甘崎君が立っていて、私は慌てて駆け寄った。
「今から部活?」
「うん、そうだよ。甘崎君部活は?」
「俺は入ってないから」
そっか、そうだよね。家の事全部やらなくちゃいけないんだもんね。
昨日は聞かなかったけど、甘崎君のご両親もウチと似たような感じなのかな?
「昨日はありがとう」
「こちらこそ」
私達はまるで井戸端会議のおばちゃんみたいな挨拶をして、ペコリとお辞儀をしあう。
すると甘崎君が、ごそごそとカバンから何かを取り出した。
「これ。もしよかったら食べて」
「えっ!」
「クッキー。昨日、白石が帰った後に翠達が駄々こねるから作った」
シンプルな袋に入れられたそれは、中身が見えない。でも受け取ると、ふんわりと甘い香りがした。
「苦手なら持って帰るけど」
「ううん、クッキー大好きだよ」
笑顔になる私を見て、甘崎君の表情も少し和らぐ。
「でもあの時間からクッキー作っちゃうなんて、やっぱり甘崎君って凄いね」
「別に。クッキーってそんなに難しくないし」
「ア、アハハ。そうなんだ」
王寺先輩のタイプを聞いた後スマホでレシピ調べたけど、よく分からなくてすぐ諦めたとは言えない。
「ホントにもらっちゃっていいの?」
「アイツらが、白石にも渡せってうるさくて」
「そうなんだ、じゃあもらうね。ありがとう甘崎君」
甘崎君は軽く頷くと、くるっと背を向けて帰っていく。私はもらったクッキーを、大切にカバンにしまった。
何だか、さっきよりうんと元気が出た気がする。今日も、部活頑張ろう。
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