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第二章「ムクチな同級生」
⑤
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ーー
次の日。お昼のパンを食べた後、私は教室の机に頬杖をついて本を読んでる甘崎君の方を、ジーッと見つめてる。
うぅん。見れば見るほど、昨日の甘崎君と同じ人だとは思えない。
五歳の双子、ミドリ君とアオ君。小学二年生のギンガ君に、五年生のシュタロー君。そして、長男の甘崎君。
全員男の子だから凄くパワフルだったし、私より食べる量も全然凄かった。
昨日の甘崎君はエプロン姿で手にはしゃもじを持って、弟達にあれやこれや言いながら家の中をせかせかと動き回ってた。
急にお邪魔しちゃった私の分まで、ご飯を用意してくれたし。
まるで、テレビでたまに見る大家族の肝っ玉母さんみたい。
教室での甘崎君のイメージは、頭がよくて大人しくてあんまり誰かと仲良さそうにしてる感じがない。
大人っぽいっていうか、ちょっと他の男子とは雰囲気が違う気がする。
クラスの皆が甘崎君の肝っ玉母さんぶりを知ったら、絶対ビックリするだろうな。
「…」
そんな感じで甘崎君観察をしていると、はーちゃんが私の目の前でひらひらと手を振った。
「ツバサ、どうしたのボーッとして。まだ寝ぼけてる?」
「今昼休憩だよ!?さすがにそれはないから」
パッと反応した私を見て、はーちゃんが楽しそうに笑う。それから思い出したように、ポンと手を叩いた。
「そういえば兄ちゃんが言ってたんだけど、王寺先輩今日あのテニスショップに行くんだって」
「えっ、そうなの?」
「ラケットのガットを張り替えてもらってたやつ、取りに行くって言ってたらしいよ」
ガットというのはラケットの網目の部分のことで、普段はピンとしっかり張られてるんだけど、ずっとボールを打ってると段々それが弛んでくる。そのままだと、ボールの威力やスピードが落ちるんだって。
そういう時はウチで張り替えてあげるから持っておいでって、この間のテニスショップの奥さんが教えてくれた。
「この間からちょくちょく話しかけられるんでしょ?だったらもっと仲良くなるチャンスじゃん」
はーちゃんにバシッと肩を叩かれて、私は頭の中に王寺先輩の顔を思い浮かべる。
見かけたら手を振ってくれたり、ちょっと話もできるようになって、前よりももっと王寺先輩のことがかっこよく見えるようになった。
はーちゃんが教えてくれたチャンスだって、無駄にはしたくない。
けど…
ーー王寺君って、お菓子とかが作れる家庭的な子がタイプなんだって
先輩達が話してた会話の内容が、頭の中でずっと引っかかってもやもやが消えない。
私は全然家庭的じゃないし、このままもっと好きになったとしても振られるのは確実。それを考えると、前みたいにまっすぐな気持ちでぶつかれなくなってしまった。
「ツバサ。さっきからどうしたのよ」
「なんでもないよ!教えてくれてありがとう」
はーちゃんの目を見てニコッと笑うと、彼女も安心したみたいに笑顔を返してくれた。
甘崎君が本の隙間からこっちを見ていることに、私は気がつかなった。
次の日。お昼のパンを食べた後、私は教室の机に頬杖をついて本を読んでる甘崎君の方を、ジーッと見つめてる。
うぅん。見れば見るほど、昨日の甘崎君と同じ人だとは思えない。
五歳の双子、ミドリ君とアオ君。小学二年生のギンガ君に、五年生のシュタロー君。そして、長男の甘崎君。
全員男の子だから凄くパワフルだったし、私より食べる量も全然凄かった。
昨日の甘崎君はエプロン姿で手にはしゃもじを持って、弟達にあれやこれや言いながら家の中をせかせかと動き回ってた。
急にお邪魔しちゃった私の分まで、ご飯を用意してくれたし。
まるで、テレビでたまに見る大家族の肝っ玉母さんみたい。
教室での甘崎君のイメージは、頭がよくて大人しくてあんまり誰かと仲良さそうにしてる感じがない。
大人っぽいっていうか、ちょっと他の男子とは雰囲気が違う気がする。
クラスの皆が甘崎君の肝っ玉母さんぶりを知ったら、絶対ビックリするだろうな。
「…」
そんな感じで甘崎君観察をしていると、はーちゃんが私の目の前でひらひらと手を振った。
「ツバサ、どうしたのボーッとして。まだ寝ぼけてる?」
「今昼休憩だよ!?さすがにそれはないから」
パッと反応した私を見て、はーちゃんが楽しそうに笑う。それから思い出したように、ポンと手を叩いた。
「そういえば兄ちゃんが言ってたんだけど、王寺先輩今日あのテニスショップに行くんだって」
「えっ、そうなの?」
「ラケットのガットを張り替えてもらってたやつ、取りに行くって言ってたらしいよ」
ガットというのはラケットの網目の部分のことで、普段はピンとしっかり張られてるんだけど、ずっとボールを打ってると段々それが弛んでくる。そのままだと、ボールの威力やスピードが落ちるんだって。
そういう時はウチで張り替えてあげるから持っておいでって、この間のテニスショップの奥さんが教えてくれた。
「この間からちょくちょく話しかけられるんでしょ?だったらもっと仲良くなるチャンスじゃん」
はーちゃんにバシッと肩を叩かれて、私は頭の中に王寺先輩の顔を思い浮かべる。
見かけたら手を振ってくれたり、ちょっと話もできるようになって、前よりももっと王寺先輩のことがかっこよく見えるようになった。
はーちゃんが教えてくれたチャンスだって、無駄にはしたくない。
けど…
ーー王寺君って、お菓子とかが作れる家庭的な子がタイプなんだって
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私は全然家庭的じゃないし、このままもっと好きになったとしても振られるのは確実。それを考えると、前みたいにまっすぐな気持ちでぶつかれなくなってしまった。
「ツバサ。さっきからどうしたのよ」
「なんでもないよ!教えてくれてありがとう」
はーちゃんの目を見てニコッと笑うと、彼女も安心したみたいに笑顔を返してくれた。
甘崎君が本の隙間からこっちを見ていることに、私は気がつかなった。
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