おとなりさんはオカン男子!

清澄 セイ

文字の大きさ
12 / 45
第二章「ムクチな同級生」

しおりを挟む
ーー

次の日。お昼のパンを食べた後、私は教室の机に頬杖をついて本を読んでる甘崎君の方を、ジーッと見つめてる。

うぅん。見れば見るほど、昨日の甘崎君と同じ人だとは思えない。

五歳の双子、ミドリ君とアオ君。小学二年生のギンガ君に、五年生のシュタロー君。そして、長男の甘崎君。

全員男の子だから凄くパワフルだったし、私より食べる量も全然凄かった。

昨日の甘崎君はエプロン姿で手にはしゃもじを持って、弟達にあれやこれや言いながら家の中をせかせかと動き回ってた。

急にお邪魔しちゃった私の分まで、ご飯を用意してくれたし。

まるで、テレビでたまに見る大家族の肝っ玉母さんみたい。

教室での甘崎君のイメージは、頭がよくて大人しくてあんまり誰かと仲良さそうにしてる感じがない。

大人っぽいっていうか、ちょっと他の男子とは雰囲気が違う気がする。

クラスの皆が甘崎君の肝っ玉母さんぶりを知ったら、絶対ビックリするだろうな。

「…」

そんな感じで甘崎君観察をしていると、はーちゃんが私の目の前でひらひらと手を振った。

「ツバサ、どうしたのボーッとして。まだ寝ぼけてる?」

「今昼休憩だよ!?さすがにそれはないから」

パッと反応した私を見て、はーちゃんが楽しそうに笑う。それから思い出したように、ポンと手を叩いた。

「そういえば兄ちゃんが言ってたんだけど、王寺先輩今日あのテニスショップに行くんだって」

「えっ、そうなの?」

「ラケットのガットを張り替えてもらってたやつ、取りに行くって言ってたらしいよ」

ガットというのはラケットの網目の部分のことで、普段はピンとしっかり張られてるんだけど、ずっとボールを打ってると段々それが弛んでくる。そのままだと、ボールの威力やスピードが落ちるんだって。

そういう時はウチで張り替えてあげるから持っておいでって、この間のテニスショップの奥さんが教えてくれた。

「この間からちょくちょく話しかけられるんでしょ?だったらもっと仲良くなるチャンスじゃん」

はーちゃんにバシッと肩を叩かれて、私は頭の中に王寺先輩の顔を思い浮かべる。

見かけたら手を振ってくれたり、ちょっと話もできるようになって、前よりももっと王寺先輩のことがかっこよく見えるようになった。

はーちゃんが教えてくれたチャンスだって、無駄にはしたくない。

けど…

ーー王寺君って、お菓子とかが作れる家庭的な子がタイプなんだって

先輩達が話してた会話の内容が、頭の中でずっと引っかかってもやもやが消えない。

私は全然家庭的じゃないし、このままもっと好きになったとしても振られるのは確実。それを考えると、前みたいにまっすぐな気持ちでぶつかれなくなってしまった。

「ツバサ。さっきからどうしたのよ」

「なんでもないよ!教えてくれてありがとう」

はーちゃんの目を見てニコッと笑うと、彼女も安心したみたいに笑顔を返してくれた。

甘崎君が本の隙間からこっちを見ていることに、私は気がつかなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

【親子おはなし絵本】ドングリさんいっぱい(2~4歳向け(漢字えほん):いろいろできたね!)

天渡 香
絵本
「ごちそうさま。ドングリさんをちょうだい」ママは、さっちゃんの小さな手に、ドングリさんをのせます。 +:-:+:-:+ ドングリさんが大好きな我が子ために作った絵本です。 +:-:+:-:+ 「ひとりでトイレに行けたね!」とほめながら、おててにドングリさんを渡すような話しかけをしています(親子のコミュニケーションを目的にしています)。 +:-:+:-:+ 「ドングリさんをちょうだい」のフレーズを繰り返しているうちに、子供の方から「ドングリさんはどうしたらもらえるの?」とたずねてくれたので、「ひとりでお着がえできたら、ドングリさんをもらえるよ~」と、我が家では親子の会話がはずみました。 +:-:+:-:+ 寝る前に、今日の「いろいろできたね!」をお話しするのにもぴったりです! +:-:+:-:+ 2歳の頃から、園で『漢字えほん(漢字が含まれている童話の本)』に親しんでいる我が子。出版数の少ない、低年齢向けの『漢字えほん』を自分で作ってみました。漢字がまじる事で、大人もスラスラ読み聞かせができます。『友達』という漢字を見つけて、子供が喜ぶなど、ひらがなだけの絵本にはない発見の楽しさがあるようです。 +:-:+:-:+ 未満児(1~3歳頃)に漢字のまじった絵本を渡すというのには最初驚きましたが、『街中の看板』『広告』の一つ一つも子供にとっては楽しい童話に見えるようです。漢字の成り立ちなどの『漢字えほん』は多数ありますが、童話に『漢字とひらがなとカタカナ』を含む事で、自然と興味を持って『文字が好き』になったみたいです。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

ぼくのだいじなヒーラー

もちっぱち
絵本
台所でお母さんと喧嘩した。 遊んでほしくて駄々をこねただけなのに 怖い顔で怒っていたお母さん。 そんな時、不思議な空間に包まれてふわりと気持ちが軽くなった。 癒される謎の生き物に会えたゆうくんは楽しくなった。 お子様向けの作品です ひらがな表記です。 ぜひ読んでみてください。 イラスト:ChatGPT(OpenAI)生成

ボクは平和を祈ります

山碕田鶴
絵本
ボクの名前はサラマです。ボクは平和を祈ります。それがボクのお仕事です──。 人間のために祈り続けるロボットのおはなしです。 (Ver.α)

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

かぐや

山碕田鶴
児童書・童話
山あいの小さな村に住む老夫婦の坂木さん。タケノコ掘りに行った竹林で、光り輝く筒に入った赤ちゃんを拾いました。 現代版「竹取物語」です。 (表紙写真/山碕田鶴)

処理中です...