おとなりさんはオカン男子!

清澄 セイ

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第二章「ムクチな同級生」

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「ツバサちゃん、また遊びにきてね!絶対だからね!」

「うん。約束ね」

「破るなよツバサ!」

私は甘崎ツインズに惜しまれながら、玄関でローファーを履く。

あぁ、ホントにおいしかった。それに皆につられて、私も食べすぎちゃった。

「ツバサちゃん、またきてね」

「ありがとう、ギンガ君」

ニコッと笑うその顔が、めちゃくちゃ可愛くて癒された。

「今日ツバサさんがいてくれて、兄ちゃんも嬉しそうでした」

無表情でそう言うシュタロー君の頭を、甘崎君がペシッと叩く。

「ほらお前ら、もうさっさと風呂入ってこい」

「はぁい。ツバサちゃん、またねぇ」

「ばいばい、ツバサ」

「ばいばい、おやすみ」

中に入っていく甘崎兄弟に笑顔で手を振りながら、私はチラッと自分の家に視線を向けた。

それに気づいたのか、甘崎君も私と同じ方向を見る。

もうとっくに遅い時間なのに、明かりのついてない私の家。何となく恥ずかしくなって、私はヘラッと笑った。

「うちの親仕事でいつも帰り遅いんだよね。お父さんは単身赴任中だし、私兄弟いないし」

「そうなんだ」

「家で一人って気楽でいいよ?何しても怒られないし。好きなもの買って食べられるし」

つらつらと早口で喋る私を、甘崎君は何も言わずにジッと見つめてる。

それから、優しげに目を細めてほんの少しだけ笑った。

「白石は一人で色々やって、偉いんだな」

「え…」

まさかそんな風に言われるなんて思わなかったから、どう反応したらいいのか分からない。

「私なんて全然だよ!偉いのは甘崎君の方じゃん!弟が四人もいて、そのお世話したりご飯作ったり家事したり。私には絶対、真似できないことだもん」

忙しく働いてるお母さんの為に何かしてあげたくても、やり方が分からない。だから結局、大した手伝いもできてない。

甘崎君と私は大違いだ。

「そうかな」

「そうだよ!それにご飯、ホントにおいしかったし!」

「じゃあ、また食べにくる?」

甘崎君の言葉に、私はすぐに返事ができなかった。

「でも…悪いよ」

「翠と蒼と約束してたじゃん」

「いやあれは…」

甘崎君は柔らかい表情で、私の頭の上にポンと手を乗せる。とっさのことに、私は驚いて目を見開いた。

「あんなにおいしいって連呼されると、作りがいあるし」

「甘崎君…」

「まぁ、ウチは男ばっかりらだし白石が嫌じゃなきゃだけど」

私は思いっきり首を横に振って、甘崎君の言葉を否定する。

「嫌なわけないよ!だって今日、凄く楽しかったもん」

「そっか」

「うん!」

鼻息を荒くしながら答える私を見て、甘崎君がおかしそうに笑った。

「あいつらとまた遊んでやってよ」

「うん、私でよければぜひ!」

「ありがと」

甘崎君はそれだくけ言うと、くるっと向きを変えて戻っていく。

「こちらこそ、ホントにありがとう!」

背中に向かって大声でお礼を言うと、彼は振り向かないまま片手だけを上げた。それだけで私は、何だかほっこりした気持ちで家の鍵を開けたのだった。
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