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第三章「縮んでいくキョリ」
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それから一週間、私は部活が終わると速攻で家に帰って毎日クッキー作りに挑戦していた。だけどなぜか、レシピ通りに作っても上手くいかない。
チーンとオーブンの小気味いい音が響いて、私はミトンを両手につける。ソッとオーブンを開けてクッキーを取り出し、しばらく冷ましてから一枚口に入れた。
「…違う、こんなんじゃない」
ガクッと肩を落として、私はキッチンカウンターにうなだれる。何回作っても、甘崎君みたいにおいしくできない。
材料も工程も合ってるはずだし、一応ちゃんとクッキーにもなってる。なのにおいしいと思えないんだよなぁ。
「…流石に飽きてきちゃった」
あんまりおいしくないとはいえ捨てるわけにもいかないから、ここ最近私の晩御飯はずっとクッキーだ。
今日なんて、家の鍵を開ける時時甘崎君のお家からいい匂いが漂ってきて、ついお腹が鳴っちゃったし。
甘崎君に何回か夕食に招待されたけど、忙しいからって断ってる。甘崎君には申し訳ないけど、今の私には彼を気遣う余裕がなかった。
だって、もっと最低なことをしてるから。
「…よし、もう一回作り直そう」
スクッと立ち上がると、冷蔵庫からバターと玉子を取り出す。その瞬間、手が滑って玉子がグシャッと床に落ちてしまった。
「もう、最悪…」
自分が情けなくて、涙が出てくる。どうして私はあの時、先輩にちゃんと言えなかったんだろう。
人からもらったものを自分が作ったみたいに思わせて王寺先輩を騙して、私は本当に最低だ。こんなごまかすみたいにクッキー作ってみたって、何の意味もないのに。
無惨な姿になってしまった玉子が、今の自分と重なる。
甘崎君にだって、あんなによくしてもらってるのに。
瞳から溢れた涙が、ポタポタッと割れた玉子の上に落ちた。
チーンとオーブンの小気味いい音が響いて、私はミトンを両手につける。ソッとオーブンを開けてクッキーを取り出し、しばらく冷ましてから一枚口に入れた。
「…違う、こんなんじゃない」
ガクッと肩を落として、私はキッチンカウンターにうなだれる。何回作っても、甘崎君みたいにおいしくできない。
材料も工程も合ってるはずだし、一応ちゃんとクッキーにもなってる。なのにおいしいと思えないんだよなぁ。
「…流石に飽きてきちゃった」
あんまりおいしくないとはいえ捨てるわけにもいかないから、ここ最近私の晩御飯はずっとクッキーだ。
今日なんて、家の鍵を開ける時時甘崎君のお家からいい匂いが漂ってきて、ついお腹が鳴っちゃったし。
甘崎君に何回か夕食に招待されたけど、忙しいからって断ってる。甘崎君には申し訳ないけど、今の私には彼を気遣う余裕がなかった。
だって、もっと最低なことをしてるから。
「…よし、もう一回作り直そう」
スクッと立ち上がると、冷蔵庫からバターと玉子を取り出す。その瞬間、手が滑って玉子がグシャッと床に落ちてしまった。
「もう、最悪…」
自分が情けなくて、涙が出てくる。どうして私はあの時、先輩にちゃんと言えなかったんだろう。
人からもらったものを自分が作ったみたいに思わせて王寺先輩を騙して、私は本当に最低だ。こんなごまかすみたいにクッキー作ってみたって、何の意味もないのに。
無惨な姿になってしまった玉子が、今の自分と重なる。
甘崎君にだって、あんなによくしてもらってるのに。
瞳から溢れた涙が、ポタポタッと割れた玉子の上に落ちた。
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