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第六章「手作りクッキーの意味」
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「お疲れ様でしたー!」
初めての試合も終わり、はーちゃんと一緒に帰る。勝った試合も負けた試合も、どれも凄く勉強になった。
県大会に進めなかった三年生の先輩は、今日で部活を引退することになる。悔し涙を流している姿を見て、応援で参加していた私達も無意識に目元を拭っていた。
「改めて、先輩達って凄いんだなって思ったよ!私ももっともっと、練習頑張らなきゃ!」
「ちょっとツバサ、声ガラガラ」
力いっぱい応援に精を出していた私の喉は、限界だったらしい。喋るのが大変だけど、今日はホントに充実した一日だったから何にも悔いはない。
「ねぇツバサ、今日この後なんか食べにいかない?」
「ごめんはーちゃん、私ちょっと用があって…」
「そうなんだ、分かった」
はーちゃんは笑いながら「また今度ね」って言ってくれた。私は心の中で何回も彼女に謝りながら、これから自分がしようとしてることを考えると、緊張でどうにかなりそうだった。
途中ではーちゃんと別れ、夕暮れの中を一人歩く。目の前に長く伸びた自分の影が、何だか私の背中を押してくれてるような気がして。少しでも早く帰ろうと、私は駆け出す。
「白石さん」
その瞬間後ろから名前を呼ばれ、私はピタリと足を止める。振り返ると王寺先輩が、笑顔で手を振っていた。
「王寺先輩!今日はお疲れ様でした!県大会進出おめでとうございます」
「ありがとう。白石さんこそ、声が枯れるまでお疲れ様」
王寺先輩がクスクス笑うから、恥ずかしくて頬っぺたが熱くなった。
「もしかして今、急いで帰ろうとしてた?声かけない方がよかったかな」
「いえ、そんなことないです!」
「そっか、よかった」
優しい笑顔で私を見つめる先輩に、ギュッと胸が苦しくなる。王寺先輩はいつだって優しくて、いつも私を励ましてくれた。
本物の王子様みたいにキラキラしてて、皆から好かれる人気者で、私みたいな後輩にも分け隔てなく接してくれた。
部活見学のあの日、初めて見た王寺先輩から私は目が逸らせなかった。コートの中を自由に駆け回って力強くボールを打つその姿は、今でもハッキリ思い出せる。
私の憧れの、素敵な先輩。
「あ、あの!」
背中に背負ったラケットの紐をキツく握りしめ、私は王寺先輩を見つめる。
「何?どうしたの?」
「あの、今日先輩が言ってくれたことなんですけど…ごめんなさい私、二人では出かけられません」
ホントは怖くて、王寺先輩から目を逸らしそうになる。だけどそれは、失礼なことだと思うから。
「誘ってもらえて凄く嬉しかったです、ありがとうございました」
「やっぱりこの間の彼と付き合ってる、とか?」
「違います!ホントに付き合ってません。でも…甘崎君は私にとって大切な人です」
私の言葉に、王寺先輩の表情が一瞬曇る。
私の中途半端な態度のせいで、王寺先輩を傷つけてる。憧れの人に近づけたって舞い上って、先輩の気持ちをちゃんと考えられなかった。
「そんな人がいるなら、二人で遊んだりするのはまずいよね。分かった、もう言わないから」
「あの…王寺先輩」
「まいったな。思ったよりショックみたいだ」
王寺先輩は小さく笑いながら、後ろ手に頭をかいた。
「でも白石さんは大事な後輩だし、同じテニス部としてこれからもよろしくね」
「はい、私王寺先輩のことずっと応援してます!」
「ありがとう。じゃあ、気をつけて帰ってね」
王寺先輩がクルッと背を向けると、影がまっすぐに伸びる。私は深々とお辞儀をした後、先輩の姿が見えなくなるまでそこに立っていた。
初めての試合も終わり、はーちゃんと一緒に帰る。勝った試合も負けた試合も、どれも凄く勉強になった。
県大会に進めなかった三年生の先輩は、今日で部活を引退することになる。悔し涙を流している姿を見て、応援で参加していた私達も無意識に目元を拭っていた。
「改めて、先輩達って凄いんだなって思ったよ!私ももっともっと、練習頑張らなきゃ!」
「ちょっとツバサ、声ガラガラ」
力いっぱい応援に精を出していた私の喉は、限界だったらしい。喋るのが大変だけど、今日はホントに充実した一日だったから何にも悔いはない。
「ねぇツバサ、今日この後なんか食べにいかない?」
「ごめんはーちゃん、私ちょっと用があって…」
「そうなんだ、分かった」
はーちゃんは笑いながら「また今度ね」って言ってくれた。私は心の中で何回も彼女に謝りながら、これから自分がしようとしてることを考えると、緊張でどうにかなりそうだった。
途中ではーちゃんと別れ、夕暮れの中を一人歩く。目の前に長く伸びた自分の影が、何だか私の背中を押してくれてるような気がして。少しでも早く帰ろうと、私は駆け出す。
「白石さん」
その瞬間後ろから名前を呼ばれ、私はピタリと足を止める。振り返ると王寺先輩が、笑顔で手を振っていた。
「王寺先輩!今日はお疲れ様でした!県大会進出おめでとうございます」
「ありがとう。白石さんこそ、声が枯れるまでお疲れ様」
王寺先輩がクスクス笑うから、恥ずかしくて頬っぺたが熱くなった。
「もしかして今、急いで帰ろうとしてた?声かけない方がよかったかな」
「いえ、そんなことないです!」
「そっか、よかった」
優しい笑顔で私を見つめる先輩に、ギュッと胸が苦しくなる。王寺先輩はいつだって優しくて、いつも私を励ましてくれた。
本物の王子様みたいにキラキラしてて、皆から好かれる人気者で、私みたいな後輩にも分け隔てなく接してくれた。
部活見学のあの日、初めて見た王寺先輩から私は目が逸らせなかった。コートの中を自由に駆け回って力強くボールを打つその姿は、今でもハッキリ思い出せる。
私の憧れの、素敵な先輩。
「あ、あの!」
背中に背負ったラケットの紐をキツく握りしめ、私は王寺先輩を見つめる。
「何?どうしたの?」
「あの、今日先輩が言ってくれたことなんですけど…ごめんなさい私、二人では出かけられません」
ホントは怖くて、王寺先輩から目を逸らしそうになる。だけどそれは、失礼なことだと思うから。
「誘ってもらえて凄く嬉しかったです、ありがとうございました」
「やっぱりこの間の彼と付き合ってる、とか?」
「違います!ホントに付き合ってません。でも…甘崎君は私にとって大切な人です」
私の言葉に、王寺先輩の表情が一瞬曇る。
私の中途半端な態度のせいで、王寺先輩を傷つけてる。憧れの人に近づけたって舞い上って、先輩の気持ちをちゃんと考えられなかった。
「そんな人がいるなら、二人で遊んだりするのはまずいよね。分かった、もう言わないから」
「あの…王寺先輩」
「まいったな。思ったよりショックみたいだ」
王寺先輩は小さく笑いながら、後ろ手に頭をかいた。
「でも白石さんは大事な後輩だし、同じテニス部としてこれからもよろしくね」
「はい、私王寺先輩のことずっと応援してます!」
「ありがとう。じゃあ、気をつけて帰ってね」
王寺先輩がクルッと背を向けると、影がまっすぐに伸びる。私は深々とお辞儀をした後、先輩の姿が見えなくなるまでそこに立っていた。
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