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 その夜のことです。
 ホゥ、ホゥ、と、だれかがワニによびかけました。
 見上げると、木の上に小さなきいろいがふたつ、うかんでいます。よく見ればそれは、まん丸な目をしたフクロウでした。

「あの子たち、すっかりおまえさんをしんじたみたいだね」
 フクロウは、ワニがおそいかかれない高い木のえだから、ひるまのようすを見ていたのです。

「よこどりはゆるさないぞ」
 ワニはギロリとフクロウをにらみました。フクロウは森のちえものですが、するどいツメでかりをするので、小さなどうぶつたちにおそれられてもいます。

「わたしはとりを食べないよ。なかまだからね」
「それなら、なんのつもりだ。かわいそうだから食べるなとでも言う気か」
 ワニが聞くと、フクロウはいちどまばたきをして、首をよこにふりました。

「わたしはそんなにおろかではないよ。どんな生きものも、食べずには生きられない」
「そうだとも。あんな小さなとりたちだって、虫を食べて生きてるんだからな」
 ワニがそう言うと、フクロウは長いまつ毛をふせてゆっくりとうなずき、ホゥ、ホゥ、となきました。
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