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第二章 アルフェーヴェ王国の咎人
一話 牢の問答
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「どうして?」
正面に、真帆が立っていた。なんだ真帆、こんなところにいたのか。ずっと待ってたんだぞ、いったい今までどこに――
「どうして?」
どうしてって何が?内容を言ってくれないとわから――
「どうして――真帆たちを置いていったの?」
えっ?いったい何のことだ、俺は半年間お前たちを待って――
「明はいいよね、自分だけ助かって。村のことなんて忘れて修業して」
違う!俺だって戻ってきて初めて知ったんだ!村が魔王に襲われるなんて――
「アキラナンテ、シンジャエバイイノニ」
「はあ、はあ、はあ・・・・・・!」
最悪だ。最悪の夢を見た。真帆があんなことを言うはずがない。それなのに、なんであんな夢を見てしまったんだ・・・・・・
気分が悪くて吐きそうになる。でもそれは夢のせいじゃない。村長に盛られたであろう薬、それがまだ残っている。
「・・・・・・ここは」
目の前に映ったのは金属の棒。それが一定間隔で並んでいる。一部扉のような構造になっているが、扉部分にはおそらく鍵がかかっている。
初めて見た、これが牢屋というやつか。まさか、自分がその中に入るとは想像もしていなかった。
体を動かそうとしたが、無理だった。両手を背中の後ろで拘束されている。それが鎖で壁に繋がっていて、動けたとしても逃げ出すことはできないようだ。両足も同じである。
辺りを見渡したが俺の刀も鎧もない、あれ無くしたら師匠に殺されるから勘弁してくれ。
「・・・・・・目覚めたようだな」
小刻みに動いていると、牢の外にいる男がこちらへと視線を向けてきた。
「誰だ」
「ただの雇われ看守さ、お前が起きたらあの方の前に連れて行くよう命じられている」
どうでもいい情報だった。ここがどこだか知らないが、俺は3人を捜さなければならない。今すぐにでも、ここを抜け出したい。
「外に出せ、俺にはやることがある」
「そいつは無理だ。おまえはあの方のものだ、おまえに自由などない」
「ふざけるな、俺の意志で行動して何が悪い。さっさとここから――」
「何が悪い?悪いに決まってるだろハストのゴミどもが」
「・・・・・・何?」
睨み付けると、看守の男はいやらしく口角を上げて笑った。
「ハスト村のガキは皆親に捨てられてんだよ!それをあの方の温情で生かしてもらってるにすぎない!おまえの意志なんてあっていいはずがねえだろ、おまえはただの駒だ。あの方を喜ばせるためのな!」
捨てられた、それで俺が苦しむと思ったのだろうがハズレだ。
俺たちは、親に捨てられたことくらい知っている。いつまでも子どもじゃないんだ、育ててくれたのが村長という時点で察するさ。
・・・・・・まあその村長にもこうして裏切られたわけだけど。
気になるといえば、この看守から出てくる「あの方」という言葉。この看守の雇い主で、俺たちを援助してくれていた人、ということになるのだろうか。
本来なら感謝する相手なのだろうがそんな気持ちは少しも沸かない。こんな状況で何を感謝しろと言うのか。
「分かったなら大人しくしてろ、おまえを連れて行かねえと金にならないからな」
そう言いながら牢屋に入ってきた看守は、壁と足を繋ぐ鎖をまず解いた。拘束はされたままだから足は動かない。両足同時に出す、すなわち跳ねなきゃ移動もままならない。
今度は腕と壁を繋ぐ鎖の壁側だけを外す。鎖を引っ張って俺を引きずりながら連れて行くつもりなのだろう。
ホントに――考えが甘々だ。
俺は腹筋に力を入れて瞬時に立ち上がり、腕を振るって手にくっついている鎖で看守を攻撃した。
「ぐぁ!?」
鎖が脳天にヒットし、すぐさま気を失う看守。なんだ、口だけ達者な輩じゃないか。
鎖を引きずって音を出さないように腕に巻き付ける。
あの方とやらの前まで連れて行ってくれるのは嬉しいがけっこうだ。
それくらい、自分の力でやる。
不格好であることを承知のまま、俺はピョンピョン跳びはねながら牢屋の外に出た。
正面に、真帆が立っていた。なんだ真帆、こんなところにいたのか。ずっと待ってたんだぞ、いったい今までどこに――
「どうして?」
どうしてって何が?内容を言ってくれないとわから――
「どうして――真帆たちを置いていったの?」
えっ?いったい何のことだ、俺は半年間お前たちを待って――
「明はいいよね、自分だけ助かって。村のことなんて忘れて修業して」
違う!俺だって戻ってきて初めて知ったんだ!村が魔王に襲われるなんて――
「アキラナンテ、シンジャエバイイノニ」
「はあ、はあ、はあ・・・・・・!」
最悪だ。最悪の夢を見た。真帆があんなことを言うはずがない。それなのに、なんであんな夢を見てしまったんだ・・・・・・
気分が悪くて吐きそうになる。でもそれは夢のせいじゃない。村長に盛られたであろう薬、それがまだ残っている。
「・・・・・・ここは」
目の前に映ったのは金属の棒。それが一定間隔で並んでいる。一部扉のような構造になっているが、扉部分にはおそらく鍵がかかっている。
初めて見た、これが牢屋というやつか。まさか、自分がその中に入るとは想像もしていなかった。
体を動かそうとしたが、無理だった。両手を背中の後ろで拘束されている。それが鎖で壁に繋がっていて、動けたとしても逃げ出すことはできないようだ。両足も同じである。
辺りを見渡したが俺の刀も鎧もない、あれ無くしたら師匠に殺されるから勘弁してくれ。
「・・・・・・目覚めたようだな」
小刻みに動いていると、牢の外にいる男がこちらへと視線を向けてきた。
「誰だ」
「ただの雇われ看守さ、お前が起きたらあの方の前に連れて行くよう命じられている」
どうでもいい情報だった。ここがどこだか知らないが、俺は3人を捜さなければならない。今すぐにでも、ここを抜け出したい。
「外に出せ、俺にはやることがある」
「そいつは無理だ。おまえはあの方のものだ、おまえに自由などない」
「ふざけるな、俺の意志で行動して何が悪い。さっさとここから――」
「何が悪い?悪いに決まってるだろハストのゴミどもが」
「・・・・・・何?」
睨み付けると、看守の男はいやらしく口角を上げて笑った。
「ハスト村のガキは皆親に捨てられてんだよ!それをあの方の温情で生かしてもらってるにすぎない!おまえの意志なんてあっていいはずがねえだろ、おまえはただの駒だ。あの方を喜ばせるためのな!」
捨てられた、それで俺が苦しむと思ったのだろうがハズレだ。
俺たちは、親に捨てられたことくらい知っている。いつまでも子どもじゃないんだ、育ててくれたのが村長という時点で察するさ。
・・・・・・まあその村長にもこうして裏切られたわけだけど。
気になるといえば、この看守から出てくる「あの方」という言葉。この看守の雇い主で、俺たちを援助してくれていた人、ということになるのだろうか。
本来なら感謝する相手なのだろうがそんな気持ちは少しも沸かない。こんな状況で何を感謝しろと言うのか。
「分かったなら大人しくしてろ、おまえを連れて行かねえと金にならないからな」
そう言いながら牢屋に入ってきた看守は、壁と足を繋ぐ鎖をまず解いた。拘束はされたままだから足は動かない。両足同時に出す、すなわち跳ねなきゃ移動もままならない。
今度は腕と壁を繋ぐ鎖の壁側だけを外す。鎖を引っ張って俺を引きずりながら連れて行くつもりなのだろう。
ホントに――考えが甘々だ。
俺は腹筋に力を入れて瞬時に立ち上がり、腕を振るって手にくっついている鎖で看守を攻撃した。
「ぐぁ!?」
鎖が脳天にヒットし、すぐさま気を失う看守。なんだ、口だけ達者な輩じゃないか。
鎖を引きずって音を出さないように腕に巻き付ける。
あの方とやらの前まで連れて行ってくれるのは嬉しいがけっこうだ。
それくらい、自分の力でやる。
不格好であることを承知のまま、俺はピョンピョン跳びはねながら牢屋の外に出た。
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