超・ロボットの時代

湯殿たもと

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超・ロボットの時代1

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二十二世紀の世界。それは人間の手を離れた超大型戦闘ロボットが世界の覇権を争う世界。残された人類と非戦闘ロボットたちは細々とした暮らしを余儀なくされていた・・・


超・ロボットの時代


2101年5月

「死ねぇぇぇぇぇぇ!」

「それはこちらの台詞じゃあああああ!」

「仲良いねぇ」

「ちがうっ!」

二人は声を揃えて違うという。やっぱ仲いいな姉妹は。俺も一人っ子じゃなくて兄弟姉妹が欲しかった。ま、今となってはできても十四離れる訳だしいらないなぁ。

「で、なんで喧嘩してるんだよ」

「私の玉子焼きとったんだよ」

「だって飛鳥(あすか)が納豆食べないっていうんだもん」

「そりゃ飛鳥が悪いかも知れないけど、姉として大人げないじゃないのか」

「何も分かってないよ伊吹は!そういう単純な問題じゃないよ」

「そうかなぁ」

敷島姉妹とそんな話をしながら歩いていくと林の向こうに学校が見えてくる。天端小中学校だ。その名の通り小学校と中学校が併設されている。まあ田舎で人口が少ないからな。仕方ない。

仕方ないとはいうけれど、小学校だけ、中学校だけの学校に行ったことはないのでデメリットを感じたことはない。むしろ良い環境だと思う。

「東海くんおはよー」

「おはよう久慈」

「伊吹おはー」

「よう古川」

「なんか元気ないなぁ」

「そうか?」

いつもつるんでる友達の古川直(ふるかわなお)が心配してくる。元気ないつもりは無いんだけどなぁ。

「単に暑いからだろ、五月なのにな」

「確かに暑いよな、冷やせよチャゲ」

「チャゲじゃないっつーの、遥(はるか)だよ」

敷島はるかはなぜか古川にチャゲと呼ばれている。チャゲと呼んでいるのは古川だけだ。俺と古川と遥が中学三年生で他の生徒は下だし、俺はチャゲとは呼んでないからな。

「出席をとりまーす!」

担任の上山先生が入ってきて教室は静かになった。少し蒸し暑いなか自分の番を待つ。


一時間目は数学。中学生全員が同じ教室で受けるので三分の一は復習みたいなもの。その間は自習学習みたいになる。古川は数学が得意で先に終わらせて机に伏す。ったく羨ましい。遥が起こしにかかる。いつもこんなもんだ。ちなみに遥は善意で起こしにいくわけではなく写そうとしているだけだ。やっと中学三年生の時間になる。古川は授業自体は真面目に聞くやつなのだが。

休み時間。久慈こはくが俺に質問してくる。

「東海くん勉強教えてよさっきのところ」

「数学は古川のが詳しいぞ」

「古川くん不親切だからね」

「悪かったなぁ」

「まあ確かに古川は不親切だ、よし、教えてやるか」

久慈は一つ下で中学二年の女子。中学二年生の中では一番勉強熱心。俺は前は勉強できなかったが、久慈がいちいち質問してくるたびに勉強して少しずつできるようになってきた。ありがたい。

ジリリリリリリリリリリリ!けたたましい非常ベルの音がなる。

「あ、避難しなきゃね」

「今回も空振りだろうな」

「先生に怒られるよ」

「まあな」

落ち着いて地下へ避難する。白く冷たいコンクリートの部屋。ここに全校生徒と先生、そして近所の人たちが集まっていた。

またか、というため息。図工が潰れたという小学生の不満の声。

「チャゲも戦ってこいよ」

「アホか!つーかチャゲじゃないってば」

三十分ほど待たされて、それで警報が解除され授業に戻る。

・・・時間は経ち放課後。久慈に声をかけられる。

「またお爺さんのお話聞かせてよ」

「ああ、いいぞ」

久慈はよく俺のお爺さんの話を聞きに来る。昔の話にかなり興味を持っているらしい。一度くると日がくれるまで話を聴いているのだ。

「あー。都会の学校だったら部活とか出来るんだろうな、いいよなぁ」

古川が言う。古川はサッカーがやりたいとよく言っている。ここの小中学校では一応十一人のチーム二つを組めるが、十五の男子と七歳の女子が同じ試合にでるのは困難だ。だからこの学校に部活はない。近所のお爺さんに柔道を習っている生徒もいるが、俺も古川も柔道に興味はない。

久慈を連れて帰宅。お爺さんがお茶を準備して待っている。そして久慈にいろいろ話し出した。

お爺さんは若い頃ロボットの技師をしていたという。だが俺はいまいち信じていない。というのもその分野以外の賞状が出てきたり、いろんな名門大学を渡り歩いたとかいうし、嘘としか考えられないようなことをいうのだ。飛び級で十四で大学に行ったとかいうから信じられない。

そんなんでも久慈は興味津々で話を聴いているのだ。その嘘っぽいというのを久慈に話すとそんな事無いよっていうのだが。


続きます。
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