超・ロボットの時代

湯殿たもと

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超・ロボットの時代4

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超・ロボットの時代4

2104年4月。三年生の春。高校卒業まであと一年になってしまった。早いなぁ。

二年間の間に学校は一回ロボットの戦闘で壊されてしまった。泉宮の町も壊滅し、バラック、またはプレハブの建物ばかりになった。そんなこともあって反ロボット活動は激化して高校の授業すら中断されることも出てきた。メガホンで叫んで邪魔をするのである。

校内のロボットを許さないクラブも巨大化し、こちらとしては片身がせまい。しかも爺さんがロボットの孤児院やってるとかで俺が親ロボット派の大将となっている状況だ。だからいろいろ危険だ。この前靴に画鋲入れられてたし。がびょーん。

それらを久慈や古川がいろいろサポートしてくれてありがたい。しかしここは戦場ではなく学校なのだ。だから本来は勉強に集中しなくてはならない場所。協力してくれる人には悪いな・・・いつも思う。


昼休みに超巨大ロボットが来る警報が出てサイレンが鳴る。遠くにいたから少し遅れて地下へ逃げようとすると何人もの人が閉め出されていた。どういうことだ、と辺りにいる学生に聞くとあるまじき答え。

「ロボット賛成派は入れてもらえないそうです」

「たく、何て言う連中だ」

「どうしましょう」

「町に出て公民館とかの地下に避難しよう」

幸いにも、町の中にはたくさんの地下壕がある。そちらに逃げよう。何十人もの生徒を連れて公民館に出る。門を出るところで先生に声をかけられるが、事情を話すと認めてくれた。先生はなんでまだ外にいるのだろうか、まさか閉め出されたんじゃ。

外を歩いていると小型くんがいた。

「危ないですよ、僕は戦ってきますから隠れててください」

「わかった、頑張れよ!」

「はいっ」

公民館地下で小型くんの健闘を祈る。頑張れ、でも死ぬなよ、危なくなったら逃げろよ・・・

三十分後。

「やりましたよ、勝ちました」

おおっと歓声が上がる。そして胴上げ。

「僕こんなに祝ってもらったの久しぶりで・・・感激です」

涙を流す小型くん。

「泣いてる場合じゃないぜ、良いことしたんだ、笑え」

古川がそうやっポケットティッシュをわたす。小型くんは涙を拭いて笑った。

学校に戻るとなぜか睨まれる。

「ロボット賛成派がいるからこうやって危険な目に遭うんだぞ!どうしてくれる」

まーた馬鹿言ってる。

「てめぇらみたいな批判しかできない非建設的なやつらには賛同できねぇなあ、こっちは一生懸命人を守るロボット作ってんだよ!逃げ回るようなあほとは違うんだよ」

古川が反論。古川がいつも真っ先に反論していて何か申し訳ない。意見は全く同じなのだ。

一触即発というレベルまで両陣営が迫ったが、なんとか何も起きずに済んだ・・・。



2107年。

火種をもらってきてご飯を炊きはじめる。今日こそは失敗しないようにしなきゃ。はじめちょろちょろ中ぱっぱ。

「なあ伊吹さぁ」

「どしたのさ直」

「人類ってさぁ、なんでこうなるまで反省できないんだろうな」

「そんなこと考えてもしかたないだろう」

「まーな、文明は滅びちまったからな」

去年の夏に人類は巨大ロボット殲滅に向かい、そして敗北した。近代文明のあらゆるものが崩れ去り、人類の大部分は鳴くなり、電気も燃料も手に入らなくなったロボットたちは立ち尽くしてしまった。

電気を復旧させようにも、復旧させる資源なんて木材から水車を作るくらいしかない。まあそれじゃ到底炊飯器なんて使えないな。

「こはく、今日のメインディッシュはなんだ」

「伊吹くんの好きなあゆ」

「あゆか、いいな」

「あー、ハンバーガーが食いてぇ」

そうやって漏らす古川だった。


真・ロボットの時代、完結。


あとがき。
今回は非ジョーに雑です。狼の巫女とか怪奇伝の時と比べて力が入っておりません。そっちも見てね。
人類が滅びるバッドエンドですね。どこかで分岐を間違えたんでしょう。ま、そういうこともありますよね。ひぐらしとかちょっと疑心暗鬼を生むようなことしたらアウトですし。ま、そういうことです。では。

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