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夏休み編
サンライズその10 夏休み編おまけ
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サンライズその10 夏休み編おまけ
旅行から帰って来てしばらく経ったある日のこと。ジリリリンと電話が鳴る。家の電話にかけてくるのはセールスかいたずらか、と思いながら出てみると九尾の狐。またか。
「ひので君、こんどうちで夏祭りやるんだけど来ない?」
「夏祭り?」
夏祭りだったらこの前みたいな変な目には遭わないだろう。それに「うちで」と言ってるから近所だろうし。
「よし行く」
「今週の日曜日の夕方だから来てねーっ」
「おう」
電話を切ると、はるかがすぐさまやってくる。人の電話の内容を気になってしかたがないらしい。
「今度はどこ行くの?」
「夏祭りだ、一緒に連れてってやろう」
「やった!」
火祭りや闘牛祭りじゃなくて夏祭りというからには危険なことはないだろう。屋台が出て盆踊りして、そういうのだけ。姉さんも暇だというから、三人で行くことにした。
そして当日。天気は快晴。夕方からというから、涼しい部屋の中でぐうたらしてから出陣。外に出ると入道雲がどんと空を支配している。
「はるか、ちゃんと帽子かぶったほうがいいよ」
「はーい」
九尾の狐が言っていた神社は遠くない。歩いて十分、屋台が並んでいるのが見えてきた。たこやき、わたあめ、焼きそば・・・・・・などなど。かき氷を買って涼みながら歩くと九尾を見つける。鶴島さんも一緒だった。
「やっほー、どう?楽しんでる?」
「ああ、ここは屋台の種類も多いし賑やかだな」
「凄いでしょ、まあみーんな私の部下なんだけどね」
「えっ」
「ほんと?」
「マジ?」
「マジだよ」
確かに見覚えのある顔もいるような・・・・・・いや気のせいか。九尾の部下は何回か見ているが正直覚えられない。
しかし仮に九尾の部下が大量にいたとしても、間違いなくお祭りは賑わっていた。近所の人がたくさん来ていたし、中学まで同じ学校に通っていた友達にも何人も会った。
いよいよ暗くなってくると盆踊りをして、そしてその後は疲れたので人気のない神社の裏のほうに向かった。
「ここならゆっくりできそうだな、あと何食べようかな」
「ひーくん食べ過ぎじゃない?」
「まだ広島風お好み焼き食べてないぞ」
「大阪のは食べてたじゃん」
「あれは別の食べ物だろ」
「だから、食べ過ぎ」
そんな会話をしていると、この神社にも碑がたっているのを見つけた。この前の山形の神社にもあったが、ここにあるのは初めて気がついた。読んでみると、江戸時代にいた九尾の奥さんのお墓、ということらしい。ん?あいつは女だろう。女だけど奥さんがいたのか、それとも昔は男で性転換したのか。
お好み焼きはさすがに食べ過ぎなので、その日はそれ以上何も食べずに帰宅した。はるかはよく解らない謎のお面をつけていた。そんなお面売っていたっけか。
「九尾さんにもらったんだよ」
「そうなのか、良かったな」
ちょっと不気味なような気もするけど、不思議でどこか惹かれるお面だった。
後日、九尾に昔の奥さんのことを訊いてみた。
「私はそのころは男で、侍だったんだよ、でもどこにも仕えないで、いろいろやってたよ」
「いろいろって」
「んーと、あんまりおおっぴらに出来ないことかな、てか本題はそこじゃないよ、そんな暮らしの中で、身寄りのない女の子を貰ってきたの」
「それは誘拐じゃないのか」
「だって放っておいても飢えて死ぬかもしれにいじゃない」
「・・・・・・そっか」
「で、その娘を嫁にしたんだけど、十年くらいしたある日、突然いなくなっちゃったんだよ」
「・・・・・・」
「それで、探しても見つからなかったから、あのお墓を立てたんだよ、どこかで生きてるといいかな、って思ったけど、まったく手掛かりとかなかったし」
九尾はやはり、妖怪なんだなぁ、と正直思った。なんというか、人としての心が薄いというか。あまり信頼しないほうがいいのかもしれない。
続きます。次回から秋のお話です。
旅行から帰って来てしばらく経ったある日のこと。ジリリリンと電話が鳴る。家の電話にかけてくるのはセールスかいたずらか、と思いながら出てみると九尾の狐。またか。
「ひので君、こんどうちで夏祭りやるんだけど来ない?」
「夏祭り?」
夏祭りだったらこの前みたいな変な目には遭わないだろう。それに「うちで」と言ってるから近所だろうし。
「よし行く」
「今週の日曜日の夕方だから来てねーっ」
「おう」
電話を切ると、はるかがすぐさまやってくる。人の電話の内容を気になってしかたがないらしい。
「今度はどこ行くの?」
「夏祭りだ、一緒に連れてってやろう」
「やった!」
火祭りや闘牛祭りじゃなくて夏祭りというからには危険なことはないだろう。屋台が出て盆踊りして、そういうのだけ。姉さんも暇だというから、三人で行くことにした。
そして当日。天気は快晴。夕方からというから、涼しい部屋の中でぐうたらしてから出陣。外に出ると入道雲がどんと空を支配している。
「はるか、ちゃんと帽子かぶったほうがいいよ」
「はーい」
九尾の狐が言っていた神社は遠くない。歩いて十分、屋台が並んでいるのが見えてきた。たこやき、わたあめ、焼きそば・・・・・・などなど。かき氷を買って涼みながら歩くと九尾を見つける。鶴島さんも一緒だった。
「やっほー、どう?楽しんでる?」
「ああ、ここは屋台の種類も多いし賑やかだな」
「凄いでしょ、まあみーんな私の部下なんだけどね」
「えっ」
「ほんと?」
「マジ?」
「マジだよ」
確かに見覚えのある顔もいるような・・・・・・いや気のせいか。九尾の部下は何回か見ているが正直覚えられない。
しかし仮に九尾の部下が大量にいたとしても、間違いなくお祭りは賑わっていた。近所の人がたくさん来ていたし、中学まで同じ学校に通っていた友達にも何人も会った。
いよいよ暗くなってくると盆踊りをして、そしてその後は疲れたので人気のない神社の裏のほうに向かった。
「ここならゆっくりできそうだな、あと何食べようかな」
「ひーくん食べ過ぎじゃない?」
「まだ広島風お好み焼き食べてないぞ」
「大阪のは食べてたじゃん」
「あれは別の食べ物だろ」
「だから、食べ過ぎ」
そんな会話をしていると、この神社にも碑がたっているのを見つけた。この前の山形の神社にもあったが、ここにあるのは初めて気がついた。読んでみると、江戸時代にいた九尾の奥さんのお墓、ということらしい。ん?あいつは女だろう。女だけど奥さんがいたのか、それとも昔は男で性転換したのか。
お好み焼きはさすがに食べ過ぎなので、その日はそれ以上何も食べずに帰宅した。はるかはよく解らない謎のお面をつけていた。そんなお面売っていたっけか。
「九尾さんにもらったんだよ」
「そうなのか、良かったな」
ちょっと不気味なような気もするけど、不思議でどこか惹かれるお面だった。
後日、九尾に昔の奥さんのことを訊いてみた。
「私はそのころは男で、侍だったんだよ、でもどこにも仕えないで、いろいろやってたよ」
「いろいろって」
「んーと、あんまりおおっぴらに出来ないことかな、てか本題はそこじゃないよ、そんな暮らしの中で、身寄りのない女の子を貰ってきたの」
「それは誘拐じゃないのか」
「だって放っておいても飢えて死ぬかもしれにいじゃない」
「・・・・・・そっか」
「で、その娘を嫁にしたんだけど、十年くらいしたある日、突然いなくなっちゃったんだよ」
「・・・・・・」
「それで、探しても見つからなかったから、あのお墓を立てたんだよ、どこかで生きてるといいかな、って思ったけど、まったく手掛かりとかなかったし」
九尾はやはり、妖怪なんだなぁ、と正直思った。なんというか、人としての心が薄いというか。あまり信頼しないほうがいいのかもしれない。
続きます。次回から秋のお話です。
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