短編秋・冬編/ゲーセンの巫女

湯殿たもと

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ゲーセンの巫女 3

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ゲーセンの巫女 3



ここはとある地方都市のゲームセンター。毎日多くの高校生や仕事帰りのサラリーマン、休日は家族連れで賑わう。

「この走る新幹線の遊具は人気だけどメンテナンスが大変ね、このかわいい猫さんのポップコーンはちょっと音が大きいね、調整しなくちゃ」

そのゲームセンターのオーナー、そしてゲームセンターのある土地の所有者である西根美月は今日もゲーセンの管理に大忙しだった。

「美月」

「お兄さんどうしたの?」

「ゲーセンの仕事も大事なのはわかる。しかし巫女はどうした」

「奇◯怪界はそこの奥に」

「そうじゃねぇ」

そう、西根美月は神社の巫女さんなのだ。先代から継いで巫女になったのだが、今の本業は神社の境内の中に建てたゲームセンター。

「巫女の仕事も大切なのはわかるよ、でもそれだけじゃ実際にやってけないじゃない」

「それは確かにそうなんだけどな」

二人はゲームセンターが出来る前の神社の閑散ぶりを頭に浮かべた。一日に何人が来ていただろうか。一桁。いやゼロ。神社は経費としてかかるのみで家の収入のほとんどがサラリーマンの父の収入だった。

「それにゲーセンついでにお賽銭入れていく人もいるよ」

「そうなんか」

「だから・・・・・・」

「だからじゃなーい!」

二人がその声の元へ振り返ると一人の男が立っていた。二人にはその顔に覚えがあったようで青くなる。

「か、神様申し訳ありません!」

「申し訳ありません!」

二人はいそいでそちらに土下座した(美月はさせられた)。神様と呼ばれた男は不機嫌そうな声をあげる。

「巫女よ、この前呼び出したのはいつだ」

「お正月です」

「いまは八月だ、その間何してたと思う」

「・・・・・・」

「ヒマヒマ神様クラブってところでずーっと麻雀やっていたんだ!」

「ぶっ!」

「笑うな」

ヒマヒマ神様クラブというのは実に屈辱的な集まりらしく、その神様はものすごく怒っていた。しかもそれをよりによって巫女に笑われたのでヒートアップ。

「第一なんだ!この騒がしい建物、そしてアミューズメントセンターミコっていう名前は!もっとしゃれた名前・・・・・・じゃなくてどかしなさい!」

「でもこれは神社と比べて大変に収入が出るものでございまして」

「金のことで神社を蔑ろにするな」

「一度入っていたたけたら良さがわかるはずです。ぜひ一度だけでも」

「気に入らなかったら破壊するぞ、それでいいのか」

「はい」

そして三人はゲーセンに入っていった。

「姉御、その小林幸子がショボくなったような服装の人はだれですか」

「もっと良い例えないの」

「誰だそこの失礼な野郎は」

「うちの常連さん」

「ふん、まあいいだろう」

美月はゲームセンターを案内し始めた。

「これは太鼓の鉄人っていうゲームです」

「太鼓か、それならわかる」

そして演奏(?)を始めたのは良いのだが・・・・・・。

「曲がわからーん!無いのかもっとだれでも解るような曲は」

「たとえば」

「田舎なれどもサァーハーエー 南部の国はサァー」

民謡を歌い始める。この男ノリノリである。

「じゃあ次行こうか」

「ゲーセンの良さを知ってもらうってだけでべつに唄を聴きたいわけじゃないから」

「はいはいそうですか」

美月の兄はびくびくである。めちゃくちゃ失礼なことを巫女が神様にしているわけだから。

「次はこれ」

「名神ミッドナイト?なんだこれは、ははん、わかった、ハンドルが付いてるから車を運転するんだな」

「飛ばしてタイムを競うの」

「ふふふ、それならまかせろ」

しかしその男は予想以上に運転が下手だった。というかオートマ限定免許だったのだ。

「馬鹿にしおってー!」

「知らないよ」

そして次のゲームへ。

「ぶよぶよ通、なんだこれは」

「パズルゲーム、同じ色を四つ繋げるとぶよが消えてその消す上手さを競うの」

「上手さってどういうことだ」

「一つ消したときにそれに連鎖してもう一つ消える、っていうのが長く続いた方が上手ってこと」

「よし、やってみるか」

美月は二百円で対戦モードを選択。

「美月、手加減しろよ」

「神様相手に巫女が手加減とはなにごとだ」

「それじゃ本気でやりますよ」

「おう」

・・・・・・えいっ、フ◯イヤー、ア◯スストーム、たい焼きうどん、フレイム座布団、じ◯げむ、パン四円~パン四円~パン四円~


「おのれ巫女め、よくもこんなもの作りやがって、この建物ごと吹き飛ばしてやる」

「わああああっ!」

「だから手加減しろって言ったじゃないか!」

「待って!最後に飛びっきりのを紹介するから!それで駄目だったら壊してもいいから」

「ふん、良いだろう」

そして美月が案内したのは・・・・・・プリクラ。

「これで女の子と一緒に写真を撮るんだよ」

「何っ、こんな狭い空間で二人っきりで写真を撮るだと!?」

「しかも機能がたくさんついてて」

「なっ!?」

「それでお手軽な値段!」

「はっ!こうしてはおれん!今から連れてくるから待っておれ!」

そして神様は帰っていった。

「ああ、助かった」

美月はほっとして格ゲーの椅子に座る。兄もほっとしたような表情を見せる。

「良かったな、しかしあの男に仲の良い女なんているのか」

「気を良くしてかえっていったんだからいるんでしょ」

「そうは見えないけどな」

再び神社とゲームセンターに平穏が訪れた。巫女は少しは反省したのか、神社の掃除を始めたのであった。


おしまい。


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