狼の巫女

湯殿たもと

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狼の巫女 2

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狼の巫女  2


午後3時。藤島家にて。

この村の裏山には狼がいるという。しかしニホンオオカミは絶滅したはずで、疑わしい。写真があるというので見せてもらう。

「うーん、これは・・・黒い毛の生えた塊が写ってるだけだろう」

「気配が狼だよ」

「写真から気配がわかるはずはないよ」

「巫女だからわかるんだよ」

「巫女だから?」

「そう、巫女だから。そういう事ができる血が流れてる」

かなり胡散臭いなぁ。

こんな感じで話してるうちに辺りは暗くなってきていた。夏の日暮れは遅いのに。カナカナカナと声がする。

「この村に宿はあるかな」

「無い」

兄妹に揃って断言される。食堂も一軒しかないから仕方ないかなぁ。

「じゃ、駅まで歩くかな、それじゃお邪魔しました」

席を立ち(畳だけど)帰ろうとすると二人に止められる。

「せっかく来たんだから泊まってけよ」

「邪魔じゃないのかい?」

「いいんだよ、ぜひ泊まってくれ」

「それじゃそうしようかな」

「この村の巫女が16を越えて一ヶ月以内に訪ねてきたよその人を狼に捧げると10年村は事件も凶作も起きないって言い伝えは関係無いからな、安心しろ」

「かおる君は肺活量凄いねぇ・・・じゃなくて僕を生け贄にするつもりか」

急いで席を立とうとする(畳だけど)。

「まさか」

「あんまりお客さんを驚かすもんじゃ無いよ、それは江戸時代で終わったこと」

江戸時代まではあったんだ、初めて聞いたよそんなの。


午後9時。

高校三年生というかおる君といろいろ話す。かおる君はこの地域の仕事の話とかをしてくれた。僕は経済学を学んでいるので参考になる。次第に話は雪音ちゃんの事へ。

「雪音は超能力が使えるらしいんだよ」

「超能力?」

「遠くを見たり、未来や過去を見たり、動物と話したりとか」

「何か胡散臭いなぁ」

「俺だって胡散臭いと思ったさ、でも宝くじを番号指定してピンポイントで当てたりとか」

「なるほどねぇ」

「今雪音は風呂入ってんだ、ためしにあいつの恥ずかしい話でもして超能力を試してやるぞ」

「恥ずかしい話?」

何か可哀想な気がするが、まあやってみてもいいかな。

「あいつが小学生のとき・・・」

すぅと襖が開いて自分たちにチョップがとんで来たのはすぐのことであった。


気がつくとそこは屋外。夜の山の中にはりつけにされていた。うーん、生け贄になっちゃったなぁ。しかし狼なんているのだろうか。狼がいなければ・・・いや待て、熊がいるかも知れないな。食われなくてもこのまま十進法ポーズで縛られていたら死んでしまう。しかし縄をほどく術も無いし・・・


くぅぅ~ん


・・・なんだ今の声。まさか。


ざっざっざっ


藪をかき分ける足音。何かが来る。狼でも熊でもありませんように。そこで僕が見たのは・・!?

続きます。気長にお待ちください。
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