狼の巫女

湯殿たもと

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狼の巫女 3

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くぅぅ~ん


・・・なんだ今の声。まさか。


ざっざっざっ


藪をかき分ける足音。何かが来る。狼でも熊でもありませんように。そこで僕が見たのは・・!?


狼の巫女 3


闇の中から現れたのは、人の姿。暗くてよく見えないが、女性であるようだ。

「この縄をほどいてくれませんか」

その人は無言で縄をほどき、いや、ちぎり始めた。引きちぎるとは中々の怪力。・・・ちょっと待て、もしかして僕きつねか何かに騙されてる?そもそもこんなところに人がいるのおかしいし・・・

(あなた、美味しい?)

「美味しい?食べたこと無いからわからないなぁ・・・じゃなくてどういうこと?」

嫌な予感がする。食われるのか、もしかして。

そしてまた別の気配。ぐるる。獣のしかもやばそうな声。ずさ。すぐ近くにいる。そちらを向く。くんくん。ぐるる。うーん、狼、ホントにいるのかもなぁ。

(あなた美味しくなさそう)

失礼(?)な言葉が聞こえたような気がしたが、僕はそのまま失神した。


翌朝。

僕は山の中で寝ていた。そのすぐそばに狼が三匹寝ていて、悲鳴を上げそうになるが、なんとかこらえた。あれ、狼って意外と小さいな。忠吉さんのが大きいかも。

そう思えば余裕が出てきた。そして狼に挟まれて寝ている少女に目が向く。よく見るとみすぼらしい格好をしている。破れたシャツにぼろぼろのジーパン。

この少女は何でこんなところにいるのか。もしかして狼と暮らしているのか?何かしら事情はあるだろうけど、保護した方が良いのか。

・・・などと考えてるうちに、狼の一頭が目を覚ます。ぎろりと睨まれた。黙れ小僧とでも言われてるのか。それに続いて少女も目を覚ます。あくびをして目をごしごしとこする。少女は眠そうな顔で狼の顔を見つめる。

(あなたのことは食べないから、私達のことはそっとしといて)

うーん、気になるが、立ち去ろう。なんとか藪を抜けて道へ出た。



午前九時。

「あっ帰ってきた!どこ行ってたのよ、三時間たって見にいったらいなかったのに」

雪音がそういう。三時間もほっとくつもりだったのか。ひどいなぁ。

「こんな村に訪ねてくる奴だ。きっと伊賀流忍法でも習得してるのだろう」

「まさか」

かおる君は適当なことをいう。そもそも忍者なんてこの時代にいない。あいえー。

「本当にどうやって抜け出したの?」

目を輝かせて訊かれる。うーん。あの娘のことをいう訳にもいかないし。

「忍者には言えないことがあるんだ、ほっとけ」

かおる君のおかげで危機を免れた。そしてゆっくりと疲れを癒すことにした。

午後にはここを出ようと思っていたが、まだまだ歓迎したり無いと言われ、まだ滞在することにした。

夕飯のとき、二人に狼を見たことあるか聞いた。兄は無いと即答。一方妹は声を聞いたことだけはあるという。やはり中々見れるものではないらしい。

「明日探しに行こっか」

「いや、そこまで興味は無いよ」

危ない危ない。探しにいかれたら約束違反で食われそうだ。自分からあまり話をしないようにしよう。

続きます、気長にお待ちください。
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