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狼の巫女 7
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狼の巫女7
「大変ですっ女の人が倒れてますっ」
このバイトを始めて一週間くらい経ったとき、村の中学生が診療所に駆け込んできた。僕と院長はその場に駆けつけ、診療所に搬送した。幸いに大きな怪我はなさそうだったのだが、その少女に見覚えがある。狼と一緒にいた娘だった。一方院長は知らない模様。
「うーん、見覚えの無い顔だ。それに服はぼろぼろで。いったいどうしたんだ、もしかして犯罪に巻き込まれたのでは」
僕はこの娘のことを知っているが、家とか家族を知っているわけでも無いので黙っておく。そもそも名前を知らない。
院長が警察に迷子や行方不明の問い合わせをしているうちに、少女は目を覚ました。きょろきょろと周りを見回し、僕のことを見つけると何かを訴えかける目で見つめた。
(ここは?)
「病院だ」
(びょういん?)
「怪我した人を治すところだ」
(ふぅん)
知らなかったらしい。病院に行ったことがなかったのか?いや、行ったことなくても普通は病院は知ってるだろう。もしかしてほんとに小さい時から狼と暮らしていて病院を知らなかったのか。
(仲間のところに帰して)
「そうだな、多分検査しないと帰れないな」
(検査?)
「病気になってないかとか骨が折れてないかとか調べることだ」
(骨は折れてないと思うな、お腹すいたけど)
そこへ院長が戻ってくる。
「あっ、目を覚ましたんですか、そうだ、お名前は」
(名前?)
「さぁ、検査しましょうね~」
僕はこの医者が変な声でこの言葉を言ったのを聞いて、いけない雰囲気を感じ取った。この医者、ロリコンか?少女もそう思ったようで、僕の背中にまわり、ぐるると喉をならして威嚇した。医者はにやにや(ニコニコではなく)しながら少女の腕をつかむ。少女は右手で医者の手をはたく。
「痛っ」
院長がひるんだ隙に少女は部屋を飛び出し外へ出て行ってしまった。
午後五時。
藤島家に戻ると、雪音は笑顔で僕を迎えてくれた。結婚?から数日、毎日手料理を食べ、毎日同じ布団で寝ている。そしてこうやって笑顔で迎えに来てくれる。不思議だ。つい十日前までは全く知らない人同士だったのに。
布団に入ったあと、二人で一時間ほど話すのも習慣となりつつあった。
「私と、もし、もしだよ?結婚したいと思ってるなら、聞いてほしいことがあるの」
「ん?」
「この家の伝統で、産まれた一人目の女の子が十六歳になったとき、父と母は生け贄にならなきゃいけないんだよ・・・」
「・・・そうなのか。ん?雪音ちゃん今高校一年生だよね」
「・・・」
「泣くな・・・」
雪音を抱き寄せる。抵抗なく腕の中に収まった。雪音の体は意外と華奢だった。
「お父さんもお母さんもいなくなって、私の話を聞いてくれるのはお兄ちゃんだけで寂しかった。・・・ええと、私の話を聞いてくれてありがとう」
そして雪音を抱いたまま、眠りに落ちた。
「大変ですっ女の人が倒れてますっ」
このバイトを始めて一週間くらい経ったとき、村の中学生が診療所に駆け込んできた。僕と院長はその場に駆けつけ、診療所に搬送した。幸いに大きな怪我はなさそうだったのだが、その少女に見覚えがある。狼と一緒にいた娘だった。一方院長は知らない模様。
「うーん、見覚えの無い顔だ。それに服はぼろぼろで。いったいどうしたんだ、もしかして犯罪に巻き込まれたのでは」
僕はこの娘のことを知っているが、家とか家族を知っているわけでも無いので黙っておく。そもそも名前を知らない。
院長が警察に迷子や行方不明の問い合わせをしているうちに、少女は目を覚ました。きょろきょろと周りを見回し、僕のことを見つけると何かを訴えかける目で見つめた。
(ここは?)
「病院だ」
(びょういん?)
「怪我した人を治すところだ」
(ふぅん)
知らなかったらしい。病院に行ったことがなかったのか?いや、行ったことなくても普通は病院は知ってるだろう。もしかしてほんとに小さい時から狼と暮らしていて病院を知らなかったのか。
(仲間のところに帰して)
「そうだな、多分検査しないと帰れないな」
(検査?)
「病気になってないかとか骨が折れてないかとか調べることだ」
(骨は折れてないと思うな、お腹すいたけど)
そこへ院長が戻ってくる。
「あっ、目を覚ましたんですか、そうだ、お名前は」
(名前?)
「さぁ、検査しましょうね~」
僕はこの医者が変な声でこの言葉を言ったのを聞いて、いけない雰囲気を感じ取った。この医者、ロリコンか?少女もそう思ったようで、僕の背中にまわり、ぐるると喉をならして威嚇した。医者はにやにや(ニコニコではなく)しながら少女の腕をつかむ。少女は右手で医者の手をはたく。
「痛っ」
院長がひるんだ隙に少女は部屋を飛び出し外へ出て行ってしまった。
午後五時。
藤島家に戻ると、雪音は笑顔で僕を迎えてくれた。結婚?から数日、毎日手料理を食べ、毎日同じ布団で寝ている。そしてこうやって笑顔で迎えに来てくれる。不思議だ。つい十日前までは全く知らない人同士だったのに。
布団に入ったあと、二人で一時間ほど話すのも習慣となりつつあった。
「私と、もし、もしだよ?結婚したいと思ってるなら、聞いてほしいことがあるの」
「ん?」
「この家の伝統で、産まれた一人目の女の子が十六歳になったとき、父と母は生け贄にならなきゃいけないんだよ・・・」
「・・・そうなのか。ん?雪音ちゃん今高校一年生だよね」
「・・・」
「泣くな・・・」
雪音を抱き寄せる。抵抗なく腕の中に収まった。雪音の体は意外と華奢だった。
「お父さんもお母さんもいなくなって、私の話を聞いてくれるのはお兄ちゃんだけで寂しかった。・・・ええと、私の話を聞いてくれてありがとう」
そして雪音を抱いたまま、眠りに落ちた。
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