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月夜の椿
月夜の椿3
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月夜の椿3
テスト週間。今回は早めに対策を打ったので比較的安心。椿はいくら頭が良くても、普段からあまり勉強してないから心配になる。前日だけでも(遅いけど)やったほうがいいよ、と忠告しても聞かない。
「テスト大丈夫なの椿」
「大丈夫、勉強したから」
「いつしたのさ」
「睡眠学習」
本当に大丈夫なのかな。学校についてもなんとなく不安な顔をしていると、委員長が声をかけてきた。
「須賀川さん、具合大丈夫なの?」
「私は大丈夫だけど椿が勉強してないからね」
「うーん、素の頭がいいから・・・・・・まあ良くは無いけど」
テスト週の間も椿は夜になると空を飛んでどこかへいって帰ってくる。私はその間に必死にやっているのだが。しかし終わってみればいつも私より高い点数。
しかし、私の点数が椿より高ければ椿も考えを改めてくれるかもしれないと思う。今回は普段と違う、高得点を叩き出して深夜徘徊を止めさせよう。
「ねぇボタン、栗原屋行かない?」
「また?この前行ったばかりだよ、テスト終わってからにしようよ」
空を飛んでいる以外にも、テストをあまり気にしてないような気がする。それはあまり良くない。今は出来るかもしれないけど、もっと勉強が難しくなったらついていけなくなる。
「今日は私の奢りだよ」
「奢りだろうが奢りじゃなかろうがだめ、テストに集中しないと」
「・・・テストのが私より大事なの」
「わかったわかった、行こう行こう、栗原屋!」
仕方ない。こう言われたら勝てない。もうどうなっても知らないよ。
そのテストが終わってみると、やはり(何故か)椿の勝利に終わっていたのであった。納得はいってないけど、いつものこと。私だって決して悪いほうではない。でも椿は調子がいいときは成績優秀者に名を連ねる。
「本当に凄いね椿」
「えへん」
「普段からもーっと勉強していれば東大に入れるね」
「私は別に東大に行きたいわけじゃ無いよ?この町でゆっくりと暮らしていきたいだけ」
才能を潰しているような気がしてならない。友達だからって介入し過ぎなのかな。椿の未来は椿が決めるべきなのだけど、なんとなくもったいなく感じてしまうのだ。
夜。流石にテストの直後は私だって勉強したくない。春休み挟むからテストの範囲が抜けたりってこともあるし。そして何気なく椿に聞いてみた。
「私も連れてってくれない?」
意外に思ったのか、一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐに喜びの顔に変わり今すぐ行こう、と手を握って誘う。そんなに一緒に行ってほしかったならもっと早く言えば良かったのに。もう。
「私の後ろで箒にまたがって」
こうかな?椿がふわって飛び始めると、私はバランスが取れずするっと回転して落ちた。痛た・・・・・・
「えっと、じゃ、私を後ろから抱きつくようにして」
「こうかな」
今度は上手くいった。私が少しバランスを崩しかけても椿はうまく調整する。
夜の春の山はまだまだ寒いけれど、きれいだと思った。都会じゃないから夜景は無いのかと思ったけど、空と森の境目がうっすら浮かび上がり、幻想的。
「冬はもっと寒くて、夏はこうもりが飛んでいてぶつかるから、今の季節が一番だよ?」
「そうなんだ」
しばらく飛ぶと高度を落とし、近くの森の中に降りていく。何が有るのかなと思ったらそこには一匹のたぬき。椿は鞄のなかにいれていたさつまいもをたぬきに差し出すと、たぬきはなんと、諭吉を差し出した。諭吉?!
「なんでたぬきがお札を?」
「たぬきのお金。本当は葉っぱなの」
「なるほど、化かしてるんだ」
「そう」
お札とさつまいもで「さつ」同士の交換を済ませると、再び空を飛び元の方向に向かう。このまま帰るのかな。
「ちょっとしっかり捕まってて」
「えっ」
いきなり声をかけられると、すぐに急降下。何だと思って後ろに振り向くと、暗闇に人のシルエット。他にも飛んでいる奴がいるのか。
「あれは悪魔。だからさっさと家に帰らないと」
「家に帰れば大丈夫なの?」
「あの悪魔は明かりに弱いみたいだから」
そういって、急旋回をして悪魔の体当たりをかわしながら家に急いだ。
続きます。
テスト週間。今回は早めに対策を打ったので比較的安心。椿はいくら頭が良くても、普段からあまり勉強してないから心配になる。前日だけでも(遅いけど)やったほうがいいよ、と忠告しても聞かない。
「テスト大丈夫なの椿」
「大丈夫、勉強したから」
「いつしたのさ」
「睡眠学習」
本当に大丈夫なのかな。学校についてもなんとなく不安な顔をしていると、委員長が声をかけてきた。
「須賀川さん、具合大丈夫なの?」
「私は大丈夫だけど椿が勉強してないからね」
「うーん、素の頭がいいから・・・・・・まあ良くは無いけど」
テスト週の間も椿は夜になると空を飛んでどこかへいって帰ってくる。私はその間に必死にやっているのだが。しかし終わってみればいつも私より高い点数。
しかし、私の点数が椿より高ければ椿も考えを改めてくれるかもしれないと思う。今回は普段と違う、高得点を叩き出して深夜徘徊を止めさせよう。
「ねぇボタン、栗原屋行かない?」
「また?この前行ったばかりだよ、テスト終わってからにしようよ」
空を飛んでいる以外にも、テストをあまり気にしてないような気がする。それはあまり良くない。今は出来るかもしれないけど、もっと勉強が難しくなったらついていけなくなる。
「今日は私の奢りだよ」
「奢りだろうが奢りじゃなかろうがだめ、テストに集中しないと」
「・・・テストのが私より大事なの」
「わかったわかった、行こう行こう、栗原屋!」
仕方ない。こう言われたら勝てない。もうどうなっても知らないよ。
そのテストが終わってみると、やはり(何故か)椿の勝利に終わっていたのであった。納得はいってないけど、いつものこと。私だって決して悪いほうではない。でも椿は調子がいいときは成績優秀者に名を連ねる。
「本当に凄いね椿」
「えへん」
「普段からもーっと勉強していれば東大に入れるね」
「私は別に東大に行きたいわけじゃ無いよ?この町でゆっくりと暮らしていきたいだけ」
才能を潰しているような気がしてならない。友達だからって介入し過ぎなのかな。椿の未来は椿が決めるべきなのだけど、なんとなくもったいなく感じてしまうのだ。
夜。流石にテストの直後は私だって勉強したくない。春休み挟むからテストの範囲が抜けたりってこともあるし。そして何気なく椿に聞いてみた。
「私も連れてってくれない?」
意外に思ったのか、一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐに喜びの顔に変わり今すぐ行こう、と手を握って誘う。そんなに一緒に行ってほしかったならもっと早く言えば良かったのに。もう。
「私の後ろで箒にまたがって」
こうかな?椿がふわって飛び始めると、私はバランスが取れずするっと回転して落ちた。痛た・・・・・・
「えっと、じゃ、私を後ろから抱きつくようにして」
「こうかな」
今度は上手くいった。私が少しバランスを崩しかけても椿はうまく調整する。
夜の春の山はまだまだ寒いけれど、きれいだと思った。都会じゃないから夜景は無いのかと思ったけど、空と森の境目がうっすら浮かび上がり、幻想的。
「冬はもっと寒くて、夏はこうもりが飛んでいてぶつかるから、今の季節が一番だよ?」
「そうなんだ」
しばらく飛ぶと高度を落とし、近くの森の中に降りていく。何が有るのかなと思ったらそこには一匹のたぬき。椿は鞄のなかにいれていたさつまいもをたぬきに差し出すと、たぬきはなんと、諭吉を差し出した。諭吉?!
「なんでたぬきがお札を?」
「たぬきのお金。本当は葉っぱなの」
「なるほど、化かしてるんだ」
「そう」
お札とさつまいもで「さつ」同士の交換を済ませると、再び空を飛び元の方向に向かう。このまま帰るのかな。
「ちょっとしっかり捕まってて」
「えっ」
いきなり声をかけられると、すぐに急降下。何だと思って後ろに振り向くと、暗闇に人のシルエット。他にも飛んでいる奴がいるのか。
「あれは悪魔。だからさっさと家に帰らないと」
「家に帰れば大丈夫なの?」
「あの悪魔は明かりに弱いみたいだから」
そういって、急旋回をして悪魔の体当たりをかわしながら家に急いだ。
続きます。
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