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月夜の椿ネクスト
月夜の椿ネクスト 6
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月夜の椿 ネクスト6
土曜日。ついに雪が降りだした。目覚ましの力でなんとか起きて学校へ滑り込む。ワープできたら楽なのに。さすがに学校まで行くのに大袈裟すぎるか。などと考える余裕があったのだからそこまでぎりぎり、というわけでもなかった。
「あのあとちゃんと勉強した?」
牡丹がにっこりとした顔で聞いてくる。ばっちりなのでそう答えると不安げな顔にかわる。
「そうかなぁ
「疑ってるのかよ」
「すこし」
「いくら下から数えたほうが早いからって・・・・・・俺は心を入れ換えたんだ」
「まあやってるなら、いいけどね」
授業中窓の外を眺めると雪がしんしんと降り続いていた。これは積もりそうだ。いよいよ冬が来るのか。長い長い冬。三月まで黒い地面を見ることはない。・・・・・・なわけないか。まだ十一月だから根雪にはならないだろう。
お昼休み。あらかじめ準備しておいた菓子パンを頬張っているとなにやら外が騒がしい。小栗に聞くと、別の学校の生徒が紛れ込んでいるとか。そんなことってあるのか、だいたい、その学生は本来の学校はどうしたのか。お昼に抜け出して来たのか?でもここはすぐ近くには高校ないし・・・・・・。
と理屈っぽく考えていても、目の前によその学校の生徒が現れてしまえば、理屈はなりたたないのだ。現に目の前にいる。不思議なことに見たことの無い制服を着ていた。この近くの学校ではない?
向こうから生徒指導の木戸が駆けてきた。すると例の学生は窓を開け、飛び降りるそぶり。ここ三階だぞ!木戸が間に合い学生の腕を掴む。ところが学生は逆に木戸の腕をつかみ・・・・・・
うりゃ!
木戸を投げるようにふたりで落下した。どうなったか覗きこんでみようとすると、脇から野次馬に押されて見えない。野次馬は必至に見ていたのだが、なぜか空気が変わっていった。別の窓を開けて下を見ると木戸が倒れている。しかし・・・・・・
「あの学生は???」
誰一人として一緒に飛び降りた学生の姿を見つけることは出来なかった。
放課後。黒板を念入りに綺麗にしていると小栗が近くにやってきて、さっきの話をしきりにしてきた。小栗はその場にいなかったので気になっているらしい。近くで見たなりの話をする。
その日はひとりでぶらぶらと帰った。肌寒い。雪がちらついているのだから当たり前だった。もう街角には冬がやってきていたのだ。家の近くまで来たとき、例の学生がいた。
・・・・・・
コーヒーを口にした学生は静かに話し始めた。いや、どう見ても学生ではない。制服を来ているという先入観はすごいもので、明らかに年上の、はたちには絶対なってるようなお姉さんだった。
「私は村山愛、あなたに用があってきたの」
「僕に?」
「あなたというか、あなたに取り付いている人のこと」
取り付いている、そういえば椿も同じようなことを言っていた。信じがたいがふたりが同じ事をいっているのだ。彼女は話を続ける。
「とりついたそいつは、幻を見せる。だから手を打たなければいけないんだけど・・・・・・」
「・・・・・・」
「私には、どうすればいいのかわからない」
わからないんかいっ!
「でも、どうにかしなければ。私はそれで心が壊れてしまった人を見たから」
彼女はそれを、強い瞳で訴えた。
夜。夢を見る。最近こんなことが多い気がする。小学生のとき使っていた財布が映る。牡丹の誕生日プレゼントを用意しようとしていた。
直接聞けばなにがほしいか、分かるのだけどそれではサプライズにはならない。このごろ牡丹はいつも外に出掛けていて、好みはあまりよくわからなかった。
僕は牡丹が一番仲良くしていた氷室椿のところに行った。牡丹がトイレに行った隙をみて椿のところへ。
「牡丹は心がこもっていれば、何でも喜ぶと思う」
「そうじゃなくて、好みを教えてほしいんだ」
「お花」
「そうか、ありがとう」
誕生日プレゼントはそれに決めた。
続きます。
土曜日。ついに雪が降りだした。目覚ましの力でなんとか起きて学校へ滑り込む。ワープできたら楽なのに。さすがに学校まで行くのに大袈裟すぎるか。などと考える余裕があったのだからそこまでぎりぎり、というわけでもなかった。
「あのあとちゃんと勉強した?」
牡丹がにっこりとした顔で聞いてくる。ばっちりなのでそう答えると不安げな顔にかわる。
「そうかなぁ
「疑ってるのかよ」
「すこし」
「いくら下から数えたほうが早いからって・・・・・・俺は心を入れ換えたんだ」
「まあやってるなら、いいけどね」
授業中窓の外を眺めると雪がしんしんと降り続いていた。これは積もりそうだ。いよいよ冬が来るのか。長い長い冬。三月まで黒い地面を見ることはない。・・・・・・なわけないか。まだ十一月だから根雪にはならないだろう。
お昼休み。あらかじめ準備しておいた菓子パンを頬張っているとなにやら外が騒がしい。小栗に聞くと、別の学校の生徒が紛れ込んでいるとか。そんなことってあるのか、だいたい、その学生は本来の学校はどうしたのか。お昼に抜け出して来たのか?でもここはすぐ近くには高校ないし・・・・・・。
と理屈っぽく考えていても、目の前によその学校の生徒が現れてしまえば、理屈はなりたたないのだ。現に目の前にいる。不思議なことに見たことの無い制服を着ていた。この近くの学校ではない?
向こうから生徒指導の木戸が駆けてきた。すると例の学生は窓を開け、飛び降りるそぶり。ここ三階だぞ!木戸が間に合い学生の腕を掴む。ところが学生は逆に木戸の腕をつかみ・・・・・・
うりゃ!
木戸を投げるようにふたりで落下した。どうなったか覗きこんでみようとすると、脇から野次馬に押されて見えない。野次馬は必至に見ていたのだが、なぜか空気が変わっていった。別の窓を開けて下を見ると木戸が倒れている。しかし・・・・・・
「あの学生は???」
誰一人として一緒に飛び降りた学生の姿を見つけることは出来なかった。
放課後。黒板を念入りに綺麗にしていると小栗が近くにやってきて、さっきの話をしきりにしてきた。小栗はその場にいなかったので気になっているらしい。近くで見たなりの話をする。
その日はひとりでぶらぶらと帰った。肌寒い。雪がちらついているのだから当たり前だった。もう街角には冬がやってきていたのだ。家の近くまで来たとき、例の学生がいた。
・・・・・・
コーヒーを口にした学生は静かに話し始めた。いや、どう見ても学生ではない。制服を来ているという先入観はすごいもので、明らかに年上の、はたちには絶対なってるようなお姉さんだった。
「私は村山愛、あなたに用があってきたの」
「僕に?」
「あなたというか、あなたに取り付いている人のこと」
取り付いている、そういえば椿も同じようなことを言っていた。信じがたいがふたりが同じ事をいっているのだ。彼女は話を続ける。
「とりついたそいつは、幻を見せる。だから手を打たなければいけないんだけど・・・・・・」
「・・・・・・」
「私には、どうすればいいのかわからない」
わからないんかいっ!
「でも、どうにかしなければ。私はそれで心が壊れてしまった人を見たから」
彼女はそれを、強い瞳で訴えた。
夜。夢を見る。最近こんなことが多い気がする。小学生のとき使っていた財布が映る。牡丹の誕生日プレゼントを用意しようとしていた。
直接聞けばなにがほしいか、分かるのだけどそれではサプライズにはならない。このごろ牡丹はいつも外に出掛けていて、好みはあまりよくわからなかった。
僕は牡丹が一番仲良くしていた氷室椿のところに行った。牡丹がトイレに行った隙をみて椿のところへ。
「牡丹は心がこもっていれば、何でも喜ぶと思う」
「そうじゃなくて、好みを教えてほしいんだ」
「お花」
「そうか、ありがとう」
誕生日プレゼントはそれに決めた。
続きます。
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