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11、お願い
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帰宅した優は、祖母にどう話を切り出そうか、悩みに悩んでいた。
(どうしよう…放課後遊ぶなんて、ここに住まわせてもらっている身で、おこがましいよね…。)
中々踏み出せずに俯く優。
優の気持ちを悟ってか、ソラが近づき慰めるように鳴いた。
ソラ「クゥーン。」
優「ソラ…。うん、やっぱり、ダメ元でも聞いてみなきゃね。凛さんにも悪いし。」
潤んだ瞳をキラキラと輝かせながら心配そうに見つめるソラを見て、勇気を貰った優は、決死の覚悟で祖母に話しかける。
優「おばあちゃん!…えと、明日の放課後、遊びに行ってもいい…?」
(きっと、お前がそんな立場か!って、酷く怒られるに違いない!)
ギュッと目を瞑り、唇をかみしめる。
すると、優の言葉を聞くや否や、祖母の表情はみるみる明るくなり、弾んだ声で答えた。
祖母「まあ!優ちゃん、もうお友達出来たの!?良かった良かった、こりゃあ今日はご馳走ね。」
思いがけない反応に、たじろぎ、目を丸くする。
優「え、なんで…。怒らないの?」
祖母「なんで怒るのよ~。寧ろ、友達が出来た事をお祝いしなきゃ!」
この時優は初めて、今まで教えられていた外で遊ぶ事は悪い事だというのは、間違いだったのだと気づく。
瞬間、安堵し、ふわりと緊張の糸が解ける感覚がした。
(ああ、そうか。遊んでも、いいんだ。)
優「ありがとう、おばあちゃん。」
じんわりと目の奥が熱くなるのを感じながら、ゆっくりと、静かにお礼を言った。
ソラも、心なしか嬉しそうに見えた。
(どうしよう…放課後遊ぶなんて、ここに住まわせてもらっている身で、おこがましいよね…。)
中々踏み出せずに俯く優。
優の気持ちを悟ってか、ソラが近づき慰めるように鳴いた。
ソラ「クゥーン。」
優「ソラ…。うん、やっぱり、ダメ元でも聞いてみなきゃね。凛さんにも悪いし。」
潤んだ瞳をキラキラと輝かせながら心配そうに見つめるソラを見て、勇気を貰った優は、決死の覚悟で祖母に話しかける。
優「おばあちゃん!…えと、明日の放課後、遊びに行ってもいい…?」
(きっと、お前がそんな立場か!って、酷く怒られるに違いない!)
ギュッと目を瞑り、唇をかみしめる。
すると、優の言葉を聞くや否や、祖母の表情はみるみる明るくなり、弾んだ声で答えた。
祖母「まあ!優ちゃん、もうお友達出来たの!?良かった良かった、こりゃあ今日はご馳走ね。」
思いがけない反応に、たじろぎ、目を丸くする。
優「え、なんで…。怒らないの?」
祖母「なんで怒るのよ~。寧ろ、友達が出来た事をお祝いしなきゃ!」
この時優は初めて、今まで教えられていた外で遊ぶ事は悪い事だというのは、間違いだったのだと気づく。
瞬間、安堵し、ふわりと緊張の糸が解ける感覚がした。
(ああ、そうか。遊んでも、いいんだ。)
優「ありがとう、おばあちゃん。」
じんわりと目の奥が熱くなるのを感じながら、ゆっくりと、静かにお礼を言った。
ソラも、心なしか嬉しそうに見えた。
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