黒い君と白い私と。

マツモトリン

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10、親睦会

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授業が終わり、帰り支度をする優。
すると唐突に、後ろから肩を掴まれる。

優「ひっ!あ、え…?」

驚いた拍子でピョンと飛び跳ねる優は、恐る恐る自分の肩を掴んだ相手の方へと視線をうつす。

優「あ、凛…さん?どうしたの。」

そこには、にんまりと笑う凛の姿が。

凛「フフフ、優ちゃん…。今日の放課後、空いてる?優ちゃんの親睦会も兼ねて、遊び行こう!あたしいつもは部活だけど、今日は休みなんだ!」

優「え、あ、えと。」

突然の言葉にたじろぎながら、どう答えようか迷う優。

悠「おい。だから困らせんなって。」

見かねて、悠が隣から口をはさんだ。

凛「あぁ、あんたも付き合ってもらうから。悠は拒否権無し!ね。」

悠「はぁ!?なんでだよ。俺今から帰るところなんだけど。」

明らかに嫌そうな表情の悠。

凛「いいからいいから。それとも、外せない用事かなんかあって?」

悠「いや、無いけど…。」

凛がフフッと、満足気に笑う。

凛「じゃあ、いいじゃんね。で、優ちゃんは?」

優「わ、わたしは…。おばあちゃんに聞いてみないと…。放課後、誰かと遊びに行った事、ないから…。」

おろおろしながらボソボソと喋る優。

凛「ええ、放課後遊んだことないの!?それは大変だ。花のJK時代、遊ばなきゃ損だよ。おばあちゃんに連絡して、聞いてみたら?」

優「ケータイ、持ってないの…。」

凛「ウウウウソ!?!?」

悠「ほんと。」

凛「なんであんたが言うのよ。でも、ケータイ持ってないんじゃ、おばあちゃんに聞きようがないね…。」

しょんぼり顔の凛に、どこか申し訳なさを感じた優。

優「あ、あの…。明日以降でよければ…。今日の夜、おばあちゃんに聞いてみるよ。」

優の言葉を聞くや否や、凛は満面の笑みで声を弾ませた。

凛「ほんと!?やった!じゃあ明日ね!」とりあえず今日は帰ろっか。」

悠「それ、俺も?」

凛「当たり前じゃん。」

仕方が無いと言わんばかりに、ため息をつく悠。

(明日、本当に遊ぶのかな…。初めての事だし、不安だな。わたしなんかの為に親睦会だなんて……。)

軽快な足取りで先に教室を出た凛の後ろ姿を見送りながら、不安を隠しきれない優。
どうやって祖母に話そうか、悩みながら帰り支度を終わらせる。

そんな優を、悠は横目で心配そうに見つめていた。








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