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9、気がある
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結局、優が学校に行っている間ソラが何処にいて何をしているのか分からずじまいだった。
悶々とした気持ちを抱えたままの優は、暗い顔で登校し、朝から賑やかな教室に入ると、静かに席に座った。
凛「おっはよー!…って、あれ?なんか表情暗いけど、大丈夫?」
と、後ろから唐突に凛の声。
優「わぁっ!え、あ、うん、大丈夫だよ。」
(びっくりした…。川波さん、朝から元気だな…。)
驚きながらも慌てて返事をする優の顔を、凛が疑う様に覗き込む。
凛「んん~?大丈夫なようには見えないけど…。ま、なんかあったら言ってよ。いつでも聞くし!」
優「あ、ありがとう川波さん。」
(なんていい人なんだろう。でもわたしなんかの悩み事言ったって、迷惑だよね。)
親切な凛を有り難く感じながらも、人に頼る事を知らない優は、誤魔化すように微笑んでお礼を言う。
凛「ん、川波さんなんて堅苦しくなくていいよ。凛って呼んで!」
優「じ、じゃあ、凛…さん。」
凛の全力な笑顔に圧倒され、はにかみながら下の名前を呼んだ。
(下の名前で呼ぶなんて、恐れ多い…!せめてさん付けで…。)
悠「強制させんのやめろよ。白山さん困ってるじゃん。」
突如、横から低い声が聞こえた。
振り向くと、そこには眠そうにあくびをしながら横目で凛を睨んでいる悠がいた。
(!?いつからいたんだろ…。気づかなかった。)
凛「悠は関係ないじゃん!それに、名前呼びの方が距離感近くなって、いいと思うし。」
負けじと、凛も悠を睨み返す。
悠「普通は仲良くなるにつれ自然に呼び方も変わっていくもんだろうが。」
険悪な2人に挟まれ、痺れを切らした優は、2人をなだめるように声を発した。
優「あ、あの!わたしは、気にしてないから…。凛さんって呼び名も恐れ多いけど…嬉しいよ。」
か細い声で懸命に声を張り上げる。
凛「白山さんがそれでいいなら、いいけど…。」
罰が悪いような顔で頭を掻く悠。
そら見たことかと、胸を張り上げて満足気な凛。
すると、
キーンコーンカーンコーン
不意にチャイムがなり、先生が教室に入ってきた。
先生「おらー、お前ら席につけ。朝礼ー。」
さっきまで束の間のお喋りをしていた生徒達が、いそいそとそれぞれの席に座った。
凛も席に戻り、二人に挟まれていた優は胸を撫で下ろす。
悠「嫌だったら、ちゃんと嫌だって言うんだぞ。」
凛の耳に入らぬよう、顔を近づけ、静かな声で優に耳打ちをする悠。
優「ひゃっ!…あ、う、うん…。ありがとう。」
(か、顔の距離が、近い!)
思わぬ急接近に、ドクンと脈打つのが分かった。
顔に熱が集まってくる。
(やばい、絶対今顔真っ赤だ…。)
悠「あ、ごめん…。」
優「い、いや…。」
優の赤い顔に気づいた悠は、咄嗟に離れた。
つられて悠も赤くなる。
そんな二人の様子を後ろから見ていた凛は、
凛「やっぱり、二人とも気があるな?」
ニヤついた口元を手で隠し、ボソリと独り言を呟いた。
悶々とした気持ちを抱えたままの優は、暗い顔で登校し、朝から賑やかな教室に入ると、静かに席に座った。
凛「おっはよー!…って、あれ?なんか表情暗いけど、大丈夫?」
と、後ろから唐突に凛の声。
優「わぁっ!え、あ、うん、大丈夫だよ。」
(びっくりした…。川波さん、朝から元気だな…。)
驚きながらも慌てて返事をする優の顔を、凛が疑う様に覗き込む。
凛「んん~?大丈夫なようには見えないけど…。ま、なんかあったら言ってよ。いつでも聞くし!」
優「あ、ありがとう川波さん。」
(なんていい人なんだろう。でもわたしなんかの悩み事言ったって、迷惑だよね。)
親切な凛を有り難く感じながらも、人に頼る事を知らない優は、誤魔化すように微笑んでお礼を言う。
凛「ん、川波さんなんて堅苦しくなくていいよ。凛って呼んで!」
優「じ、じゃあ、凛…さん。」
凛の全力な笑顔に圧倒され、はにかみながら下の名前を呼んだ。
(下の名前で呼ぶなんて、恐れ多い…!せめてさん付けで…。)
悠「強制させんのやめろよ。白山さん困ってるじゃん。」
突如、横から低い声が聞こえた。
振り向くと、そこには眠そうにあくびをしながら横目で凛を睨んでいる悠がいた。
(!?いつからいたんだろ…。気づかなかった。)
凛「悠は関係ないじゃん!それに、名前呼びの方が距離感近くなって、いいと思うし。」
負けじと、凛も悠を睨み返す。
悠「普通は仲良くなるにつれ自然に呼び方も変わっていくもんだろうが。」
険悪な2人に挟まれ、痺れを切らした優は、2人をなだめるように声を発した。
優「あ、あの!わたしは、気にしてないから…。凛さんって呼び名も恐れ多いけど…嬉しいよ。」
か細い声で懸命に声を張り上げる。
凛「白山さんがそれでいいなら、いいけど…。」
罰が悪いような顔で頭を掻く悠。
そら見たことかと、胸を張り上げて満足気な凛。
すると、
キーンコーンカーンコーン
不意にチャイムがなり、先生が教室に入ってきた。
先生「おらー、お前ら席につけ。朝礼ー。」
さっきまで束の間のお喋りをしていた生徒達が、いそいそとそれぞれの席に座った。
凛も席に戻り、二人に挟まれていた優は胸を撫で下ろす。
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凛の耳に入らぬよう、顔を近づけ、静かな声で優に耳打ちをする悠。
優「ひゃっ!…あ、う、うん…。ありがとう。」
(か、顔の距離が、近い!)
思わぬ急接近に、ドクンと脈打つのが分かった。
顔に熱が集まってくる。
(やばい、絶対今顔真っ赤だ…。)
悠「あ、ごめん…。」
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つられて悠も赤くなる。
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