黒い君と白い私と。

マツモトリン

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8、ソラの謎

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優が転校してから1ヶ月が経った。

嫌気がさす程に鳴り響いていた蝉の声も、突き刺すように降り注ぐ太陽の光も、今ではとんと姿を見せなくなった。

この頃、優には気がかりな事があった。

ソラの様子が、おかしい。
 
始まりはソラがはじめて家に来た次の日から、優が学校に行く日に限定して起こっていると言うのだ。

祖母曰くソラは、優が学校に行くと決まって忽然と姿を眩まし、優が帰宅する直前に素知らぬ顔で不意に現れる。

祖母は、最初こそ家のどこかに隠れているのだと思い込んでいたが、それが4、5回続いた時には流石に疑問を抱き始め、最近になって優に打ち明けた。
優に打ち明ける前に、祖母はなんとかソラの不可解な行動を解明しようと、常にソラを気にかけていた。
しかし、その努力も虚しく、いつもほんの少し目を離した隙に居なくなってしまうのだった。

謎は解けぬまま、悶々とした表情で学校へ向かう優。

(ソラ、どうしたんだろう。
わたしが学校に行っている間、あなたは何処にいるの?もしかして、わたし達よりも素敵な飼い主の所に行っていたり…。)

考えても考えても答えは見つかるはずもなく、思考が堂々巡りをする。

過剰な深読みでネガティブな考えへと進んで行き、自然と足取りが重くなる。

(いつかソラも、お母さんみたいに、わたしから離れて行ってしまうの…?)

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