黒い君と白い私と。

7、幸せな日常

今日はなんだか、空気が湿っている気がする。
窓を見やると、ポツポツと小雨が降っていた。
ベッドのしわを整え、洗面所で顔を洗う。ふと足元に視線を落とすと、ソラが心配気な表情でこちらを見つめていた。

優「大丈夫だよ。ソラのお陰で今日は目覚めが良いの。」

そう言ってソラの頭を優しく撫でると、口角を上げ笑ったような表情を見せるソラ。
キッチンへ向かうと、そこには朝ご飯を用意する祖母の姿があった。

祖母「お早う。昨日はよく眠れた？」

優「お早う、おばあちゃん。うん、大丈夫。」

いつものように昨夜の悪夢を誤魔化しながら、朝ご飯の支度を手伝おうと祖母の側に寄る。

優「何か手伝う事ある？」

祖母「ありがとう。それじゃ、この魚を焦げないようにしっかり見ておいてもらえるかしら。」

味噌汁のまろやかな香りと焼き魚の香ばしい匂いが、優の唾液腺を刺激した。

「ワン！」

足元を見ると、匂いにつられたのか、ソラが目を輝かせてこちらを見上げていた。

祖母「ああ～こらこら。君はキッチンに入っちゃダメですよ～。」

祖母にふわりと抱き抱えられ、リビングへと移動させられるソラを見て、自然と笑みがこぼれる優。

ソラが来てからというもの、自分に笑顔が増えたような気がした。