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4、突然の贈り物
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月明かりが照らす頃、未だに鳴り止まぬ蝉の鳴き声を聞きながら、優は部屋で寝そべっていた。
ジワジワと熱い空気とは対照的に、床がひんやりと気持ち良い。
扇風機の風を正面に受け、しばらくぼんやりしていると、ふいに悠の台詞が頭に浮かんだ。
『俺の事、覚えてない?』
身に覚えのない言葉に違和感を覚える。
あれから何度も考えてみたものの、一向に答えを見出せずにいた優。
すると、
ピンポーン
突然チャイムが鳴った。
(こんな夜に、誰だろう…。)
不思議に思いながらも、
ドアの側まで足を進め、おそるおそる開けてみる。
優「…ダンボール?」
そこには怪しげなダンボールが置いてあった。
しばらく見つめていた優は、ふと我に返り、少し怖くなって祖母を呼んだ。
優「おばあちゃん!」
強張る優の声を聞いて祖母が駆けつける。
祖母「どうしたの!…ダンボール?おかしいねぇ…何も頼んだ覚えはないけど。」
2人は予期せぬ光景に困惑した。
すると不意に、
ガサガサッ
「「ひっ!」」
ダンボールの中から音がして、2人は思わず悲鳴をあげた。
顔を見合わせ、息を飲む。
祖母「なんなのかしら…。とりあえず開けてみる?」
おそるおそるダンボールに手を伸ばす祖母。
祖母の意外な行動力に驚きながら、優は必死に反対した。
優「やめた方がいいよ。なんだか怖いし…。」
祖母「そうね…でも、このままにするわけにもいかないし。」
2人は悩んだ末に、結局中身を確認するという結論に至った。
祖母の手が、ダンボールに伸びる。
ダンボールの中に玄関の光が差し込み、その正体が明らかになると、2人は目を丸くした。
「ワン!」
犬だ!
なぜこんな所に犬がいるの!?
驚きと同時に優は、その犬を見てなぜかなつかしさを感じた。
黒い毛並みで耳はピンと立ち、どこか緊張した様子の犬は、まん丸でつぶらな瞳をこちらに向ける。
…どこかで会った事あったかな。
その不確かな記憶を探るように無意識に近づいた途端、
それまで黙っていた祖母が声をあげた。
祖母「…なんて可愛いのかしら!」
祖母は、無類の犬好きだった。
優よりも先に犬のそばに駆け寄ると、ひょいとその体を持ち上げ、優しい手つきで頭を撫でた。
と、その時、ダンボールの中に一通の手紙らしきものが入っているのを発見した。
”飼ってください。”
祖母「可哀想に。捨てられたのね?うちで飼いましょう。それにしても、なんて自分勝手な飼い主なのかしら。」
「クゥーン。」
優「無責任だね。こんなに可愛いのに、どうしてだろう。」
飼い主に腹を立てながらも、「うちで飼おう」という祖母の言葉に内心嬉しく思った優は、これから始まるであろうペットとの生活を夢見て心が踊った。
でも、なんでこの子の飼い主はわざわざおばあちゃんの家に来たのかな…?
それに、さっきの懐かしさはなんだったんだろう…。
疑問も残りつつ、もやもやとした心情のまま突如現れた新しい家族を見つめる優だった。
ジワジワと熱い空気とは対照的に、床がひんやりと気持ち良い。
扇風機の風を正面に受け、しばらくぼんやりしていると、ふいに悠の台詞が頭に浮かんだ。
『俺の事、覚えてない?』
身に覚えのない言葉に違和感を覚える。
あれから何度も考えてみたものの、一向に答えを見出せずにいた優。
すると、
ピンポーン
突然チャイムが鳴った。
(こんな夜に、誰だろう…。)
不思議に思いながらも、
ドアの側まで足を進め、おそるおそる開けてみる。
優「…ダンボール?」
そこには怪しげなダンボールが置いてあった。
しばらく見つめていた優は、ふと我に返り、少し怖くなって祖母を呼んだ。
優「おばあちゃん!」
強張る優の声を聞いて祖母が駆けつける。
祖母「どうしたの!…ダンボール?おかしいねぇ…何も頼んだ覚えはないけど。」
2人は予期せぬ光景に困惑した。
すると不意に、
ガサガサッ
「「ひっ!」」
ダンボールの中から音がして、2人は思わず悲鳴をあげた。
顔を見合わせ、息を飲む。
祖母「なんなのかしら…。とりあえず開けてみる?」
おそるおそるダンボールに手を伸ばす祖母。
祖母の意外な行動力に驚きながら、優は必死に反対した。
優「やめた方がいいよ。なんだか怖いし…。」
祖母「そうね…でも、このままにするわけにもいかないし。」
2人は悩んだ末に、結局中身を確認するという結論に至った。
祖母の手が、ダンボールに伸びる。
ダンボールの中に玄関の光が差し込み、その正体が明らかになると、2人は目を丸くした。
「ワン!」
犬だ!
なぜこんな所に犬がいるの!?
驚きと同時に優は、その犬を見てなぜかなつかしさを感じた。
黒い毛並みで耳はピンと立ち、どこか緊張した様子の犬は、まん丸でつぶらな瞳をこちらに向ける。
…どこかで会った事あったかな。
その不確かな記憶を探るように無意識に近づいた途端、
それまで黙っていた祖母が声をあげた。
祖母「…なんて可愛いのかしら!」
祖母は、無類の犬好きだった。
優よりも先に犬のそばに駆け寄ると、ひょいとその体を持ち上げ、優しい手つきで頭を撫でた。
と、その時、ダンボールの中に一通の手紙らしきものが入っているのを発見した。
”飼ってください。”
祖母「可哀想に。捨てられたのね?うちで飼いましょう。それにしても、なんて自分勝手な飼い主なのかしら。」
「クゥーン。」
優「無責任だね。こんなに可愛いのに、どうしてだろう。」
飼い主に腹を立てながらも、「うちで飼おう」という祖母の言葉に内心嬉しく思った優は、これから始まるであろうペットとの生活を夢見て心が踊った。
でも、なんでこの子の飼い主はわざわざおばあちゃんの家に来たのかな…?
それに、さっきの懐かしさはなんだったんだろう…。
疑問も残りつつ、もやもやとした心情のまま突如現れた新しい家族を見つめる優だった。
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