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はじまり
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世界に、一柱の獣が舞い降りた。
その獣は、本来この世界には居ない筈の存在。この世界ではない何処かでは、神々をも恐れさせる存在であった。
だが、何故そのような存在がこの世界へやってきたのか。
まず訂正すべきは、やってきたのではない。上手く連れ去られてきたのだ。神々をも恐れさせる存在を、誰が、どうやって誘拐したか。
それは簡単、既にこの獣は天寿を全うし死んだのだ。その魂そのものをこの世界の主神たる女神が無断で回収し、この世界に放った。肉体は本来無い筈であり、霊体の筈なのだが無意識に肉体を生成し顕現したのだ。
「……………………?」
その獣は、見知らぬ土地をキョロキョロを目を動かして辺りを確認する。
辺りは何処かの草原。
見知らぬ大地に途方に暮れた獣は、その場で座り込む。丁度生い茂る草が絨毯代わりとなったのだが、それでも不満らしく己の十二の尻尾で自身の身体を包み込む。
金色の毛並みを持ち、十二の尻尾を有するその獣は、その風貌からして狐だ。だが、狐よりも一周り二周り大きい為、大狐と言う方が正しいだろう。
「……………」
ここは何処だ。
大狐は何もないこの場から問う。
この世界にとって、大狐は異分子だ。善し悪し関係無く、未知のウイルス。
それが単なる人間なら何も起こらなかっただろう。例え、異世界の人間や動物でも、ゆっくりと食べ物を消化するが如くこの世界に溶け込む。
しかし、この大狐は違う。
単なる獣ではない。
それ故に、現れるのだ。
創造神ではなく――――――――この星を生み出した【星生之神】が、この異常事態を逸早く察知し、大狐の目の前に顕現したのだ。
「!」
顕現した姿は、まさしく【龍】。
単なる龍ではなく、その背中からはその巨大な身体を包み込める程の鷲の翼を三対六枚生やしていた。天使や神かの如き神々しさはこの地母神でもある。それ故にこの世から生まれた存在は反抗する事は出来ない。
爬虫類の様な目、ではなく模様地味た真紅の瞳を見おろし、大狐を視界に捉えた。
『我は【別天津神アルケー】。この星の化身である。其処の者よ、何者だ。何故にこの世界へやってきた』
“……気付いたら、ここにいた”
『気付いたら、だと?バカを抜かすな。大凡、この世界を攻めてきたか、侵略者め』
“侵略者、ではない”
『戯け。この世界の神ではなく、他の世界から来た神は侵略者だ。容赦はせぬぞ……!』
“話を――――――”
完全に敵として、外からの侵略者として認識されてしまった大狐は止む終えなく臨戦態勢を取ることになる。
アルケーは光線を放ってくるのだが、大狐は十二の尾で吹き飛ばす。その衝撃波により、辺りの時空は油上天候は不安定になり、地震が起こってしまう。先程までにいた草原は、まるで別世界に移動してしまったかの様に荒地となってしまった。
“っ!?”
『まさか、防ぐか。致し方が無い――――――冥府の闇に落ちよ、《冥府の深淵》!』
“殺す気か――――――《聖域》!”
大狐を取り囲む様に、大地から禍々しい闇が襲い掛かる。それは冥府に存在する、“死”という概念そのものだ。その闇に触れてしまえば、魂は奪われ肉体は朽ちていく。生命体ならば、確実に致命的だ。
『ほぅ?アイギス、とな。懐かしい単語だ。しかし、今はどうでもいい。侵略者よ、ここで――――――終わりだ、侵略者!!!《無限氷之牢獄》!!!』
“―――――――!”
アルケーを中心に、この世界の終わりを発動する。それはあまりにも残酷であり、この世の生命の事など考えてはいない。この《無限氷之牢獄コキュートス》は最初に大狐がいる一帯を氷漬け。そこから徐々に全世界へ広がっていくのだ。
“させるか、《絶対聖領域》!”
しかし、それを阻止するは大狐。世界が凍ってしまう、という偽善的な理由ではなくただ己の身を守る為に辺りを聖域に変えたのだ。その聖域は広範囲絶対防御であり、尚且その聖域は永久的に継続されていく。アルケーの《無限氷之牢獄》は《絶対聖領域》により完全に防ぐ事に成功する。その結果が、世界中の生命を救った事になるのだが、そんなこと大狐が知る由もない。
『よもや……《無限氷之牢獄》を防ぐか』
“容赦無いの、貴様は”
両者共に拮抗した大規模な戦いを繰り広げ、三日三晩続いた。後にこの戦いは人々から【原初の聖戦】と語り継がれる程、その規模は巨大で近くにいた人々が目撃していたのだ。
炎の海を生み出し、大地を揺らす大地震と噴火を起こす。更には天候は雨風嵐と不安定になり、雷霆を轟かせる。人々からすれば、人類を超越する二つの存在の戦いはこの世界にとって“最古の神話”として後世に伝えられていく。
その獣は、本来この世界には居ない筈の存在。この世界ではない何処かでは、神々をも恐れさせる存在であった。
だが、何故そのような存在がこの世界へやってきたのか。
まず訂正すべきは、やってきたのではない。上手く連れ去られてきたのだ。神々をも恐れさせる存在を、誰が、どうやって誘拐したか。
それは簡単、既にこの獣は天寿を全うし死んだのだ。その魂そのものをこの世界の主神たる女神が無断で回収し、この世界に放った。肉体は本来無い筈であり、霊体の筈なのだが無意識に肉体を生成し顕現したのだ。
「……………………?」
その獣は、見知らぬ土地をキョロキョロを目を動かして辺りを確認する。
辺りは何処かの草原。
見知らぬ大地に途方に暮れた獣は、その場で座り込む。丁度生い茂る草が絨毯代わりとなったのだが、それでも不満らしく己の十二の尻尾で自身の身体を包み込む。
金色の毛並みを持ち、十二の尻尾を有するその獣は、その風貌からして狐だ。だが、狐よりも一周り二周り大きい為、大狐と言う方が正しいだろう。
「……………」
ここは何処だ。
大狐は何もないこの場から問う。
この世界にとって、大狐は異分子だ。善し悪し関係無く、未知のウイルス。
それが単なる人間なら何も起こらなかっただろう。例え、異世界の人間や動物でも、ゆっくりと食べ物を消化するが如くこの世界に溶け込む。
しかし、この大狐は違う。
単なる獣ではない。
それ故に、現れるのだ。
創造神ではなく――――――――この星を生み出した【星生之神】が、この異常事態を逸早く察知し、大狐の目の前に顕現したのだ。
「!」
顕現した姿は、まさしく【龍】。
単なる龍ではなく、その背中からはその巨大な身体を包み込める程の鷲の翼を三対六枚生やしていた。天使や神かの如き神々しさはこの地母神でもある。それ故にこの世から生まれた存在は反抗する事は出来ない。
爬虫類の様な目、ではなく模様地味た真紅の瞳を見おろし、大狐を視界に捉えた。
『我は【別天津神アルケー】。この星の化身である。其処の者よ、何者だ。何故にこの世界へやってきた』
“……気付いたら、ここにいた”
『気付いたら、だと?バカを抜かすな。大凡、この世界を攻めてきたか、侵略者め』
“侵略者、ではない”
『戯け。この世界の神ではなく、他の世界から来た神は侵略者だ。容赦はせぬぞ……!』
“話を――――――”
完全に敵として、外からの侵略者として認識されてしまった大狐は止む終えなく臨戦態勢を取ることになる。
アルケーは光線を放ってくるのだが、大狐は十二の尾で吹き飛ばす。その衝撃波により、辺りの時空は油上天候は不安定になり、地震が起こってしまう。先程までにいた草原は、まるで別世界に移動してしまったかの様に荒地となってしまった。
“っ!?”
『まさか、防ぐか。致し方が無い――――――冥府の闇に落ちよ、《冥府の深淵》!』
“殺す気か――――――《聖域》!”
大狐を取り囲む様に、大地から禍々しい闇が襲い掛かる。それは冥府に存在する、“死”という概念そのものだ。その闇に触れてしまえば、魂は奪われ肉体は朽ちていく。生命体ならば、確実に致命的だ。
『ほぅ?アイギス、とな。懐かしい単語だ。しかし、今はどうでもいい。侵略者よ、ここで――――――終わりだ、侵略者!!!《無限氷之牢獄》!!!』
“―――――――!”
アルケーを中心に、この世界の終わりを発動する。それはあまりにも残酷であり、この世の生命の事など考えてはいない。この《無限氷之牢獄コキュートス》は最初に大狐がいる一帯を氷漬け。そこから徐々に全世界へ広がっていくのだ。
“させるか、《絶対聖領域》!”
しかし、それを阻止するは大狐。世界が凍ってしまう、という偽善的な理由ではなくただ己の身を守る為に辺りを聖域に変えたのだ。その聖域は広範囲絶対防御であり、尚且その聖域は永久的に継続されていく。アルケーの《無限氷之牢獄》は《絶対聖領域》により完全に防ぐ事に成功する。その結果が、世界中の生命を救った事になるのだが、そんなこと大狐が知る由もない。
『よもや……《無限氷之牢獄》を防ぐか』
“容赦無いの、貴様は”
両者共に拮抗した大規模な戦いを繰り広げ、三日三晩続いた。後にこの戦いは人々から【原初の聖戦】と語り継がれる程、その規模は巨大で近くにいた人々が目撃していたのだ。
炎の海を生み出し、大地を揺らす大地震と噴火を起こす。更には天候は雨風嵐と不安定になり、雷霆を轟かせる。人々からすれば、人類を超越する二つの存在の戦いはこの世界にとって“最古の神話”として後世に伝えられていく。
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