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9.甘い時間
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日曜の朝はゆっくりだ。
洗濯機を回しながら、ブランチを食べ終わると、熱いコーヒーをいれてひと息ついた。
大きく窓を開けて、布団を干して掃除機をかける。深緑の香りを含んだ爽やかな風が心地よかった。
ゆっくり眠れたせいか、目覚めもよい。
雲ひとつない青空も、凪紗の心を踊らせる。
買い物にいこうかな。
久しぶりにあのショップでコーヒーでも飲もう。
相当浮かれていたみたい、気づいたら鼻歌を歌ってた。
昼下がりの街は、どこか華やいでいて、行き交う人たちは誰もが幸せそうにみえた。それを温かい気持ちで受け止められるのは、前世で好きだった人との幸せな時間を思い出したからかな?
ショップの香水に、あの香りを探す。
幾つかの男性用コロンを手に取り、意識を集中する。
フィーナを包むアーバンの香り…。
使う目的もないのに、買ってしまった。
ホント、相当浮かれてる。
頭を冷やすために、目的の店でコーヒーを楽しむ。
スマホを手に取り、お気に入り作品の更新をチェックする。
読み始めればすぐにその世界に引き込まれ、物語の中を旅していた。
いつもは他人事のヒロインの恋心に感情移入してしまい、ドキドキしたり、悲しみに涙が溢れてしまったり、大きく感情が動く。
周りの人には、かなり怪しい人間に見えただろうな。反省。
テイクアウトの夕食を買って、早めに自宅に戻った。
明日は月曜日、また一週間が始まる。
今日は早めに寝よう。
いい気持ちを維持したくてあえて見なかったコメント…。
自分から質問を投げておいて放置するのはマズイよね…。
気になるけど、気が重い。
この気の重さ、明日が月曜日だからだけでは無いな。
重い気持ちでPCを立ち上げる。
マイページに進む。
コメント…1件。
あぁ、みたくない。
明日にしちゃおうかな、
悪魔が誘惑する
買ってしまった香水を箱から出して、香りを確かめる。
ウイリアスに助けを求めてしまうなんて…我ながら乙女だわ。
えいっ!
勢いでクリックしてコメントを開封した。
偽りの騎士に心奪われてはいけない。
本当に信じるべきものを思い出して。 K
なんだこりゃ???
フリーズ状態から復活するまで、しばらく時間を要した。
偽りの騎士?
本当に信じるべきもの?
謎解きかいっ!
恋愛は好きだが、推理は向かないよ…
ウイリアスはフィーナを抱き締めて、背中をトントンと宥めてくれた。
今まで、心に蓋をしていた感情が話をすることで溢れ出し、フィーナの瞳を濡らした。
「よく話してくれたね。心に秘めて辛かっただろう」
熱に侵されたような身体に、ウイリアスの甘美な言葉は麻薬だった。
もう逃れられない。離したくない。
「いいかい、これからは二人のことを全て私に話して欲しい。公爵には私の方から時期を見て話をしよう。
だからきみは、私以外の人間に話してはいけないよ」
髪に落とされるキスのあと、温もりが離れてゆく。
それが寂しくて、思わず顔を見上げた。
「いいね」
念を押した言葉にフィーナはしっかりと頷いた。
もう一人で苦しまなくていいんだ。
ウイリアスさまが聞いてくださる。
「忘れないで、君は私のものだ」
ウイリアスの唇が額にそっと触れると、フィーナの身体に稲妻が走った。
あぁ、ウイリアスさま…
目が覚めた。
月曜の朝なのに爽快だ。
夢見が良かったからかな。
自分の夢ながら、妄想の盛り方が半端ない。恥ずかしくなるくらいだ。
でも、甘いってこういうことなんだよね?
この甘美な気持ちを忘れたくない!
すぐにPCに向かう。
これくらいのスピード感で仕事できたら、凄い出世できそうな気がする。それくらいの集中力で、一気に書き上げた。
よし、投稿!
コーヒーを入れて、読み返す。
熱くて火傷しそう。
口にしたコーヒーは、ブラックなのに甘く感じた。
コロンをつけて、アーバンの香りを纏う。
抱かれる幸福感に包まれて、思わず自分を抱き締めた。
ヤバい、病的だわ…
いつもより早い電車に乗れそう
凪紗は軽い足取りで、家をあとにした
洗濯機を回しながら、ブランチを食べ終わると、熱いコーヒーをいれてひと息ついた。
大きく窓を開けて、布団を干して掃除機をかける。深緑の香りを含んだ爽やかな風が心地よかった。
ゆっくり眠れたせいか、目覚めもよい。
雲ひとつない青空も、凪紗の心を踊らせる。
買い物にいこうかな。
久しぶりにあのショップでコーヒーでも飲もう。
相当浮かれていたみたい、気づいたら鼻歌を歌ってた。
昼下がりの街は、どこか華やいでいて、行き交う人たちは誰もが幸せそうにみえた。それを温かい気持ちで受け止められるのは、前世で好きだった人との幸せな時間を思い出したからかな?
ショップの香水に、あの香りを探す。
幾つかの男性用コロンを手に取り、意識を集中する。
フィーナを包むアーバンの香り…。
使う目的もないのに、買ってしまった。
ホント、相当浮かれてる。
頭を冷やすために、目的の店でコーヒーを楽しむ。
スマホを手に取り、お気に入り作品の更新をチェックする。
読み始めればすぐにその世界に引き込まれ、物語の中を旅していた。
いつもは他人事のヒロインの恋心に感情移入してしまい、ドキドキしたり、悲しみに涙が溢れてしまったり、大きく感情が動く。
周りの人には、かなり怪しい人間に見えただろうな。反省。
テイクアウトの夕食を買って、早めに自宅に戻った。
明日は月曜日、また一週間が始まる。
今日は早めに寝よう。
いい気持ちを維持したくてあえて見なかったコメント…。
自分から質問を投げておいて放置するのはマズイよね…。
気になるけど、気が重い。
この気の重さ、明日が月曜日だからだけでは無いな。
重い気持ちでPCを立ち上げる。
マイページに進む。
コメント…1件。
あぁ、みたくない。
明日にしちゃおうかな、
悪魔が誘惑する
買ってしまった香水を箱から出して、香りを確かめる。
ウイリアスに助けを求めてしまうなんて…我ながら乙女だわ。
えいっ!
勢いでクリックしてコメントを開封した。
偽りの騎士に心奪われてはいけない。
本当に信じるべきものを思い出して。 K
なんだこりゃ???
フリーズ状態から復活するまで、しばらく時間を要した。
偽りの騎士?
本当に信じるべきもの?
謎解きかいっ!
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ウイリアスはフィーナを抱き締めて、背中をトントンと宥めてくれた。
今まで、心に蓋をしていた感情が話をすることで溢れ出し、フィーナの瞳を濡らした。
「よく話してくれたね。心に秘めて辛かっただろう」
熱に侵されたような身体に、ウイリアスの甘美な言葉は麻薬だった。
もう逃れられない。離したくない。
「いいかい、これからは二人のことを全て私に話して欲しい。公爵には私の方から時期を見て話をしよう。
だからきみは、私以外の人間に話してはいけないよ」
髪に落とされるキスのあと、温もりが離れてゆく。
それが寂しくて、思わず顔を見上げた。
「いいね」
念を押した言葉にフィーナはしっかりと頷いた。
もう一人で苦しまなくていいんだ。
ウイリアスさまが聞いてくださる。
「忘れないで、君は私のものだ」
ウイリアスの唇が額にそっと触れると、フィーナの身体に稲妻が走った。
あぁ、ウイリアスさま…
目が覚めた。
月曜の朝なのに爽快だ。
夢見が良かったからかな。
自分の夢ながら、妄想の盛り方が半端ない。恥ずかしくなるくらいだ。
でも、甘いってこういうことなんだよね?
この甘美な気持ちを忘れたくない!
すぐにPCに向かう。
これくらいのスピード感で仕事できたら、凄い出世できそうな気がする。それくらいの集中力で、一気に書き上げた。
よし、投稿!
コーヒーを入れて、読み返す。
熱くて火傷しそう。
口にしたコーヒーは、ブラックなのに甘く感じた。
コロンをつけて、アーバンの香りを纏う。
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いつもより早い電車に乗れそう
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