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第捌章 大戦争は、混乱と共に
6節目 不完全な
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兎にも角にも、慎重に行かなければなるまい。
バレたらどうなるか分からないからね。
監視の目を掻い潜りながら、3人で息を潜めて進んでいく。
心配なのは、入院着の子ね。
あまり歩き慣れてない感じがする。
故に、いつバランスが崩れるかヒヤヒヤするわ。
『ヒスイさん、大丈夫ですか?』
私は小声で問いかける。
『アタシは大丈夫やでぇ…ソラさんが手伝ってくれはるから、マジ助かってるわ~。』
協力することは大事だ。
特に今みたいな、慎重に行かなければならない場面では協力は必須だ。
念の為武器を作り出したいけれど、痛みで声が出てしまう可能性が非常に高いため、この場では作れないというのが難点だ。
幸いスキルでこの牢獄のマップは把握しているが、監視の行動までは読み取れないから慎重に行かなければいけない。
武器もなくて、魔法も使えないらしいから、バレたら一大事だ。
『モナカさん…道あってます…よね。』
『もちろんです。スキルが間違ってない限りは大丈夫かと。』
ダッフルパーカーの子が心配そうに聞いてくる。
未熟だけど、これでも探偵志望なんでね。
だから、潜入捜査は既に何度かシミュレーション済だし、こういう危機的状況に備えて隠しポケットに護身用道具をいくつか入れているのよね。
銃が作れないのは心細いし、護身用道具だけでは魔法が有り触れたこの世界で対抗できるかどうか分からないから、やっぱり表立っては行動できないのよね。
危険を犯してまで陽動するメリットがない。
と、匍匐前進で勤務室前まで着いたが、ここで大変なことに気づく。
鍵がない。
鍵というか、認証カード式の出口。
カードは刑務官が首にぶら下げてたあれだと思うけれど、この場で作り出すのは難しい。
少なくとも、あの痛みを声を出さずに耐えるのは今の自分にはできない。
かと言って、強行突破をすれば警報は確実に鳴るだろう。
……というか、なぜ中世ヨーロッパ風の建物に最新型のセキュリティが導入されてんの?
ここだけ時代違いすぎるだろ。
…いやいやいや、まって詰んだ?
どうしよう。
勤務室からは気配を感じないけれど、刑務官が来るのは時間の問題だし、やばいかもしれない。
『……やばいかも』
『え、まってどしたん!このまま抜けられるんやないんか?』
『……カードがいるんですけど、この場で作り出すと刑務官にバレます。勤務室には誰もいませんが、交代時間が分からない以上リスクがあります。』
『ならば、私が勤務室に行きます。』
『そ、それは危険ですソラさん!魔法が使えないのでは、防衛手段が限られていると思います!』
『……ふふっ、私の攻撃手段は、魔法だけじゃないよ。』
『えっと、つまり…大丈夫ってことなんやな?』
『はい、私に任せてください。』
『…………不安ですが、あなたに任せるしかありません。どうかご武運を。』
ソラさん、華奢であまり力が無さそうだけれど、たしかに目を凝らすと……ん?
……え、あれ?
ソラさん………って、
………人間じゃない…??
✳✳✳✳✳✳✳
さっさと勤務室に侵入して、カードを取りましょうか。
鍵は…かかってないみたいね。
緊張で汗が滲んでくる。
……いけない、このままでは
私が不完全なことが…!
私は、完全な人間ではない。
私を拾ってくれたおじいちゃんは、私に人間になる薬をくれた。
でも私は知ってる。
人間になるための薬の材料は、天空の純水と呼ばれる、澄み切った水と
創造神泉にしか生えていない植物である儚桜が材料になる。
でも、儚桜は、入手が困難。
足腰を悪くしたおじいちゃんが、取りに行けるはずもない。
だから私は知っている。
おじいちゃんが、儚桜に似た小さな花、天使の翼を使ったことに。
効果は似ているけれど、明確に違うことがある。
それは、天使の翼を使って種族変換薬を作ると、高確率で完全な人間になれないというもの。
私も、不完全な人間として生きている。
化粧で何とか模様を隠せているけれど、いずれバレるのも時間の問題。
私はまだ、半分だけ宇宙族なのだ。
辛いけれど、これが現実だ。
私も人間に戻りたい。
この忌々しい力は、いらない。
このままだと、お姉ちゃんを抱きしめられないから。
だから、人間に戻ろうと思った。
だから、ユキさんにレシピを言った。
私も着いていくことにした。
全部、私のため。
だから、こんなところで時間を浪費している場合じゃない。
天空の純水は、時間が経てば経つほど腐る。
ユキさんが持っている瓶は、保存の効果があるけれど。
持ってあと一ヶ月。
だから急がなきゃ。
急がなきゃ行けない。
とにかく、こんなところで止まってる場合じゃないの。
早くカードを手に入れて、さっさとこんな場所から出ましょう。
バレたらどうなるか分からないからね。
監視の目を掻い潜りながら、3人で息を潜めて進んでいく。
心配なのは、入院着の子ね。
あまり歩き慣れてない感じがする。
故に、いつバランスが崩れるかヒヤヒヤするわ。
『ヒスイさん、大丈夫ですか?』
私は小声で問いかける。
『アタシは大丈夫やでぇ…ソラさんが手伝ってくれはるから、マジ助かってるわ~。』
協力することは大事だ。
特に今みたいな、慎重に行かなければならない場面では協力は必須だ。
念の為武器を作り出したいけれど、痛みで声が出てしまう可能性が非常に高いため、この場では作れないというのが難点だ。
幸いスキルでこの牢獄のマップは把握しているが、監視の行動までは読み取れないから慎重に行かなければいけない。
武器もなくて、魔法も使えないらしいから、バレたら一大事だ。
『モナカさん…道あってます…よね。』
『もちろんです。スキルが間違ってない限りは大丈夫かと。』
ダッフルパーカーの子が心配そうに聞いてくる。
未熟だけど、これでも探偵志望なんでね。
だから、潜入捜査は既に何度かシミュレーション済だし、こういう危機的状況に備えて隠しポケットに護身用道具をいくつか入れているのよね。
銃が作れないのは心細いし、護身用道具だけでは魔法が有り触れたこの世界で対抗できるかどうか分からないから、やっぱり表立っては行動できないのよね。
危険を犯してまで陽動するメリットがない。
と、匍匐前進で勤務室前まで着いたが、ここで大変なことに気づく。
鍵がない。
鍵というか、認証カード式の出口。
カードは刑務官が首にぶら下げてたあれだと思うけれど、この場で作り出すのは難しい。
少なくとも、あの痛みを声を出さずに耐えるのは今の自分にはできない。
かと言って、強行突破をすれば警報は確実に鳴るだろう。
……というか、なぜ中世ヨーロッパ風の建物に最新型のセキュリティが導入されてんの?
ここだけ時代違いすぎるだろ。
…いやいやいや、まって詰んだ?
どうしよう。
勤務室からは気配を感じないけれど、刑務官が来るのは時間の問題だし、やばいかもしれない。
『……やばいかも』
『え、まってどしたん!このまま抜けられるんやないんか?』
『……カードがいるんですけど、この場で作り出すと刑務官にバレます。勤務室には誰もいませんが、交代時間が分からない以上リスクがあります。』
『ならば、私が勤務室に行きます。』
『そ、それは危険ですソラさん!魔法が使えないのでは、防衛手段が限られていると思います!』
『……ふふっ、私の攻撃手段は、魔法だけじゃないよ。』
『えっと、つまり…大丈夫ってことなんやな?』
『はい、私に任せてください。』
『…………不安ですが、あなたに任せるしかありません。どうかご武運を。』
ソラさん、華奢であまり力が無さそうだけれど、たしかに目を凝らすと……ん?
……え、あれ?
ソラさん………って、
………人間じゃない…??
✳✳✳✳✳✳✳
さっさと勤務室に侵入して、カードを取りましょうか。
鍵は…かかってないみたいね。
緊張で汗が滲んでくる。
……いけない、このままでは
私が不完全なことが…!
私は、完全な人間ではない。
私を拾ってくれたおじいちゃんは、私に人間になる薬をくれた。
でも私は知ってる。
人間になるための薬の材料は、天空の純水と呼ばれる、澄み切った水と
創造神泉にしか生えていない植物である儚桜が材料になる。
でも、儚桜は、入手が困難。
足腰を悪くしたおじいちゃんが、取りに行けるはずもない。
だから私は知っている。
おじいちゃんが、儚桜に似た小さな花、天使の翼を使ったことに。
効果は似ているけれど、明確に違うことがある。
それは、天使の翼を使って種族変換薬を作ると、高確率で完全な人間になれないというもの。
私も、不完全な人間として生きている。
化粧で何とか模様を隠せているけれど、いずれバレるのも時間の問題。
私はまだ、半分だけ宇宙族なのだ。
辛いけれど、これが現実だ。
私も人間に戻りたい。
この忌々しい力は、いらない。
このままだと、お姉ちゃんを抱きしめられないから。
だから、人間に戻ろうと思った。
だから、ユキさんにレシピを言った。
私も着いていくことにした。
全部、私のため。
だから、こんなところで時間を浪費している場合じゃない。
天空の純水は、時間が経てば経つほど腐る。
ユキさんが持っている瓶は、保存の効果があるけれど。
持ってあと一ヶ月。
だから急がなきゃ。
急がなきゃ行けない。
とにかく、こんなところで止まってる場合じゃないの。
早くカードを手に入れて、さっさとこんな場所から出ましょう。
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