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私専用の鍛冶場が、本日完成した。
連絡を受けてすぐに向かうと、私よりも先にグレン様が待ってくれていた。
「おはようございます! グレン様」
「おはよう。今日はいつもより元気がいいな」
「そうですか? そうかもしれません」
ワクワクしている自分に気づいている。
自分だけの鍛冶場。
今までのように、どこかの設備を借りているだけの場所じゃない。
正真正銘、私のために作ってもらった鍛冶場が完成した。
こんなのテンションが上がるに決まっている。
いち早く確認したくて走ってきたから、少し呼吸が乱れていた。
「急がなくても鍛冶場は逃げないぞ? 深呼吸をして落ち着け」
「はい。すみません」
大きく深呼吸を三回。
落ち着いてから、グレン様が一歩下がり、案内するように半身になり手をかざす。
「中へ入れ。もうここは、お前の場所だ」
「――!」
一歩中に入って、風が吹き抜けるような衝撃を覚える。
鍛冶場に必要なものが全て揃うと、風景はどうしても似通ってしまう。
それでいい。
それがいい。
見慣れた景色、でも違う。
新しい自分の居場所に、心が引き込まれる。
「どうだ? 気に入ったか?」
「はい! すごくいいです! イメージにもピッタリ合っていると思います!」
「そうか。それはよかった」
グレン様も微笑んで、私と一緒に喜んでくれた。
鍛冶場にはすぐ仕事が始められるように、採取した素材や必要な道具も揃っている。
本当に今すぐ触れたくてうずうずしていた。
「気持ちはわかるが、まだ見るところがあるぞ」
「あ、はい。そうですね」
今は少し我慢しよう。
ほんの十数分、作ってもらったのは鍛冶場だけじゃない。
ここは私の鍛冶場で、新しいお店でもある。
生活スペースの玄関とは別に、お店専用の扉や空間を作ってもらった。
道側に面したそれは、周囲の風景にも配慮した色合いと雰囲気で、異世界の鍛冶屋さんという私の中のイメージに沿っている。
私はお客さんが入るであろう入り口から中へと入った。
「想像より広いですね」
「中にはまだ何もないがな。いずれここに、お前の作った作品が並ぶ」
そう思うと、心が躍る。
剣を飾るための棚や、透明なガラスのショーケースもある。
今は何もない。
目を閉じて、連想する。
自分が作り出した剣たちが、ここに並ぶ光景を。
より一層、剣が打ちたくて仕方がなくなってしまった。
「どうだ? 店の感じは」
「すごくいいです! お店の内装もいい雰囲気で、好きです」
「そうか。ここに客が並ぶ日も近いぞ」
「はい! グレン様」
私は改めて、彼のほうを向く。
怖い怖い魔王様、そんなことは思い過ごしで、本当はとても優しい王様に。
「ありがとうございます! 本当に……素敵な場所です!」
精一杯の感謝を伝えた。
すると、彼は笑う。
気の抜けたような、安堵した笑顔を見せた。
「開店まであと少しだな。店を開いたら、客として来てやろう」
「グレン様がですか!」
「ああ。ソフィアの鍛冶場……お客第一号は俺がもらう。その座は誰にも奪わせない」
「そ、そこまで気張らなくても……」
名誉でもなんでもないのに。
でも、グレン様がそう言ってくれることが誇らしくて、私は心に決めた。
「その時には、グレン様に恩返しができるように準備しておきます」
「――! 期待していよう」
開店まで残り数日。
やりたいことがまた一つ増えた瞬間だった。
連絡を受けてすぐに向かうと、私よりも先にグレン様が待ってくれていた。
「おはようございます! グレン様」
「おはよう。今日はいつもより元気がいいな」
「そうですか? そうかもしれません」
ワクワクしている自分に気づいている。
自分だけの鍛冶場。
今までのように、どこかの設備を借りているだけの場所じゃない。
正真正銘、私のために作ってもらった鍛冶場が完成した。
こんなのテンションが上がるに決まっている。
いち早く確認したくて走ってきたから、少し呼吸が乱れていた。
「急がなくても鍛冶場は逃げないぞ? 深呼吸をして落ち着け」
「はい。すみません」
大きく深呼吸を三回。
落ち着いてから、グレン様が一歩下がり、案内するように半身になり手をかざす。
「中へ入れ。もうここは、お前の場所だ」
「――!」
一歩中に入って、風が吹き抜けるような衝撃を覚える。
鍛冶場に必要なものが全て揃うと、風景はどうしても似通ってしまう。
それでいい。
それがいい。
見慣れた景色、でも違う。
新しい自分の居場所に、心が引き込まれる。
「どうだ? 気に入ったか?」
「はい! すごくいいです! イメージにもピッタリ合っていると思います!」
「そうか。それはよかった」
グレン様も微笑んで、私と一緒に喜んでくれた。
鍛冶場にはすぐ仕事が始められるように、採取した素材や必要な道具も揃っている。
本当に今すぐ触れたくてうずうずしていた。
「気持ちはわかるが、まだ見るところがあるぞ」
「あ、はい。そうですね」
今は少し我慢しよう。
ほんの十数分、作ってもらったのは鍛冶場だけじゃない。
ここは私の鍛冶場で、新しいお店でもある。
生活スペースの玄関とは別に、お店専用の扉や空間を作ってもらった。
道側に面したそれは、周囲の風景にも配慮した色合いと雰囲気で、異世界の鍛冶屋さんという私の中のイメージに沿っている。
私はお客さんが入るであろう入り口から中へと入った。
「想像より広いですね」
「中にはまだ何もないがな。いずれここに、お前の作った作品が並ぶ」
そう思うと、心が躍る。
剣を飾るための棚や、透明なガラスのショーケースもある。
今は何もない。
目を閉じて、連想する。
自分が作り出した剣たちが、ここに並ぶ光景を。
より一層、剣が打ちたくて仕方がなくなってしまった。
「どうだ? 店の感じは」
「すごくいいです! お店の内装もいい雰囲気で、好きです」
「そうか。ここに客が並ぶ日も近いぞ」
「はい! グレン様」
私は改めて、彼のほうを向く。
怖い怖い魔王様、そんなことは思い過ごしで、本当はとても優しい王様に。
「ありがとうございます! 本当に……素敵な場所です!」
精一杯の感謝を伝えた。
すると、彼は笑う。
気の抜けたような、安堵した笑顔を見せた。
「開店まであと少しだな。店を開いたら、客として来てやろう」
「グレン様がですか!」
「ああ。ソフィアの鍛冶場……お客第一号は俺がもらう。その座は誰にも奪わせない」
「そ、そこまで気張らなくても……」
名誉でもなんでもないのに。
でも、グレン様がそう言ってくれることが誇らしくて、私は心に決めた。
「その時には、グレン様に恩返しができるように準備しておきます」
「――! 期待していよう」
開店まで残り数日。
やりたいことがまた一つ増えた瞬間だった。
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