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「殿下、私は何をすればいいのでしょうか?」
「ああ、君にやってほしいのは、病に苦しむ人々の治療だ。場所はこちらで用意する。大聖堂ほど大きくもないし、綺麗でもないが」
「場所や環境は関係ありません。それだけでいいのですか?」
「それが一番大事なんだ。特に今の時期はね」
殿下は続けて説明する。
スローレン王国やスパーク王国には四季がある。
現在は秋だ。
私が知る前世の四季よりも環境の変化が激しく、秋から冬にかけて一気に気温が下がり、乾燥していく。
この変化に身体が驚き、体調を崩す人が多い。
実際、スパーク王国でも寒くなり始めるこの時期は、風邪や体調不良の方が大聖堂に多く足を運んでいた。
「スローレンでも、この時期は風邪が増えるのですね」
「ああ……風邪だけならよかったんだが、うちはただの風邪じゃないんだ」
「ただの風邪じゃ……ない?」
私は首を傾げる。
殿下は小さく頷き、続けて説明する。
「通常の風邪よりも高熱が出る別の病気が流行るんだ。感染力も高く、安静にしていれば治るというわけでもない。若者なら体力もあって耐えられるが、老人や子供は高熱で動けなくなってしまうほどだよ」
「それは……」
この時期に流行る病気で、風邪よりも厄介な病……。
心当たりがある。
私の前世でも秋から冬にかけて流行する病気があった。
毎年ワクチンを受けることを勧められ、それでも多くの人々が感染し、毎年死者が出る。
この世界でも、似たような病があるのかもしれない。
私は医者や薬師じゃないから、彼らほど病気に関する知識はない。
調べる技量も、必要もなかった。
「わかりました。病であるなら、私の祈りで回復させることができます」
「本当か!」
「はい」
どんな病でも、原因が不明でも、聖女の祈りなら治癒できる。
この力は治癒能力ではない。
奇跡を起こす力だ。
「いつから始めればいいでしょうか? 私なら今すぐにでも」
「いや、さすがにそこまで急がなくていい。国民にも一度説明しないといけないから、驚かせないように段取りは踏みたい」
「そう……ですか」
「ありがとう。本気で心配してくれるんだね」
「聖女ですから」
困っている人がいると知って、無視することはできない。
私の心は、どうしようもなく聖女の力に染まっている。
前世の私はこんなにも正義感が溢れ、前向きな性格じゃなかったのに。
過去の自分と今の自分を比べると、まるで他人みたいだ。
「スパーク王国からは長旅だったのだろう? 今日はゆっくり休んでくれ。大したもてなしはできなくて申し訳ないが、王城の一室を自由に使ってくれて構わない」
「ありがとうございます。それだけで十分です」
住むところを探そうと思っていたから、その問題が解決したのはラッキーだった。
まさか今度は、王城で暮らすことになるとは思わなかったけど。
「人生……何が起こるかわかりませんね」
「聖女イリアス?」
「イリアスで構いません」
「そうか。なら俺のことはアクトと――」
トントントン。
部屋の扉をノックする音に、殿下の声は遮られた。
私たちは扉のほうを向く。
「ああ、君にやってほしいのは、病に苦しむ人々の治療だ。場所はこちらで用意する。大聖堂ほど大きくもないし、綺麗でもないが」
「場所や環境は関係ありません。それだけでいいのですか?」
「それが一番大事なんだ。特に今の時期はね」
殿下は続けて説明する。
スローレン王国やスパーク王国には四季がある。
現在は秋だ。
私が知る前世の四季よりも環境の変化が激しく、秋から冬にかけて一気に気温が下がり、乾燥していく。
この変化に身体が驚き、体調を崩す人が多い。
実際、スパーク王国でも寒くなり始めるこの時期は、風邪や体調不良の方が大聖堂に多く足を運んでいた。
「スローレンでも、この時期は風邪が増えるのですね」
「ああ……風邪だけならよかったんだが、うちはただの風邪じゃないんだ」
「ただの風邪じゃ……ない?」
私は首を傾げる。
殿下は小さく頷き、続けて説明する。
「通常の風邪よりも高熱が出る別の病気が流行るんだ。感染力も高く、安静にしていれば治るというわけでもない。若者なら体力もあって耐えられるが、老人や子供は高熱で動けなくなってしまうほどだよ」
「それは……」
この時期に流行る病気で、風邪よりも厄介な病……。
心当たりがある。
私の前世でも秋から冬にかけて流行する病気があった。
毎年ワクチンを受けることを勧められ、それでも多くの人々が感染し、毎年死者が出る。
この世界でも、似たような病があるのかもしれない。
私は医者や薬師じゃないから、彼らほど病気に関する知識はない。
調べる技量も、必要もなかった。
「わかりました。病であるなら、私の祈りで回復させることができます」
「本当か!」
「はい」
どんな病でも、原因が不明でも、聖女の祈りなら治癒できる。
この力は治癒能力ではない。
奇跡を起こす力だ。
「いつから始めればいいでしょうか? 私なら今すぐにでも」
「いや、さすがにそこまで急がなくていい。国民にも一度説明しないといけないから、驚かせないように段取りは踏みたい」
「そう……ですか」
「ありがとう。本気で心配してくれるんだね」
「聖女ですから」
困っている人がいると知って、無視することはできない。
私の心は、どうしようもなく聖女の力に染まっている。
前世の私はこんなにも正義感が溢れ、前向きな性格じゃなかったのに。
過去の自分と今の自分を比べると、まるで他人みたいだ。
「スパーク王国からは長旅だったのだろう? 今日はゆっくり休んでくれ。大したもてなしはできなくて申し訳ないが、王城の一室を自由に使ってくれて構わない」
「ありがとうございます。それだけで十分です」
住むところを探そうと思っていたから、その問題が解決したのはラッキーだった。
まさか今度は、王城で暮らすことになるとは思わなかったけど。
「人生……何が起こるかわかりませんね」
「聖女イリアス?」
「イリアスで構いません」
「そうか。なら俺のことはアクトと――」
トントントン。
部屋の扉をノックする音に、殿下の声は遮られた。
私たちは扉のほうを向く。
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