『落ちこぼれ』聖女は語りたい ~聖女の癖に動物と話せるだけの君には失望したと婚約破棄されました。後から妹に騙されていると気づいても遅いです~

日之影ソラ

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 気付かれてしまったなら答えるしかない。

「そう……です」

 ああ、また哀れな目で見られる。
 馬鹿にされるかな。
 そう思った私に、彼は思わず声をかけてくる。

「そっか君がそうなんだ! 会えてうれしいよ! ずっと会って話してみたいって思ってたんだ!」
「え? 嬉しい……私に?」
「うん! 生き物と話せるなんてすごいことだからさ! クロがなんて言ってるのかとか、他の動物のことも聞いてみたかったんだ!」
「え、えぇ?」

 彼は急にテンションが高くなる。
 興奮気味になって、目をキラキラ輝かせる。
 その視線が私に向いていて、意味がわからなかった。

「ねぇ良ければ何だけどさ! 今から話を聞かせてほしいんだ」
「は、はい……私でよければ」
「本当? ありがとう!」

 満面の笑みで感謝を口にする彼に、私は困惑を隠せない。
 こんな風に興味を持たれたのは生まれて初めてだった。
 困りはしたけど、悪い気分ではない。
 落ち込んでいたこともあって、少しだけ気力が戻っていく。
 それからは質問責めだった。
 声はどんなふうに聞こえるのかとか。
 会話は成立するのかとか。
 動物たちは何を考え、何を求めているのか。
 クロの話も通訳して、二人で初めての会話をしてもらったりもした。

「凄い凄い! クロと話せるなんて思いもしなかったよ! 全部リリアさんのお陰だね」
「お陰なんて、私は大したことは……」
「何言ってるのさ! 生き物と話すなんて普通出来ない! とっても凄いことだと思うよ?」
「……そう言ってくれるのは、リュウ君だけだと思いますよ」

 現に今まで、一度も褒められたことなんてない。
 期待外れ、失望。
 そんな言葉ばかりを向けられた。
 だから今日はとても新鮮な気分だった。
 リュウ君は何度も、本当に何度も凄いと褒めてくれたから。

「私の力は、聖女としては役に立たないので」
「そうかな? そんなことないと思うけど?」

 彼は首を傾げる。
 さらに続けて言う。

「だってさ! 魔物とも話せるんだったら、戦わずに仲良くする方法だって見つかるかもしれないよ? 人同士の争いだって、生き物たちの力を借りればなくせるかもしれない。動物は人間よりも数が多いんだし、味方になれば心強いと思うけど」
「そんなの……無理ですよ。私は話せるだけだから」
「そう? 一人じゃ無理かもしれないけど、僕も手伝ったら出来ないかな?」
「え?」

 思わぬ提案に、私は驚かされる。

「僕は剣が苦手で騎士としては半人前だけど、テイマーの力がある。君と二人なら、世界中の魔物や動物たちとだって仲良くなれると思うんだ!」
「そ、そんなの……」
「無理かどうかはやってみないとわからない! 少なくとも僕は出来ると思う」
「……どうして?」

 どうして、そんな風に言えるの?
 自信満々に、疑わずに。
 彼は答える。

「リリアのお陰でクロと話せた! 君が凄い聖女なんだって、僕は知ったからだよ」
「――!」

 これが彼との出会い。
 私のこと認めてくれた……初めての理解者。
 同じ半人前通し、通じるものがあったのかもしれない。
 そんな理由はどうだってよかった。
 私はただ、この先もずっと……
 
 彼との出会いに感謝するだろう。
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