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1巻
1-3
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「久しぶりだなぁ」
本宅を前にして、俺は思わずそう呟いた。
ここは生まれてから五年間、お父様たちと一緒に過ごした場所だ。
懐かしさは……多少感じる。けれど別宅のほうに長くいたせいで、帰ってきたという感覚はない。
むしろ他人の家にお邪魔するような感覚で、俺は本宅へ入った。
そしてしばらく歩き、お父様の部屋に辿り着く。
俺は特に緊張することなく、ノックを三回してから口を開く。
「お父様、アスクです」
「――入れ」
十年ぶりの、お父様の声だ。
俺は扉を開けて中に入る。
来客用の仰々しいテーブルと椅子がセットで置かれていて、その奥に書類が積まれた執務机がある。
そこに、お父様は座っていた。
十年というのはやっぱり長い。
俺の記憶にあるお父様の姿よりも、ずいぶんと老けている。
髪も少し短くなっているし、顔のしわがずいぶんと増えた。
あの頃よりも元気がない……というより、覇気が薄れた。
「久しぶりだな、アスク」
「はい。お久しぶりです、お父様」
ありきたりな挨拶だけを交わし、俺らは固まる。
お互いにしゃべらず、じっと見つめ合う。
俺は話すことなんてないから、お父様の話を待つしかない。
呼び出したのはそっちだろ? 話す気がないなら、帰りたいんだけど。
やがて、お父様は口を開く。
「……少し変わったか」
「そうですね? 十年経ちましたから、背も伸びましたし、声変わりもしました」
「そういうことでは……いや、変わっていないな。その張り付いた笑顔は、あの頃のままだ」
「……」
俺はお父様の前で笑っていた。当時のようにニコニコと、作り物の笑顔を見せていた。
もちろん、この笑みはわざと。本来の意味での作り笑いだ。
「アスク、お前は成人した。もう立派な大人だ」
「はい」
「……もう、一人でも生きていけるだろう?」
「……」
お父様の表情が一気に冷たくなった。予想した通り、そういう話をするために呼び出したらしい。
わかっていたことだけど、いざ聞くと心に来る。
「言うまでもなく、お前はマスタローグ家にとって大きな汚点だ。このまま家名を名乗られては、先代たちに申し訳が立たない」
お父様は淡々と語る。何が先代たちだ。自分が認めたくないだけだろう。
自分の子供から、魔法使いになれない出来損ないを生み出してしまったという事実から、目を背けたいだけだ。
「よってアスク、お前をマスタローグ家から追放する」
「……ふっ」
思わず笑ってしまう。ここまではっきり言われると、怒りを通り越して呆れてしまうから不思議だ。真剣な表情で何も知らずに息子を追い出す父親……滑稽じゃないか。
「なぜ笑っていられる? やはりお前は壊れている。魔法使いとしてだけではない……人として必要なものが欠落している」
それは正解だ。ただし、十年前までの俺のままだったら、な。今は違う。
欠けていた感情は、王様たちのお陰で手に入れることができた。彼らとの契約によって感情を取り戻せたから、今の俺は本心で笑うことも、怒ることもできる。
今の笑みも、本心から現れたものだ。お父様には一生、理解できないだろうけど。
追放か。ちょうどいいかもしれないな。
「――待ってください、お父様」
「なんだ?」
「俺、じゃなくて僕にチャンスをいただけませんか?」
「チャンスだと?」
厳しい表情を浮かべるお父様に、俺は懇願する。
本心を偽り、作った笑顔で。
「明後日、王都の魔法学園の入学試験があります。もし合格することができたら、今の話を考え直していただけませんか?」
王立魔法学園。王都には世界最大の魔法使い養成所が存在する。
魔法使いを志す者なら誰もが憧れる学び舎だ。
学園に入学し、四年間を過ごし、卒業認定を受けることで、晴れて一人前の魔法使いとして認められ、更には国家魔法使いになるための試験を受けることが許される。
魔法使いの名門マスタローグ家は、代々この学園に入学し、国家魔法使いの資格を取得してきた。
去年、兄さんが一足早く入学している学園も、漏れなくここだ。
「お前が学園に? それは不可能だ。あそこは魔法を学ぶ場だぞ。魔力を持たないお前に何ができる?」
「わかっています。だからこそ、挑戦したいんです!」
「時間の無駄だと……いや、いいだろう。一度だけチャンスを与えよう」
「本当ですか?」
俺は過剰に笑ってみせる。
お父様は呆れ顔で、ため息混じりに呟く。
「どうせ結果は変わらないだろうがな。それでお前が納得するのなら、いいだろう」
「はい! ありがとうございます。頑張ります!」
「……そうか」
俺は深々と頭を下げた。
それからすぐさま部屋をあとにして、本宅から別宅へと歩いて戻る。
その道中、サラマンダー先生が語り掛けてきた。
「ついに見せつける気になったか? アスク」
「はい。でも少し違いますよ」
「む?」
「俺は別に、あの人にも周りにも、認めてほしいなんて思っていませんから」
今更そんな感情は抱かない。
俺には王様たちが一緒にいてくれる。彼らに認められていれば、他に何もいらない。
「これからするのは、十年分の意趣返しです」
子供として、親に成長を見せつけてやる。そしてわからせてやろう。
お父様は、本当に何も見えていなかったのだと。
◇◇◇
マスタローグ家の領地から馬車で一日。
俺は一人、魔法学園の試験を受けるために、王都へとやってきた。
「王都も久しぶりだなー」
「わぁー! すっごい人ダネ!」
シルが俺の周りを飛びながらはしゃいでいる。
「ここは人が多くていいネ!」
「賑やかなのが好きですね、シルは」
「うん! だって楽しいからネ!」
精霊王様の中でも一番明るい性格のシル。
彼女は自分のことを愛称で呼ばせたがるなど、一番距離感近く接してくる。
彼女は人間を含め、生き物が大好きらしい。
だから俺も、友達みたいな感覚で話すようになった。
精霊界から人間界の情報を見たり聞いたりはできない。
こうして実際に賑わう街を見るだけでも、彼女にとって幸せなのだろう。
「ごめん、シル。本当は観光したいところだけど、試験まで時間がないんですよ」
「ううん、大丈夫ダヨ。こうして見られただけで十分! さぁ試験会場までレッツゴー!」
「おおー!」
なんてやりとりも、傍から見れば一人で盛り上がっているように見えるわけで。
周りの視線を感じて、逃げるように速足で移動する。
この恥ずかしいという感情は、何度経験しても慣れないな。
会場は学園の敷地内。学園は王都で二番目に大きな建物らしい。
それから五分ほどかけて周囲の人に聞きつつ、学園に辿り着いた。
会場の入り口で、受付を済ませる。
噂通り、入学希望者がたくさん集まっている。
試験は大きく三段階に分けられる。
一つ目は筆記試験。魔法使いやこの国の歴史に関する基礎知識を問われる。七割以上正解していれば合格だ。
二つ目は身体検査。これも試験の項目に含まれる。
身長体重などの肉体の情報だけではなく、魔法使いとして重要な魔力についても検査される。
魔力の総量、性質、魔法への適性などを特別な魔導具を使うことで、調べられるんだとか。
そして三つ目が実技試験だ。これは毎年審査方法が変わるから、前情報はなし、と。
受付を済ませた俺は、筆記試験の会場へ。
その道中、周囲の人の格好を見たが、貴族が多かった。
試験は、地位によって優劣がつくわけではない。
ただし、貴族は生まれながらに優れた魔力を秘めている者が多く、その時点で一般人との差が生まれてしまう。よって必然的に、合格者のほとんどが貴族だったりする。
俺も一応貴族だし、それなりの格好をしているから溶け込んでいるけど……。
「素性がバレたら、笑われるな」
そう呟いて、席に着く。
それから一時間後、俺は難なく筆記試験を終えた。
知識には自信があったから、ここで後れを取ることはあるまい。
問題は次だ。精霊王様達のお陰で魔法こそ使えるが、俺自身が魔力を宿しているわけじゃないから、恐らく魔力反応が出ないんじゃないかと踏んでいるのだ。
身体検査も、筆記試験を受けた教室で行われる。
審査員が魔導具を準備し、その前に順番に並んで検査を受けるような形だ。
「次、アスク・マスタローグ」
「はい!」
大きく名前を呼ばれて返事する。直後、会場がざわついた。
「マスタローグだって?」
「確か同世代にマスタローグ家の出来損ないがいるって噂になっていたような……」
貴族の多くは俺のことを知っている。
顔は知らずとも、名門に生まれた出来損ないの名は、貴族の間では有名だった。
俺は周囲の声を意に介さず、魔導具の水晶に手をかざす。
「測定されませんね」
「はい。俺には魔力がないそうなので」
俺はニコリと微笑んで、審査員に教える。
審査員も薄々感じていたのだろう。納得したような表情を浮かべて、次の受験者の名前を呼んだ。
周囲が更にざわつく。クスクスと嘲笑う声も聞こえる。
わかっていたことだ。今はこれでいい。
今のうちに、せいぜい馬鹿にしていればいいさ。
「次の試験が楽しみだよ」
俺はそう呟くのだった。
実技試験の形式は、個人戦だった。
受験者を二十のグループに分け、グループ内の全員を同じ模擬試験場へ配置する。
森林や川や岩山など、自然を模した模擬試験場は、普段は訓練場として使用されているらしい。
受験者には小さな結界魔導具が配布される。
魔導具には規定量の魔力が予め注がれていて、使用者を攻撃から守る結界を張る。しかし攻撃を受けすぎれば魔力を消費し、魔導具が使用できなくなってしまう。
「要するに、他の受験者の結界を破壊して最後まで残ればいいのか」
渡された魔導具はペンダントタイプ。魔力のない俺でも、予め魔力が注がれているこれなら使えるはずだ。
そして、合格ラインは各グループの上位三割が残るまで生き残ることと、厳しめだ。
「さて……」
俺は第一グループに割り振られた。
既にグループ参加者は模擬試験場の各地に散っている。
鐘の音が鳴ると試験開始だったはず。
音が聞こえるまでは戦闘行為が禁止されているけど、移動は自由らしい。暇なので適当に歩くことにした。
「広いなぁ」
ここで多くの魔法使いが学び、競い合ってきたのか。
確かに設備はしっかりしている。あとは優秀な指導者がいれば、それなりの魔法使いを育てられそうだな。
「おっ! 運がいいな」
「――!」
適当に歩いていたらバッタリ、他の受験者と出くわしてしまった。
早速戦闘開始といきたいところだけど、まだ鐘の音は聞こえていない。ルール違反は即失格だ。お互いにわかっているから、これ以上は近付かない。
ただ……。
「どうして一緒にいるんだ?」
姿を見せたのは一人ではなく、四人。全員が男で、服装からして貴族っぽい。
彼らは合格枠を争う敵同士だと言うのに、仲良く一緒に歩いていた。
「別にルール違反はしてないぞ?」
「確かに」
ルールでは共闘は禁じられていない。
合格条件は生き残り。複数人を合格にできるから、仲間と協力するのは合理的だ。
「予め仲間を集めていたのか? 賢いね」
「そういうお前は馬鹿みたいだな。魔力のない、マスタローグ家の落ちこぼれ君」
「……まぁ知ってるか」
初対面だというのに馴れ馴れしいとは思うが、仕方ない。
彼らは俺を見下しているのだから。
そう内心でため息を吐いていると、貴族四人はそれぞれ俺をせせら笑ってくる。
「噂には聞いてたけど馬鹿なんだな! 魔法も使えないくせに試験を受けに来るなんて!」
「合格するわけないのにね」
「それとも頑張ればどうにかなるって思ったのですか?」
「……哀れだ」
俺は呆れつつも言う。
「仲良さそうだね、そっちは」
初対面、という感じには見えない。
おそらく予め共闘する計画を立てた上で、試験場に入ってからすぐに合流したのだろう。
試験場は広いが、魔法を使えばこれまでの時間でぐるっと回れるくらいでしかないし。
貴族のうち一人が、俺を指差してくる。
「けど感謝してやるよ! お前が馬鹿なお陰で、俺たちは合格に一歩近付く。早速ボーナスを貰えたようなもんだな!」
「ボーナス……ねぇ」
果たしてそれは、どちらかな?
直後、試験開始の鐘の音が響く。
貴族の男たちは、一斉に構える。
「そら、早い者勝ちだ!」
そんな言葉とともに全員が魔法陣を展開し、俺を目掛けて魔法を撃ってくる。
炎の弾丸、雷撃、風の刃、水の槍――異なる属性であらゆる方向から放たれた魔法攻撃が、俺に直撃する。
炎が風によって渦巻き、水と雷撃が地面をえぐる。
炎の渦は、しばらくしても消えない。
それを見て、貴族のうち一人が言う。
「おいおい、やりすぎだろ! 誰だあれ? さっさと魔法を解除してやれよ」
それに対して、別の者が戸惑った声を上げる。
「え? お前じゃないの?」
「は? 違うけど? お前らじゃないのか?」
四人全員が、首を横に振る。
ならば誰だ? あの炎の渦を作り出しているのは?
彼らはきっと、そう思っていることだろう。
俺は小さくため息をこぼす。
「はぁ……この程度か」
炎の渦は拡散し、一瞬にして消え去る。
彼らは驚愕していた。魔導具の結界はあくまで試験用。
彼らが放った魔法の威力は、明らかに魔導具が防御できる範囲を超えていた。
直撃すれば結界は即座に破壊され、大ダメージを受けることは必至――の、はずだった。
しかし無傷で現れた俺を見て、貴族たちはそれぞれ呆然と呟く。
「ば、馬鹿な……どういうことだよ」
「無傷? しかもさっきの炎の渦はなんなんだ……?」
「ありえない……魔力がないやつが、どうやって俺たちの魔法を……」
俺はそんな貴族たちを見て、大きく息を吐く。
「……ふぅ、正直釣り合わないけど、どうせこれが最後だ。見せてあげるよ。俺の……俺たちの力を」
そうして彼らは目撃する。俺以外で初めて、精霊王たちの力を。
再三になるが、精霊とは大自然から生まれた魔力に意思が宿った存在である。
そして彼らが住まう精霊界は、人間界とは異なる領域に存在している。
人間界と精霊界は地続きではなく、重なり合っている状態――コインの裏表のような関係性だ。
だから、普通は互いに別の世界の事象を認識できない。
そんな中、精霊が人間界に干渉する唯一の方法が精霊契約、つまり人間と契約を結ぶことだ。
精霊は本来、生まれた場所から移動できない。彼らの肉体を構成するのは魔力だ。
生まれた場所から生まれる魔力を補給し続けていなければ、彼らは肉体を維持できない。
しかし精霊契約を以て自身に近い魔力を持つ人間を見つけ、依代にすることで、人間界に身を置くことができる、というわけだ。
故に精霊と契約を果たした人間は、自身の魔力を精霊に与えることで彼らの命を維持し、その対価として精霊は、大自然を操る力を人間に与える。
だから、精霊使いは魔力がなければ精霊との契約を維持できないのだ。
もっともこれは、普通の精霊と契約する場合の話。
俺は違う。
「どうなってるんだ! なんでこいつが炎を操ってるんだ!」
俺は自身の両手に激しく燃え上がる、巨大な炎の剣を生成した。
猛々しく燃える炎は、俺の意のままに形を変えるのだ。
俺は炎の剣を、貴族の一人に振り下ろす。
相手も防御を試みたが、そんなもので防げるわけもなく、破壊される。
試験用の結界が、砕け散った。
「まず一人。ちょうど四人いるから、全ての属性を試せるな。次は――」
周囲の地形を操り、地割れを起こした。
貴族の男は、バランスを崩し、慌てた声を上げる。
「じ、地面が割れ――」
そこへ、地面から石の柱を伸ばす。
石の柱は男の腹へクリーンヒットし、そのまま空中へと突き上げる。
その際に、結界が割れる音がした。
貴族の男の体は綺麗な放物線を描いた後に、地面に落下した。
ぴくりとも動かないのを見るに、気絶しているようだな。
そんな一連の流れを見て、残った貴族のうち一人が声を上げる。
「魔法陣なし? ってことはまさか、精霊術? でもなんで! 魔力のないやつが精霊と契約なんて、できるわけないのに!」
「普通は無理だよ。けど、例外も存在する」
そう、例外。俺と契約してくれた四体の精霊王たちだけは、この法則には当てはまらない。
彼らは他の精霊たちの原点であり頂点――世界に存在する元素そのものの化身なのだ。
他の精霊とは違い、この世界のあらゆる自然から魔力を補うことができる。
だが、彼らの持つ強大な力は、普通の人間が扱うにはあまりに大きすぎる。
彼らが求めるのは優れた魔法使いの才能ではなく、大きな力にも耐えうる強靭な肉体だったのだ。
そういった意味で俺は最適な器だったと言える。
魔力が少ないのではなく、全く持たない人間は、世界広しといえども俺だけだろうから。
魔力とは命のエネルギーだ。そして魔力と感情には確かな繋がりがある。
王様たちのお陰で知ったことだけど、俺たち人間が持つ感情は、大自然にあふれる精霊の力によってもたらされた恩恵だった。
世界に溢れる、魔力の源たる元素。それが俺たち人間の身体に、微量ながら宿る。
それこそが感情の源――心と呼ばれるものなんだそう。
俺はそれすら欠如していた。
ただ、感情と魔力を失った代わりに、常人をはるかに超える身体能力を備えていた。
精霊王様たちは、常々俺にこう言う。
『まるで精霊王の器になるために生まれたような存在だ』と。
光栄だ。お陰で俺は、こうして強くなれたのだから。
俺は残った二人の貴族目掛けて、水と風の魔法を同時に発動する。
「こんどは水……ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ」
「た、竜巻いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
「お前たちが相手にしているのは大自然だ。人間がどれだけ鍛えても、自然には勝てないよ」
……そんな風に格好よく決め台詞を口にしたのはいいけど、誰も聞いていないから、空しいな。
「まぁいっか。それより、移動しよう。これで終わりじゃないわけだし」
まだまだたくさんいるはずだ。俺のことを馬鹿にして、見下していたいやつらが。
彼らにじっくり思い知ってもらおう。どちらが本当の無能なのか。
そして魔力ゼロの出来損ないに敗れて不合格になったのだと、周りから笑われてしまえばいいんだ!
「ククククッ」
思わず笑みがこぼれてしまった。
「それでよい。よいぞ、アスク」
「陰湿じゃのう」
「一気に感情を爆発させすぎたわね。性格が捻じ曲がっちゃったわ」
「ボクたちには優しくいい子なのにネ~」
精霊王様たちはそんな風に好き勝手言っているけど、まぁ気にするまい。
本宅を前にして、俺は思わずそう呟いた。
ここは生まれてから五年間、お父様たちと一緒に過ごした場所だ。
懐かしさは……多少感じる。けれど別宅のほうに長くいたせいで、帰ってきたという感覚はない。
むしろ他人の家にお邪魔するような感覚で、俺は本宅へ入った。
そしてしばらく歩き、お父様の部屋に辿り着く。
俺は特に緊張することなく、ノックを三回してから口を開く。
「お父様、アスクです」
「――入れ」
十年ぶりの、お父様の声だ。
俺は扉を開けて中に入る。
来客用の仰々しいテーブルと椅子がセットで置かれていて、その奥に書類が積まれた執務机がある。
そこに、お父様は座っていた。
十年というのはやっぱり長い。
俺の記憶にあるお父様の姿よりも、ずいぶんと老けている。
髪も少し短くなっているし、顔のしわがずいぶんと増えた。
あの頃よりも元気がない……というより、覇気が薄れた。
「久しぶりだな、アスク」
「はい。お久しぶりです、お父様」
ありきたりな挨拶だけを交わし、俺らは固まる。
お互いにしゃべらず、じっと見つめ合う。
俺は話すことなんてないから、お父様の話を待つしかない。
呼び出したのはそっちだろ? 話す気がないなら、帰りたいんだけど。
やがて、お父様は口を開く。
「……少し変わったか」
「そうですね? 十年経ちましたから、背も伸びましたし、声変わりもしました」
「そういうことでは……いや、変わっていないな。その張り付いた笑顔は、あの頃のままだ」
「……」
俺はお父様の前で笑っていた。当時のようにニコニコと、作り物の笑顔を見せていた。
もちろん、この笑みはわざと。本来の意味での作り笑いだ。
「アスク、お前は成人した。もう立派な大人だ」
「はい」
「……もう、一人でも生きていけるだろう?」
「……」
お父様の表情が一気に冷たくなった。予想した通り、そういう話をするために呼び出したらしい。
わかっていたことだけど、いざ聞くと心に来る。
「言うまでもなく、お前はマスタローグ家にとって大きな汚点だ。このまま家名を名乗られては、先代たちに申し訳が立たない」
お父様は淡々と語る。何が先代たちだ。自分が認めたくないだけだろう。
自分の子供から、魔法使いになれない出来損ないを生み出してしまったという事実から、目を背けたいだけだ。
「よってアスク、お前をマスタローグ家から追放する」
「……ふっ」
思わず笑ってしまう。ここまではっきり言われると、怒りを通り越して呆れてしまうから不思議だ。真剣な表情で何も知らずに息子を追い出す父親……滑稽じゃないか。
「なぜ笑っていられる? やはりお前は壊れている。魔法使いとしてだけではない……人として必要なものが欠落している」
それは正解だ。ただし、十年前までの俺のままだったら、な。今は違う。
欠けていた感情は、王様たちのお陰で手に入れることができた。彼らとの契約によって感情を取り戻せたから、今の俺は本心で笑うことも、怒ることもできる。
今の笑みも、本心から現れたものだ。お父様には一生、理解できないだろうけど。
追放か。ちょうどいいかもしれないな。
「――待ってください、お父様」
「なんだ?」
「俺、じゃなくて僕にチャンスをいただけませんか?」
「チャンスだと?」
厳しい表情を浮かべるお父様に、俺は懇願する。
本心を偽り、作った笑顔で。
「明後日、王都の魔法学園の入学試験があります。もし合格することができたら、今の話を考え直していただけませんか?」
王立魔法学園。王都には世界最大の魔法使い養成所が存在する。
魔法使いを志す者なら誰もが憧れる学び舎だ。
学園に入学し、四年間を過ごし、卒業認定を受けることで、晴れて一人前の魔法使いとして認められ、更には国家魔法使いになるための試験を受けることが許される。
魔法使いの名門マスタローグ家は、代々この学園に入学し、国家魔法使いの資格を取得してきた。
去年、兄さんが一足早く入学している学園も、漏れなくここだ。
「お前が学園に? それは不可能だ。あそこは魔法を学ぶ場だぞ。魔力を持たないお前に何ができる?」
「わかっています。だからこそ、挑戦したいんです!」
「時間の無駄だと……いや、いいだろう。一度だけチャンスを与えよう」
「本当ですか?」
俺は過剰に笑ってみせる。
お父様は呆れ顔で、ため息混じりに呟く。
「どうせ結果は変わらないだろうがな。それでお前が納得するのなら、いいだろう」
「はい! ありがとうございます。頑張ります!」
「……そうか」
俺は深々と頭を下げた。
それからすぐさま部屋をあとにして、本宅から別宅へと歩いて戻る。
その道中、サラマンダー先生が語り掛けてきた。
「ついに見せつける気になったか? アスク」
「はい。でも少し違いますよ」
「む?」
「俺は別に、あの人にも周りにも、認めてほしいなんて思っていませんから」
今更そんな感情は抱かない。
俺には王様たちが一緒にいてくれる。彼らに認められていれば、他に何もいらない。
「これからするのは、十年分の意趣返しです」
子供として、親に成長を見せつけてやる。そしてわからせてやろう。
お父様は、本当に何も見えていなかったのだと。
◇◇◇
マスタローグ家の領地から馬車で一日。
俺は一人、魔法学園の試験を受けるために、王都へとやってきた。
「王都も久しぶりだなー」
「わぁー! すっごい人ダネ!」
シルが俺の周りを飛びながらはしゃいでいる。
「ここは人が多くていいネ!」
「賑やかなのが好きですね、シルは」
「うん! だって楽しいからネ!」
精霊王様の中でも一番明るい性格のシル。
彼女は自分のことを愛称で呼ばせたがるなど、一番距離感近く接してくる。
彼女は人間を含め、生き物が大好きらしい。
だから俺も、友達みたいな感覚で話すようになった。
精霊界から人間界の情報を見たり聞いたりはできない。
こうして実際に賑わう街を見るだけでも、彼女にとって幸せなのだろう。
「ごめん、シル。本当は観光したいところだけど、試験まで時間がないんですよ」
「ううん、大丈夫ダヨ。こうして見られただけで十分! さぁ試験会場までレッツゴー!」
「おおー!」
なんてやりとりも、傍から見れば一人で盛り上がっているように見えるわけで。
周りの視線を感じて、逃げるように速足で移動する。
この恥ずかしいという感情は、何度経験しても慣れないな。
会場は学園の敷地内。学園は王都で二番目に大きな建物らしい。
それから五分ほどかけて周囲の人に聞きつつ、学園に辿り着いた。
会場の入り口で、受付を済ませる。
噂通り、入学希望者がたくさん集まっている。
試験は大きく三段階に分けられる。
一つ目は筆記試験。魔法使いやこの国の歴史に関する基礎知識を問われる。七割以上正解していれば合格だ。
二つ目は身体検査。これも試験の項目に含まれる。
身長体重などの肉体の情報だけではなく、魔法使いとして重要な魔力についても検査される。
魔力の総量、性質、魔法への適性などを特別な魔導具を使うことで、調べられるんだとか。
そして三つ目が実技試験だ。これは毎年審査方法が変わるから、前情報はなし、と。
受付を済ませた俺は、筆記試験の会場へ。
その道中、周囲の人の格好を見たが、貴族が多かった。
試験は、地位によって優劣がつくわけではない。
ただし、貴族は生まれながらに優れた魔力を秘めている者が多く、その時点で一般人との差が生まれてしまう。よって必然的に、合格者のほとんどが貴族だったりする。
俺も一応貴族だし、それなりの格好をしているから溶け込んでいるけど……。
「素性がバレたら、笑われるな」
そう呟いて、席に着く。
それから一時間後、俺は難なく筆記試験を終えた。
知識には自信があったから、ここで後れを取ることはあるまい。
問題は次だ。精霊王様達のお陰で魔法こそ使えるが、俺自身が魔力を宿しているわけじゃないから、恐らく魔力反応が出ないんじゃないかと踏んでいるのだ。
身体検査も、筆記試験を受けた教室で行われる。
審査員が魔導具を準備し、その前に順番に並んで検査を受けるような形だ。
「次、アスク・マスタローグ」
「はい!」
大きく名前を呼ばれて返事する。直後、会場がざわついた。
「マスタローグだって?」
「確か同世代にマスタローグ家の出来損ないがいるって噂になっていたような……」
貴族の多くは俺のことを知っている。
顔は知らずとも、名門に生まれた出来損ないの名は、貴族の間では有名だった。
俺は周囲の声を意に介さず、魔導具の水晶に手をかざす。
「測定されませんね」
「はい。俺には魔力がないそうなので」
俺はニコリと微笑んで、審査員に教える。
審査員も薄々感じていたのだろう。納得したような表情を浮かべて、次の受験者の名前を呼んだ。
周囲が更にざわつく。クスクスと嘲笑う声も聞こえる。
わかっていたことだ。今はこれでいい。
今のうちに、せいぜい馬鹿にしていればいいさ。
「次の試験が楽しみだよ」
俺はそう呟くのだった。
実技試験の形式は、個人戦だった。
受験者を二十のグループに分け、グループ内の全員を同じ模擬試験場へ配置する。
森林や川や岩山など、自然を模した模擬試験場は、普段は訓練場として使用されているらしい。
受験者には小さな結界魔導具が配布される。
魔導具には規定量の魔力が予め注がれていて、使用者を攻撃から守る結界を張る。しかし攻撃を受けすぎれば魔力を消費し、魔導具が使用できなくなってしまう。
「要するに、他の受験者の結界を破壊して最後まで残ればいいのか」
渡された魔導具はペンダントタイプ。魔力のない俺でも、予め魔力が注がれているこれなら使えるはずだ。
そして、合格ラインは各グループの上位三割が残るまで生き残ることと、厳しめだ。
「さて……」
俺は第一グループに割り振られた。
既にグループ参加者は模擬試験場の各地に散っている。
鐘の音が鳴ると試験開始だったはず。
音が聞こえるまでは戦闘行為が禁止されているけど、移動は自由らしい。暇なので適当に歩くことにした。
「広いなぁ」
ここで多くの魔法使いが学び、競い合ってきたのか。
確かに設備はしっかりしている。あとは優秀な指導者がいれば、それなりの魔法使いを育てられそうだな。
「おっ! 運がいいな」
「――!」
適当に歩いていたらバッタリ、他の受験者と出くわしてしまった。
早速戦闘開始といきたいところだけど、まだ鐘の音は聞こえていない。ルール違反は即失格だ。お互いにわかっているから、これ以上は近付かない。
ただ……。
「どうして一緒にいるんだ?」
姿を見せたのは一人ではなく、四人。全員が男で、服装からして貴族っぽい。
彼らは合格枠を争う敵同士だと言うのに、仲良く一緒に歩いていた。
「別にルール違反はしてないぞ?」
「確かに」
ルールでは共闘は禁じられていない。
合格条件は生き残り。複数人を合格にできるから、仲間と協力するのは合理的だ。
「予め仲間を集めていたのか? 賢いね」
「そういうお前は馬鹿みたいだな。魔力のない、マスタローグ家の落ちこぼれ君」
「……まぁ知ってるか」
初対面だというのに馴れ馴れしいとは思うが、仕方ない。
彼らは俺を見下しているのだから。
そう内心でため息を吐いていると、貴族四人はそれぞれ俺をせせら笑ってくる。
「噂には聞いてたけど馬鹿なんだな! 魔法も使えないくせに試験を受けに来るなんて!」
「合格するわけないのにね」
「それとも頑張ればどうにかなるって思ったのですか?」
「……哀れだ」
俺は呆れつつも言う。
「仲良さそうだね、そっちは」
初対面、という感じには見えない。
おそらく予め共闘する計画を立てた上で、試験場に入ってからすぐに合流したのだろう。
試験場は広いが、魔法を使えばこれまでの時間でぐるっと回れるくらいでしかないし。
貴族のうち一人が、俺を指差してくる。
「けど感謝してやるよ! お前が馬鹿なお陰で、俺たちは合格に一歩近付く。早速ボーナスを貰えたようなもんだな!」
「ボーナス……ねぇ」
果たしてそれは、どちらかな?
直後、試験開始の鐘の音が響く。
貴族の男たちは、一斉に構える。
「そら、早い者勝ちだ!」
そんな言葉とともに全員が魔法陣を展開し、俺を目掛けて魔法を撃ってくる。
炎の弾丸、雷撃、風の刃、水の槍――異なる属性であらゆる方向から放たれた魔法攻撃が、俺に直撃する。
炎が風によって渦巻き、水と雷撃が地面をえぐる。
炎の渦は、しばらくしても消えない。
それを見て、貴族のうち一人が言う。
「おいおい、やりすぎだろ! 誰だあれ? さっさと魔法を解除してやれよ」
それに対して、別の者が戸惑った声を上げる。
「え? お前じゃないの?」
「は? 違うけど? お前らじゃないのか?」
四人全員が、首を横に振る。
ならば誰だ? あの炎の渦を作り出しているのは?
彼らはきっと、そう思っていることだろう。
俺は小さくため息をこぼす。
「はぁ……この程度か」
炎の渦は拡散し、一瞬にして消え去る。
彼らは驚愕していた。魔導具の結界はあくまで試験用。
彼らが放った魔法の威力は、明らかに魔導具が防御できる範囲を超えていた。
直撃すれば結界は即座に破壊され、大ダメージを受けることは必至――の、はずだった。
しかし無傷で現れた俺を見て、貴族たちはそれぞれ呆然と呟く。
「ば、馬鹿な……どういうことだよ」
「無傷? しかもさっきの炎の渦はなんなんだ……?」
「ありえない……魔力がないやつが、どうやって俺たちの魔法を……」
俺はそんな貴族たちを見て、大きく息を吐く。
「……ふぅ、正直釣り合わないけど、どうせこれが最後だ。見せてあげるよ。俺の……俺たちの力を」
そうして彼らは目撃する。俺以外で初めて、精霊王たちの力を。
再三になるが、精霊とは大自然から生まれた魔力に意思が宿った存在である。
そして彼らが住まう精霊界は、人間界とは異なる領域に存在している。
人間界と精霊界は地続きではなく、重なり合っている状態――コインの裏表のような関係性だ。
だから、普通は互いに別の世界の事象を認識できない。
そんな中、精霊が人間界に干渉する唯一の方法が精霊契約、つまり人間と契約を結ぶことだ。
精霊は本来、生まれた場所から移動できない。彼らの肉体を構成するのは魔力だ。
生まれた場所から生まれる魔力を補給し続けていなければ、彼らは肉体を維持できない。
しかし精霊契約を以て自身に近い魔力を持つ人間を見つけ、依代にすることで、人間界に身を置くことができる、というわけだ。
故に精霊と契約を果たした人間は、自身の魔力を精霊に与えることで彼らの命を維持し、その対価として精霊は、大自然を操る力を人間に与える。
だから、精霊使いは魔力がなければ精霊との契約を維持できないのだ。
もっともこれは、普通の精霊と契約する場合の話。
俺は違う。
「どうなってるんだ! なんでこいつが炎を操ってるんだ!」
俺は自身の両手に激しく燃え上がる、巨大な炎の剣を生成した。
猛々しく燃える炎は、俺の意のままに形を変えるのだ。
俺は炎の剣を、貴族の一人に振り下ろす。
相手も防御を試みたが、そんなもので防げるわけもなく、破壊される。
試験用の結界が、砕け散った。
「まず一人。ちょうど四人いるから、全ての属性を試せるな。次は――」
周囲の地形を操り、地割れを起こした。
貴族の男は、バランスを崩し、慌てた声を上げる。
「じ、地面が割れ――」
そこへ、地面から石の柱を伸ばす。
石の柱は男の腹へクリーンヒットし、そのまま空中へと突き上げる。
その際に、結界が割れる音がした。
貴族の男の体は綺麗な放物線を描いた後に、地面に落下した。
ぴくりとも動かないのを見るに、気絶しているようだな。
そんな一連の流れを見て、残った貴族のうち一人が声を上げる。
「魔法陣なし? ってことはまさか、精霊術? でもなんで! 魔力のないやつが精霊と契約なんて、できるわけないのに!」
「普通は無理だよ。けど、例外も存在する」
そう、例外。俺と契約してくれた四体の精霊王たちだけは、この法則には当てはまらない。
彼らは他の精霊たちの原点であり頂点――世界に存在する元素そのものの化身なのだ。
他の精霊とは違い、この世界のあらゆる自然から魔力を補うことができる。
だが、彼らの持つ強大な力は、普通の人間が扱うにはあまりに大きすぎる。
彼らが求めるのは優れた魔法使いの才能ではなく、大きな力にも耐えうる強靭な肉体だったのだ。
そういった意味で俺は最適な器だったと言える。
魔力が少ないのではなく、全く持たない人間は、世界広しといえども俺だけだろうから。
魔力とは命のエネルギーだ。そして魔力と感情には確かな繋がりがある。
王様たちのお陰で知ったことだけど、俺たち人間が持つ感情は、大自然にあふれる精霊の力によってもたらされた恩恵だった。
世界に溢れる、魔力の源たる元素。それが俺たち人間の身体に、微量ながら宿る。
それこそが感情の源――心と呼ばれるものなんだそう。
俺はそれすら欠如していた。
ただ、感情と魔力を失った代わりに、常人をはるかに超える身体能力を備えていた。
精霊王様たちは、常々俺にこう言う。
『まるで精霊王の器になるために生まれたような存在だ』と。
光栄だ。お陰で俺は、こうして強くなれたのだから。
俺は残った二人の貴族目掛けて、水と風の魔法を同時に発動する。
「こんどは水……ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ」
「た、竜巻いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
「お前たちが相手にしているのは大自然だ。人間がどれだけ鍛えても、自然には勝てないよ」
……そんな風に格好よく決め台詞を口にしたのはいいけど、誰も聞いていないから、空しいな。
「まぁいっか。それより、移動しよう。これで終わりじゃないわけだし」
まだまだたくさんいるはずだ。俺のことを馬鹿にして、見下していたいやつらが。
彼らにじっくり思い知ってもらおう。どちらが本当の無能なのか。
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