抜きゲーみたいな世界に転生した童貞〔オレ〕は嫁を100人作ると決心した!※決心しただけなので出来るとは言っていない。でも出来なきゃ死ぬらしい

日之影ソラ

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第一章 転生したけど死にそう

弱点ってそういう意味?②

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「なぁ、この加護、『連刃』ってどういう効果なんだ?」
「他人の加護を詮索するのはマナー違反ですよ」
「え、そうなのか? 先に言ってくれよ……悪いなカナタ、今のは忘れてくれ」
「別にいいぞ! 教えても減るわけじゃないし、これから一緒に戦うかもしれないしな! 教えておいたほうがいいんじゃないか?」

 カナタは微塵も失礼だと思ってはいなさそうだ。
 ホッとして、カナタに同意する。

「俺はそう思った。俺の加護も教えるから、代わりに教えてほしい」
「もちろん! あたしの『連刃』は、攻撃を繋げるごとに威力が増していくんだ。今のレベルだと最大五回繋げると威力が上がるぞ!」
「へぇ、便利な効果だな」
「だろ? これのおかげで硬いモンスターでも斬れるんだ!」

 連刃という名前だけあって、対象は剣に限定されるらしい。
 そういう部分もカナタらしい加護だ。
 女神から授けられる加護は、その人の精神性や将来性、秘められた才能をベースに決定されるとい う。
 現地人が加護を受けるタイミングはバラバラで、生まれつきの人もいれば、カナタのように幼少期に突然授かる者もいるとか。
 彼女の剣士への思いが、この加護を与えたのだろう。

「タクロウの加護は何なんだ?」
「俺のは『弱点開示ウィークスポッター』っていう、相手の弱点が見える効果だよ」
「へぇ! 凄いなそれ! あ、だからあの時は背中が弱点だってわかったのか!」
「そういうこと」

 赤いサイクロプスとの戦闘をカナタは思い出しているのだろう。

「あれすごい助かったよ。弱点わかるって便利だな」
「俺一人じゃ、見えても対処できないけどな」

 俺自身が弱すぎて話にならない。
 便利な効果だけど、今のままじゃまったく活かせないからな。
 さっさとレベルを上げたいところだ。

「なぁなぁ! 試しにその加護であたしを見てくれよ!」
「カナタを?」
「おう! あたしの弱点がどこか知っときたいんだよ! 今後はそこを意識して守ればいいってことだしな!」
「ああ、確かにな」

 そういう使い方もできるのか。
 敵の弱点だけじゃなく、味方や自分の弱点を知ることで保護する。
 カナタに言われて初めて気づく。

「そういうことなら」
「よっしこい!」

 俺は加護を発動した。
 加護発動中は瞳が青色に光る。

「おお……綺麗な目だなぁ」

 カナタは俺の瞳をじっと見つめてくる。
 少し恥ずかしいが、悪い気分じゃない。
 さて、カナタの弱点はどこだ?
 レベルが低いから、まだ一二か所しか見え……ん?

 二か所光っていた。
 神々しく、ハッキリと。
 俺の目には……胸部当たりにぴかーと光る二点が映し出される。

 ぶふっ!

 思わず吹き出しそうになって、心の中だけに留めた。
 俺の加護は弱点を見抜く。
 確かに弱点なのだろう。
 でもそこ……どう見てもおっぱ……。

「なぁ、どうだった? あたしの弱点わかったか?」
「ぬ……」

 無邪気に近づいてくる。
 より鮮明に、光っている箇所がわかってしまう。
 胸の頂点に位置する場所が、輝かしく光っている。

「えっと……心臓が光ってる……かな」
「心臓か! まぁ弱点ではあるよな! あたし体力もないし!」
「は、はは……そうだな」

 俺はなんとか誤魔化して目を逸らした。
 さすがに言えないだろ。
 弱点ってそういう?
 人間に使うとこんな感じになるのか?

 俺は視線をサラスに向けてみる。

「なんですか? 私のことをじっと見つめて」
「……」

 こいつはどうだ?
 天使だけど、見た目の構造とかは人間と一緒だろ?
 これでカナタと一緒だったらどうしよう……。
 便利な加護からクソ加護に評価が変わるぞ。

「なんなんですか! あ、もしかして私の美しさに惚れてしまいましたか? ダメですよ~ 私はサポート役なので、タクロウの相手はしてあげられませんから」
「……」
「ちょっ、何ですか? ジリジリ詰め寄ってこないでください」

 俺は無言で詰め寄り、煌々と光る二か所に手を伸ばした。
 映し出された弱点は両脇。
 俺の手は彼女の脇に伸びて、そのまま試しにこちょこちょしてみる。

「ちょっ! あっはははははははははっは! や、やめっ! あひゃはははははっ――」

 五秒間くらい脇をこちょこちょしたら、サラスは過呼吸になって倒れ込んだ。
 顔も真っ赤だ。
 俺は彼女を見下ろし、自分の手にした力を実感する。

「なるほど、便利な力だな」
「何を再確認しているんですかぁ!」

 こういう使い方もできるのか。
 相手の弱点を見抜く。
 確かに、一言で弱点といっても種類はたくさんある。
 急所も弱点だし、苦手も弱点だ。
 まだレベルが低いから、どういう弱点なのかまではわからない。
 今後はなるべく人間にも活用して、どういう弱点なのか見分ける練習をしたほうがいいな。
 決してやましい理由ではないぞ!

「ん? そういえば、お前も加護を持っているのか?」
「はい? あるに決まっているじゃないですか」
 
 サラスは天使だ。
 俺やカナタのような純粋な人間とは違う。
 でもこいつ、普通に冒険者登録してカードを作っていたし、受付嬢も大して反応していなかった。
 彼女も加護を持っているということで間違いはないだろう。

「みせてくれよ」
「嫌ですよ絶対! タクロウみたいな変態魔王には見せません! プライバシーの侵害ですよ!」
「……そうか」

 じゃあ仕方ない。
 とても心苦しいが実力行使だ。

「あひゃひゃあひゃあひゃあああああああ!」
「よし、どれどれ……」
「タクロウって結構鬼畜だよな」
「こいつが失礼なだけだ」

 俺とカナタは奪い取ったサラスの冒険者カードを覗き込む。
 レベルは俺と同じ、ジョブは白魔導士。
 ステータスは体力と魔力が高い。
 魔法センスもそこそこ……知力は、俺たちの中でダントツで低い。
 白魔導士にだけ出現する回復力という項目があるが、これは高いのか低いのか判断できない。
 レベルは俺と同じでも、白魔導士は最初から『ヒール』の魔法スキルは使える。
 
「加護は……」
「『天使の施しホーリーエンジェル』?」

 加護の名前に天使って入っていることに、なぜか無性に腹が立つ。

「この加護の効果は?」
「お、教えるわけ――」

 まだ反抗するようなので、俺は右手をこちょこちょのポーズで構えてみせる。
 サラスはビクッと反応して怯える。

「わ、わかりましたよ! 教えます!」
「そうか」

 本当に便利な加護を手に入れた。
 女神様ありがとう。
 可能ならこのクソ天使をクーリングオフしたいが、それはダメですか?

「加護の効果は、回復系の魔法やスキルの効果の底上げです」
「回復力が上がるのか。ってことは、お前のヒールは他の奴より強力ってことか?」
「そういうことです! 安心して怪我をしてください! あ、でも欠損とか致命傷はアウトなので注意してくださいね!」
「それも治せるようになってから威張ってくれよ」

 加護の効果で底上げされても、所詮は最弱の回復魔法しか使えない。
 今はまだ、彼女の回復力を当てにしないほうがいいな。
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