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第一章 転生したけど死にそう
弱点ってそういう意味?④
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俺は転生時に目標を書かされ、その目標が未達成だとペナルティーを受けること。
その内容が結婚相手を見つけることであり、一か月以内に達成できなければ一年後の死亡が確定することを彼女に伝えた。
「転生ってそんなルールがあるのか。知らなかったな」
「ああ……俺も知らなかった」
このポンコツが説明を忘れていやがったせいでな!
「なんですかその目は! 私のせいだって言いたいんですか!」
「その通りだろうが」
「童貞が夢こじらせるのが悪――イヒヒヒヒヒひゃひゃひゃひゃあ!」
「言葉には気をつけろ? お前の弱点はすでに把握済みだ」
脇を攻撃されてサラスがテーブルに倒れ込む。
「ひ、卑怯ですよ……」
「なるほどな。それで結婚相手を探してたのか」
「そういうことだな」
「じゃ、あたしが結婚してやるよ」
「――ふぇ?」
思わぬ提案に、気の抜けた声が漏れる。
「ん? あたしじゃダメだったか?」
「い、いやいや! そうじゃなくて、結婚……してくれるのか?」
「おう。だってそうしないとタクロウが死んじゃうんだろ」
隣から、私も死にます、とサラスが言っているが無視した。
「そんなの嫌だし、タクロウのこと嫌いじゃないからな!」
「カナタ……」
なんて、なんていい奴なんだ。
「お、おい。また泣いてんのかよ」
「お前がいい奴すぎるのが悪いんだよ」
「え? あ、なんかごめん。あたしじゃ結婚できないか?」
「そうじゃない! ぜひお願いする!」
俺はカナタの手を握りしめる。
今この瞬間、彼女以上に相応しい相手は思い浮かばない。
これは童貞と罵られても仕方がないだろう。
俺はもう、カナタのことが好きになってしまったようだ。
「俺もカナタがいい」
「そっか。じゃあ結婚しよう」
こんなにあっさり決まってしまっていいのか?
ちょっぴり不安だが、カナタがいいと言ってくれている。
これ以上の幸福はない。
「えっと、どうすればいいんだっけ」
「お互いに誓の言葉を口にすればいいんですよ」
「誓いの言葉?」
「そうですよ」
サラスが説明してくれる。
この世界における結婚は形式的なものではなく、女神からの祝福を受けることだ。
ただ形を満たせばいいというわけじゃない。
誓いの言葉は決まっていた。
結婚する男女で向かい合い、手と手を触れ合わせて誓いを立てる。
冒険者ギルドの酒場でやることじゃないが、今は緊張のドキドキで周りのことなんて気にならない。
「えっと、ヒビヤタクロウは、健やかなるときも、病めるときも、これを愛し、これを敬い、共に歩んでいくことを誓います」
「あたしも誓います。で、いいんだよな?」
「たぶん?」
これで誓いは成立した。
あとは女神に聞き入れられ、結婚指輪が俺たちの手元に召喚される。
はずなのだが……。
「……おいポンコツ天使、出てこないぞ」
「やっぱり無理でしたね」
「やっぱり?」
「誓いを立てれば結婚できるわけじゃないですよ。ちゃんと愛し合っていて、その愛が女神様に伝わらないと認められないんです。要するに、二人の結婚には愛が感じられません」
「愛? え? どうすればいいんだ?」
サラスの説明が理解できなかったのか、カナタが聞き返した。
キョトンと首を傾げるカナタに、サラスは指を一本ピンと立てて説明する。
「つまりですね? どちらか片方、あるいは両方が、相手のことを異性として好きじゃないんですよ」
「――!」
そういう内面的な行為まで女神に伝わるのか?
俺はカナタのことが好きだ。
今さっき好きになった。
この気持ちに嘘はないし、ちゃんと好きだと思える。
なら、カナタのほうは?
「……カナタは、俺のことどう思う?」
「どうって言われてもなぁ」
「異性として好きですか? タクロウのこと」
「うーん……よくわかんないんだよな。そういう経験これまでなかったし」
カナタは困った顔をしながら続ける。
「好きか嫌いかで言ったら好きなんだぞ? でもこの好きじゃダメなんだよな」
「そう……なんだろうな」
「タクロウは? あたしのこと好き?」
「すっ、好き……ではあるかな? たぶん」
ハッキリと答えられない自分が情けない。
これだから童貞なんだよ俺は。
「どうしよっか? 今のままじゃ結婚できないみたいだぞ」
「うん……」
「そういうことならデートですね!」
「「デート?」」
サラスが自信満々に提案したのは、元の世界じゃ縁もゆかりもない恋人のイベントだった。
「二人とも、結婚する意志はあるわけですから、足りないのは気持ちです! だからデートして、お互いのことをよく知って、ちゃんと好きになればいいんですよ!」
「なるほどな!」
「サラスお前……急にまともなこと」
「私は常にまともですよ!」
プンプン喚くサラスを無視して考える。
彼女の言う通り、足りないのはお互いへの好意だ。
というかたぶん、カナタに俺を好きになってもらう必要がある。
そのためにデートをするのは理にかなっていた。
「じゃあデートするか! 明日でいいか?」
「そうだな。明日はクエストを休みにしよう」
「おう! 楽しみだなぁー。デートって何するんだろ!」
「……」
ただし、大きな問題がある。
デートって、何すればいいんだ?
その内容が結婚相手を見つけることであり、一か月以内に達成できなければ一年後の死亡が確定することを彼女に伝えた。
「転生ってそんなルールがあるのか。知らなかったな」
「ああ……俺も知らなかった」
このポンコツが説明を忘れていやがったせいでな!
「なんですかその目は! 私のせいだって言いたいんですか!」
「その通りだろうが」
「童貞が夢こじらせるのが悪――イヒヒヒヒヒひゃひゃひゃひゃあ!」
「言葉には気をつけろ? お前の弱点はすでに把握済みだ」
脇を攻撃されてサラスがテーブルに倒れ込む。
「ひ、卑怯ですよ……」
「なるほどな。それで結婚相手を探してたのか」
「そういうことだな」
「じゃ、あたしが結婚してやるよ」
「――ふぇ?」
思わぬ提案に、気の抜けた声が漏れる。
「ん? あたしじゃダメだったか?」
「い、いやいや! そうじゃなくて、結婚……してくれるのか?」
「おう。だってそうしないとタクロウが死んじゃうんだろ」
隣から、私も死にます、とサラスが言っているが無視した。
「そんなの嫌だし、タクロウのこと嫌いじゃないからな!」
「カナタ……」
なんて、なんていい奴なんだ。
「お、おい。また泣いてんのかよ」
「お前がいい奴すぎるのが悪いんだよ」
「え? あ、なんかごめん。あたしじゃ結婚できないか?」
「そうじゃない! ぜひお願いする!」
俺はカナタの手を握りしめる。
今この瞬間、彼女以上に相応しい相手は思い浮かばない。
これは童貞と罵られても仕方がないだろう。
俺はもう、カナタのことが好きになってしまったようだ。
「俺もカナタがいい」
「そっか。じゃあ結婚しよう」
こんなにあっさり決まってしまっていいのか?
ちょっぴり不安だが、カナタがいいと言ってくれている。
これ以上の幸福はない。
「えっと、どうすればいいんだっけ」
「お互いに誓の言葉を口にすればいいんですよ」
「誓いの言葉?」
「そうですよ」
サラスが説明してくれる。
この世界における結婚は形式的なものではなく、女神からの祝福を受けることだ。
ただ形を満たせばいいというわけじゃない。
誓いの言葉は決まっていた。
結婚する男女で向かい合い、手と手を触れ合わせて誓いを立てる。
冒険者ギルドの酒場でやることじゃないが、今は緊張のドキドキで周りのことなんて気にならない。
「えっと、ヒビヤタクロウは、健やかなるときも、病めるときも、これを愛し、これを敬い、共に歩んでいくことを誓います」
「あたしも誓います。で、いいんだよな?」
「たぶん?」
これで誓いは成立した。
あとは女神に聞き入れられ、結婚指輪が俺たちの手元に召喚される。
はずなのだが……。
「……おいポンコツ天使、出てこないぞ」
「やっぱり無理でしたね」
「やっぱり?」
「誓いを立てれば結婚できるわけじゃないですよ。ちゃんと愛し合っていて、その愛が女神様に伝わらないと認められないんです。要するに、二人の結婚には愛が感じられません」
「愛? え? どうすればいいんだ?」
サラスの説明が理解できなかったのか、カナタが聞き返した。
キョトンと首を傾げるカナタに、サラスは指を一本ピンと立てて説明する。
「つまりですね? どちらか片方、あるいは両方が、相手のことを異性として好きじゃないんですよ」
「――!」
そういう内面的な行為まで女神に伝わるのか?
俺はカナタのことが好きだ。
今さっき好きになった。
この気持ちに嘘はないし、ちゃんと好きだと思える。
なら、カナタのほうは?
「……カナタは、俺のことどう思う?」
「どうって言われてもなぁ」
「異性として好きですか? タクロウのこと」
「うーん……よくわかんないんだよな。そういう経験これまでなかったし」
カナタは困った顔をしながら続ける。
「好きか嫌いかで言ったら好きなんだぞ? でもこの好きじゃダメなんだよな」
「そう……なんだろうな」
「タクロウは? あたしのこと好き?」
「すっ、好き……ではあるかな? たぶん」
ハッキリと答えられない自分が情けない。
これだから童貞なんだよ俺は。
「どうしよっか? 今のままじゃ結婚できないみたいだぞ」
「うん……」
「そういうことならデートですね!」
「「デート?」」
サラスが自信満々に提案したのは、元の世界じゃ縁もゆかりもない恋人のイベントだった。
「二人とも、結婚する意志はあるわけですから、足りないのは気持ちです! だからデートして、お互いのことをよく知って、ちゃんと好きになればいいんですよ!」
「なるほどな!」
「サラスお前……急にまともなこと」
「私は常にまともですよ!」
プンプン喚くサラスを無視して考える。
彼女の言う通り、足りないのはお互いへの好意だ。
というかたぶん、カナタに俺を好きになってもらう必要がある。
そのためにデートをするのは理にかなっていた。
「じゃあデートするか! 明日でいいか?」
「そうだな。明日はクエストを休みにしよう」
「おう! 楽しみだなぁー。デートって何するんだろ!」
「……」
ただし、大きな問題がある。
デートって、何すればいいんだ?
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