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19 馬鹿にされるのは御免です
ルマの友人は三人やって来ており、談話室では座りきれないため、応接室に場所を移すことになった。
十人が一堂に会することのできる応接室の下座に当たる位置に一人掛けのソファを置き、そこにアンジェリカが座った。二つある三人掛けのソファの一つにルマの友人たちが、もう一つはルマとヒウロとワミーが座った。
ルマの友人たちは彼女と年の変わらない人たちで、四十代だが、美容にお金をかけているのか、皆、若々しく見える。好奇心を隠しきれないといった様子で、婦人たちはアンジェリカたちを見つめていた。
進行役はアンジェリカで、彼女は婦人たちに挨拶した後、微笑んで話しかける。
「貴重なお時間を割いていただき、お礼申し上げます。早速、本題に入らせていただきますが、私と夫の結婚式の話は、皆さまお聞きになられているのですよね?」
「ええ。聞いた話が本当のことか確認しにきたんです」
三人のうちの一人が代表して答えた。
「どんな話をお聞きになったのでしょうか。遠慮なさらずに聞いた話をそのまま話していただければと思います」
アンジェリカが促すと、夫人たちは顔を見合わせたあと、右から順番に一人ずつが話し始めた。最後まで話を聞き、三人が話した内容は誇張されたものではなく事実だったため、ヒウロもワミーも口を挟むことはなかった。
「ワミーの望み通り、結婚式では誓いの言葉もなかったですし、予定していたブーケトスもありませんでした。公にはしていませんが、あの時着ていたドレスも私が選んだものではなくワミーが選んだものです。しかも、当日になって変更されました」
思い出せば思い出すほど怒りの感情が湧いてくるため、アンジェリカは深呼吸して心を落ち着ける。少し冷静になってから話を続ける。
「私がもう耐えられないと思ったのは、ドレスやブーケが変更されたから、結婚式を台無しにされたからではありません。一般的に一生に一度しか行わない結婚式を妹が望んでいるからといって、花嫁に我慢を強いる夫のことを私は許せないのです」
気持ちはわかると言わんばかりに、夫人たちは何度もうなずいた。
「結婚式後も妹を優先し続け、初夜の晩でさえも妹のところにいました。彼が愛しているのは私ではなく妹だと思ってもおかしくはないですよね? 少なくとも私はそう思いましたし、これ以上、馬鹿にされるのは御免です。ですから、私は夫と離婚しようと思っています」
「不快な思いをしたからすぐ離婚なんておかしいでしょう? 僕は歩み寄る努力はするつもりです。それなのに離婚しようとするなんて、考えが浅はかだと思いませんか!?」
ヒウロは婦人たちに訴えた後、アンジェリカに目を向ける。
「僕と離婚してどうするつもりだ? さっき、君は兄と喧嘩していたんじゃないのか? 戻るところなんてないんだぞ? 路頭に迷うつもりなのか?」
「もう子供じゃないんだから、そんなことをあなたに言われなくてもわかっているわ。離婚した後にどうやって生きていくかを考え、目処が立ったから離婚を申し出ているの」
「離婚した女性をめとる貴族なんていない! すぐに後悔することになるぞ?」
「あなたの言い分だと、再婚できる貴族の女性はいないように聞こえるけれど、ルマ様は離婚して再婚しているわ。あなたのお父様が妻にしたからよね? そのことについてはどう説明するの」
「そ、それは……」
もごもごと口を動かすヒイロを一瞥し、アンジェリカは婦人たちに問いかける。
「離婚後の段取りもできていることを含め、今までの私たち夫婦の経緯を大体は御理解いただけましたでしょうか」
うなずく婦人たちを見て、アンジェリカは満足そうに微笑んで、質問を続ける。
「離婚すれば自分の未来がどうなるかわからない。そう思って、離婚を避ける方も多いでしょう。ですが、私の場合は違います。ここで、皆さまにお尋ねしたいことがございます。私の状況に置かれた際、皆さまは私のように離婚を望みますか? それとも、義妹に兄の愛人だと馬鹿にされても白い結婚を続けることを望みますか?」
アンジェリカが口を閉じると、部屋の中は静まり返った。暫しの間沈黙が続いたが、ルマがその静寂を破る。
「私がアンジェリカさんの立場なら別れます」
「母上!?」
ヒウロは信じられないといった様子でルマを見つめた。
十人が一堂に会することのできる応接室の下座に当たる位置に一人掛けのソファを置き、そこにアンジェリカが座った。二つある三人掛けのソファの一つにルマの友人たちが、もう一つはルマとヒウロとワミーが座った。
ルマの友人たちは彼女と年の変わらない人たちで、四十代だが、美容にお金をかけているのか、皆、若々しく見える。好奇心を隠しきれないといった様子で、婦人たちはアンジェリカたちを見つめていた。
進行役はアンジェリカで、彼女は婦人たちに挨拶した後、微笑んで話しかける。
「貴重なお時間を割いていただき、お礼申し上げます。早速、本題に入らせていただきますが、私と夫の結婚式の話は、皆さまお聞きになられているのですよね?」
「ええ。聞いた話が本当のことか確認しにきたんです」
三人のうちの一人が代表して答えた。
「どんな話をお聞きになったのでしょうか。遠慮なさらずに聞いた話をそのまま話していただければと思います」
アンジェリカが促すと、夫人たちは顔を見合わせたあと、右から順番に一人ずつが話し始めた。最後まで話を聞き、三人が話した内容は誇張されたものではなく事実だったため、ヒウロもワミーも口を挟むことはなかった。
「ワミーの望み通り、結婚式では誓いの言葉もなかったですし、予定していたブーケトスもありませんでした。公にはしていませんが、あの時着ていたドレスも私が選んだものではなくワミーが選んだものです。しかも、当日になって変更されました」
思い出せば思い出すほど怒りの感情が湧いてくるため、アンジェリカは深呼吸して心を落ち着ける。少し冷静になってから話を続ける。
「私がもう耐えられないと思ったのは、ドレスやブーケが変更されたから、結婚式を台無しにされたからではありません。一般的に一生に一度しか行わない結婚式を妹が望んでいるからといって、花嫁に我慢を強いる夫のことを私は許せないのです」
気持ちはわかると言わんばかりに、夫人たちは何度もうなずいた。
「結婚式後も妹を優先し続け、初夜の晩でさえも妹のところにいました。彼が愛しているのは私ではなく妹だと思ってもおかしくはないですよね? 少なくとも私はそう思いましたし、これ以上、馬鹿にされるのは御免です。ですから、私は夫と離婚しようと思っています」
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