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第14 話 ティータイムの話し合い
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「そんな事があったのか…」
イツースで落ち合ったのはいいものの、私がたくさんの荷物を抱えているのを見て驚いたジェリー様は、イツースの奥の休憩所を貸してほしいとお願いしてくださり、そこで私に何があったか話すように促してくれた。
本来ならば、ジェリー様の家で話す事を考えてくれていたらしいのだけれど、大荷物を持った既婚者を家に入れにくくなってしまったみたいだった。
世間の目というものがあるからかもしれない。
私が今日の朝の出来事を話すと、ジェリー様は難しい顔をした。
「相手は関係修復を望んでいるのか…」
「そうなんです。離婚は難しいでしょうか?」
「義母にあたる女性に命を狙われる可能性があるのなら、離婚する理由には十分な気はするが、別居すると言われてしまえばどうだろうな…」
「ビューホ様の浮気だけでは離婚できないという事ですか?」
「反省していると言っているんだろう? そして、やり直したいとも」
「……そんな感じでした」
裁判になった場合、ビューホ様がやつれていたりしようものなら、本人が反省しているのだから許してあげろとか、私の方が冷たい女性だと思う人もいるかもしれない。
チャンスをあげろと考える人がいてもおかしくはないものね。
でも、私の気持ちとしては、ビューホ様に限っては許すわけにはいかないわ。
だって、ビューホ様の感じだと、二度とそんな事をしないとは限らないもの。
それに本当に反省しているのかがわからない。
「円満離婚しないと長引く可能性があるな…」
「そんな…」
「とにかく、彼に不利な証拠を集めよう。彼が改心していない証拠がつかめれば、彼にその証拠を突きつけて言い逃れ出来ないようにさせれば、円満離婚をせざるを得ないだろうから。ただ、慰謝料は諦めないといけないけどな」
「離婚できるのであれば、多くは望みません。証拠があるかどうかはわかりませんが、証言は取れるかもしれません。それじゃあ弱いでしょうか?」
愛人は1人や2人じゃなさそうだし、私に協力してくださる人はいると思う。
その中の人に証拠になるものを持っていらっしゃったらいいんだけど。
「本命の愛人がいなくなったのなら、離婚に応じてくれる可能性はないのか?」
「それも思うんですが、もし、私の持っているお金が目当てなら、別れる事を拒むと思うんです」
「自分の家が破産しても、あなたの実家に転がり込むつもりなんだろうか」
「……そうなのかもしれません」
私の実家は、私が管理していた時は、かなり裕福だった。
その事をビューホ様も知っているでしょうし、ジェリー様が仰った事は間違っていない気がした。
「そういえば、私の実家は今はどうなっているのでしょうか…」
「……あなたは実家に戻るつもりなのか?」
「いいえ。ふと、どうなっているのか気になりまして…」
「調べてみるから、ちょっと待ってくれ」
「申し訳ございません! そういう意味ではないんです。もし、耳に入っている事があればと思っただけで…」
公爵令息だからって、全ての貴族がどうこうなんて把握してるわけないわよね…。
遠回しに調べてほしいって言っているようなもんだわ。
気をつけなくちゃ。
「気にしなくていい。どうせ、あなたを雇うのにあなたの実家の事も調べるつもりだったから」
「私がジェリー様の家に雇われると知ったら、家族は何か言ってくるかもしれません。それに関しては、ビューホ様もですが…」
「雇うと決めたのはこちら側だから、あなたは気にしなくていい」
「ですが…」
「使用人が働きやすい環境にするのも雇い主側の義務だと父上に言われたんだ。だから、本当に気にしなくていい」
「でも、まだ、雇用契約は結んでおりませんし…」
こんなやり取りを続けていると、マルルさんがやって来て、お菓子がたくさんのった大皿を私とジェリー様の間に置いてくれた。
すると、ジェリー様が目を輝かせた。
「今日の分だな?」
「そうです。ラノア様もいらっしゃいますから、今日は少しおまけしていますよ」
「ありがとう!」
「ありがとうございます」
嬉しそうなジェリー様に対して、私が申し訳なさげに頭を下げると、マルルさんは苦笑する。
「遠慮なく食べてくださいね。あと、お茶のお代わりもいれておきます」
相手が公爵令息という事もあるのか、場所を貸していただいているだけでなく、気を遣っていただいて、本当に申し訳なかった。
「とにかく、詳しい話は食べてからにしよう」
目の前に置かれたマドレーヌやドーナツなどの甘いお菓子にテンションが上がってしまっている様で、ジェリー様が話を続けられそうな状態ではなかったので、とりあえず話を中断する事になり、食べ終えた後に話を再開すると、とにかく、私の仮住まいを探そうという事になった。
さすがに、離婚もしていないし、まだ雇用契約を結んでもいないので、ジェリー様の家にお世話になるわけにはいかない。
そんな事をしたら、ビューホ様から、また不貞を疑われてしまうでしょうし…。
「隣町にセキュリティのしっかりした宿があるから、そちらを紹介しよう」
泊まる場所はトライト家に通いやすい場所をジェリー様に紹介してもらえる事になり、離婚成立後、私は正式にジェリー様の家に雇ってもらう事になった。
ミオナに関しても彼女が望むなら一緒に雇ってもらえる事になり、少しずつ前に進み始めたのだった。
イツースで落ち合ったのはいいものの、私がたくさんの荷物を抱えているのを見て驚いたジェリー様は、イツースの奥の休憩所を貸してほしいとお願いしてくださり、そこで私に何があったか話すように促してくれた。
本来ならば、ジェリー様の家で話す事を考えてくれていたらしいのだけれど、大荷物を持った既婚者を家に入れにくくなってしまったみたいだった。
世間の目というものがあるからかもしれない。
私が今日の朝の出来事を話すと、ジェリー様は難しい顔をした。
「相手は関係修復を望んでいるのか…」
「そうなんです。離婚は難しいでしょうか?」
「義母にあたる女性に命を狙われる可能性があるのなら、離婚する理由には十分な気はするが、別居すると言われてしまえばどうだろうな…」
「ビューホ様の浮気だけでは離婚できないという事ですか?」
「反省していると言っているんだろう? そして、やり直したいとも」
「……そんな感じでした」
裁判になった場合、ビューホ様がやつれていたりしようものなら、本人が反省しているのだから許してあげろとか、私の方が冷たい女性だと思う人もいるかもしれない。
チャンスをあげろと考える人がいてもおかしくはないものね。
でも、私の気持ちとしては、ビューホ様に限っては許すわけにはいかないわ。
だって、ビューホ様の感じだと、二度とそんな事をしないとは限らないもの。
それに本当に反省しているのかがわからない。
「円満離婚しないと長引く可能性があるな…」
「そんな…」
「とにかく、彼に不利な証拠を集めよう。彼が改心していない証拠がつかめれば、彼にその証拠を突きつけて言い逃れ出来ないようにさせれば、円満離婚をせざるを得ないだろうから。ただ、慰謝料は諦めないといけないけどな」
「離婚できるのであれば、多くは望みません。証拠があるかどうかはわかりませんが、証言は取れるかもしれません。それじゃあ弱いでしょうか?」
愛人は1人や2人じゃなさそうだし、私に協力してくださる人はいると思う。
その中の人に証拠になるものを持っていらっしゃったらいいんだけど。
「本命の愛人がいなくなったのなら、離婚に応じてくれる可能性はないのか?」
「それも思うんですが、もし、私の持っているお金が目当てなら、別れる事を拒むと思うんです」
「自分の家が破産しても、あなたの実家に転がり込むつもりなんだろうか」
「……そうなのかもしれません」
私の実家は、私が管理していた時は、かなり裕福だった。
その事をビューホ様も知っているでしょうし、ジェリー様が仰った事は間違っていない気がした。
「そういえば、私の実家は今はどうなっているのでしょうか…」
「……あなたは実家に戻るつもりなのか?」
「いいえ。ふと、どうなっているのか気になりまして…」
「調べてみるから、ちょっと待ってくれ」
「申し訳ございません! そういう意味ではないんです。もし、耳に入っている事があればと思っただけで…」
公爵令息だからって、全ての貴族がどうこうなんて把握してるわけないわよね…。
遠回しに調べてほしいって言っているようなもんだわ。
気をつけなくちゃ。
「気にしなくていい。どうせ、あなたを雇うのにあなたの実家の事も調べるつもりだったから」
「私がジェリー様の家に雇われると知ったら、家族は何か言ってくるかもしれません。それに関しては、ビューホ様もですが…」
「雇うと決めたのはこちら側だから、あなたは気にしなくていい」
「ですが…」
「使用人が働きやすい環境にするのも雇い主側の義務だと父上に言われたんだ。だから、本当に気にしなくていい」
「でも、まだ、雇用契約は結んでおりませんし…」
こんなやり取りを続けていると、マルルさんがやって来て、お菓子がたくさんのった大皿を私とジェリー様の間に置いてくれた。
すると、ジェリー様が目を輝かせた。
「今日の分だな?」
「そうです。ラノア様もいらっしゃいますから、今日は少しおまけしていますよ」
「ありがとう!」
「ありがとうございます」
嬉しそうなジェリー様に対して、私が申し訳なさげに頭を下げると、マルルさんは苦笑する。
「遠慮なく食べてくださいね。あと、お茶のお代わりもいれておきます」
相手が公爵令息という事もあるのか、場所を貸していただいているだけでなく、気を遣っていただいて、本当に申し訳なかった。
「とにかく、詳しい話は食べてからにしよう」
目の前に置かれたマドレーヌやドーナツなどの甘いお菓子にテンションが上がってしまっている様で、ジェリー様が話を続けられそうな状態ではなかったので、とりあえず話を中断する事になり、食べ終えた後に話を再開すると、とにかく、私の仮住まいを探そうという事になった。
さすがに、離婚もしていないし、まだ雇用契約を結んでもいないので、ジェリー様の家にお世話になるわけにはいかない。
そんな事をしたら、ビューホ様から、また不貞を疑われてしまうでしょうし…。
「隣町にセキュリティのしっかりした宿があるから、そちらを紹介しよう」
泊まる場所はトライト家に通いやすい場所をジェリー様に紹介してもらえる事になり、離婚成立後、私は正式にジェリー様の家に雇ってもらう事になった。
ミオナに関しても彼女が望むなら一緒に雇ってもらえる事になり、少しずつ前に進み始めたのだった。
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