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7.5 思い通りにいかない令嬢の胸の内
シドロフェス殿下が地下牢に入れられてから五日くらい経った頃、家でお母様とお茶を飲んでいると、メイドが新聞を持ってやって来た。
「ポメラ様! アビゲイル様のお話が新聞の一面に載っています!」
メイドには私とアビーが親友だと伝えているから、わざわざ教えてに来てくれたみたいね。アビーったら、もしかしてもう捨てられちゃってブツノ王国に戻って来るとか? そうだったとしたら、親友としてちゃんと慰めてあげないと!
「どんなお話なの?」
「ゼッシュ様が使う癒しの力とはまた違う力を持っておられたそうです!」
「違う力ってどういうこと? 癒しの力に違う力なんてあるの?」
「ゼッシュ様は動物を癒せますが、アビゲイル様は植物を癒せるのだそうです!」
「へえ、すごいわね!」
なんて言ってみたけれど、何がすごいの? 別に植物を癒せたって何の意味もなくない? そんなことでしか騒いでもらえないアビーは本当に可哀想だし惨めね。
この時のポメラはこんなことがわかっても何の問題もないと思っていたの。それに念の為にその日にゼッシュ様に連絡を入れても特に問題ないとも言っていたのよ。それなのに、実際は違ったの。
三日後のティータイムの時間にゼッシュ様はポメラの所にやって来て抱きついてきた。
「ポメラ、本当にごめん」
「どうして謝るんですか?」
「ポメラと一緒に行く予定だった庭園に行けなくなったんだ」
「どうしてですか!?」
ブツノ王国内は年中色とりどりの花が咲いている。そんなこともあって各国の観光客が足を運ぶくらいの素敵な庭園が何ヶ所かある。人が大勢集まるから予約制になった庭園があったのだけれど、そこは1年先まで予約で一杯だった。ゼッシュ様の力で何とか予約を入れてもらい、近々行く予定だったのに!
「一部の花が病気になってしまったみたいで、植え替えるのに時間がかかるんだってさ。植え替えたらすぐに見に行けるけど、予約は延期になった」
「そ、そんなあ……」
噂の庭園に行くのだと言うと、皆が羨ましがってくれた。それなのに行けないだなんて……!
「もしかしたら、アビゲイルの嫌がらせかもしれない」
ゼッシュ様はそう言って唇を噛んだ。
もしかして、アビーはポメラたちを恨んでいるの? だから花を病気にしたの? なんて酷いの!そんな性格だからポメラみたいに愛されないんだわ。
「……そういえば、アビーは植物の病気を治せるんですよね?」
「そうらしいけど、僕は嘘だと思う」
「嘘?」
「ああ。アビゲイルがあまりにも使えない人間だから、オブラン王国は嘘をついて他国を羨ましがらせようとしているんだと思う」
「そうだったんですね」
それなら、アビーじゃなくてポメラをもらえば良かったのに――
今、考えればオブラン王国の王太子は素敵だったし、彼と結婚すれば、ポメラは王妃になれるのよ! 人選びを失敗するなんて、王太子殿下も大したことはないわね。それに、アビーが嘘をついているんなら、それをみんなに知らせる良いきっかけを作れるんじゃない?
「ゼッシュ様、アビーの化けの皮をはがすのはどうでしょうか」
「……どういうことだよ」
「アビーに庭園の花を治してもらうのです。治せなかったら嘘がバレて、アビーの居場所はオブラン王国にもなくなります」
「でも、そんなことをするとオブラン王国が嘘をついていたこともバレてしまうから嫌がるんじゃないか」
「オブラン王国はアビーに脅されたということにすればいいのです」
「……そんなものかな」
ゼッシュ様は納得いかないようだったけれど、ポメラのお願いには勝てない。
「わかった。花を癒しに来るようにオブラン王国に連絡を入れてみる」
安心したゼッシュ様はポメラとイチャイチャしたあとに家に帰っていった。
ゼッシュ様がオブラン王国に手紙を書いた数日後、絶滅危惧種の花の治療を優先させるから、ゼッシュ様に治してもらうようにと、アビーから連絡がきたのだった。
「ポメラ様! アビゲイル様のお話が新聞の一面に載っています!」
メイドには私とアビーが親友だと伝えているから、わざわざ教えてに来てくれたみたいね。アビーったら、もしかしてもう捨てられちゃってブツノ王国に戻って来るとか? そうだったとしたら、親友としてちゃんと慰めてあげないと!
「どんなお話なの?」
「ゼッシュ様が使う癒しの力とはまた違う力を持っておられたそうです!」
「違う力ってどういうこと? 癒しの力に違う力なんてあるの?」
「ゼッシュ様は動物を癒せますが、アビゲイル様は植物を癒せるのだそうです!」
「へえ、すごいわね!」
なんて言ってみたけれど、何がすごいの? 別に植物を癒せたって何の意味もなくない? そんなことでしか騒いでもらえないアビーは本当に可哀想だし惨めね。
この時のポメラはこんなことがわかっても何の問題もないと思っていたの。それに念の為にその日にゼッシュ様に連絡を入れても特に問題ないとも言っていたのよ。それなのに、実際は違ったの。
三日後のティータイムの時間にゼッシュ様はポメラの所にやって来て抱きついてきた。
「ポメラ、本当にごめん」
「どうして謝るんですか?」
「ポメラと一緒に行く予定だった庭園に行けなくなったんだ」
「どうしてですか!?」
ブツノ王国内は年中色とりどりの花が咲いている。そんなこともあって各国の観光客が足を運ぶくらいの素敵な庭園が何ヶ所かある。人が大勢集まるから予約制になった庭園があったのだけれど、そこは1年先まで予約で一杯だった。ゼッシュ様の力で何とか予約を入れてもらい、近々行く予定だったのに!
「一部の花が病気になってしまったみたいで、植え替えるのに時間がかかるんだってさ。植え替えたらすぐに見に行けるけど、予約は延期になった」
「そ、そんなあ……」
噂の庭園に行くのだと言うと、皆が羨ましがってくれた。それなのに行けないだなんて……!
「もしかしたら、アビゲイルの嫌がらせかもしれない」
ゼッシュ様はそう言って唇を噛んだ。
もしかして、アビーはポメラたちを恨んでいるの? だから花を病気にしたの? なんて酷いの!そんな性格だからポメラみたいに愛されないんだわ。
「……そういえば、アビーは植物の病気を治せるんですよね?」
「そうらしいけど、僕は嘘だと思う」
「嘘?」
「ああ。アビゲイルがあまりにも使えない人間だから、オブラン王国は嘘をついて他国を羨ましがらせようとしているんだと思う」
「そうだったんですね」
それなら、アビーじゃなくてポメラをもらえば良かったのに――
今、考えればオブラン王国の王太子は素敵だったし、彼と結婚すれば、ポメラは王妃になれるのよ! 人選びを失敗するなんて、王太子殿下も大したことはないわね。それに、アビーが嘘をついているんなら、それをみんなに知らせる良いきっかけを作れるんじゃない?
「ゼッシュ様、アビーの化けの皮をはがすのはどうでしょうか」
「……どういうことだよ」
「アビーに庭園の花を治してもらうのです。治せなかったら嘘がバレて、アビーの居場所はオブラン王国にもなくなります」
「でも、そんなことをするとオブラン王国が嘘をついていたこともバレてしまうから嫌がるんじゃないか」
「オブラン王国はアビーに脅されたということにすればいいのです」
「……そんなものかな」
ゼッシュ様は納得いかないようだったけれど、ポメラのお願いには勝てない。
「わかった。花を癒しに来るようにオブラン王国に連絡を入れてみる」
安心したゼッシュ様はポメラとイチャイチャしたあとに家に帰っていった。
ゼッシュ様がオブラン王国に手紙を書いた数日後、絶滅危惧種の花の治療を優先させるから、ゼッシュ様に治してもらうようにと、アビーから連絡がきたのだった。
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