落ちこぼれ令嬢ですが新天地で幸せに暮らします!

風見ゆうみ

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17.5  伯爵令息の胸の内(ゼッシュ視点)

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「どうしてポメラを裏切ったんですか!」

 地下牢の中でポメラは僕を睨みつけて叫んだ。乱暴な扱いを受けたのか、ドレスは汚れて唇が切れているのがわかる。暴れるから殴られでもしたんだろう。

「先に裏切ったのは君じゃないか。シドロフェス殿下とも繋がっていただなんて……」
「ポメラはゼッシュ様の恋人であって、正式な婚約者ではありません。自由に恋愛しても良いはずです」
「恋人がいるのに自由に恋愛なんておかしい!」
「恋人がいても好きな人ができることはあります!」

 ポメラが言い返してきた。

 どうしてポメラはわかってくれないんだろう。ポメラは可愛いし最高の人だ。だからこそ、僕だけのものでいてほしいのに―― 

 でも、もう無理か。彼女は僕にふさわしくない。

「わかったよ、ポメラ。僕と君は合わないんだ」
「……ゼッシュ様?」

 先ほどまで強気な表情を見せていたポメラの顔が引きつる。

「さよなら、ポメラ」
「ちょ、ちょっと待ってください、ゼッシュ様! ポメラはどうなるんですか!? ここから出してください! 助けてくれるなら何でも言うことを聞きますから!」

 ポメラの悲痛な叫びが聞こえてくる。でも、僕は歩みを止めなかった。

 ポメラは第二王子を誘惑しただけでなく、僕を操り、アビゲイルを他国に引き渡すように操作した悪女だ。

 僕は何も悪くない。ただ、ポメラを純粋に愛していた一人の男だ。裏切られたショックで目が覚めた。

 僕に必要なのはポメラじゃない。アビゲイルだ。彼女を僕のサポートにまわらせて、実績をあげる。そして、今度こそ素敵な人と恋に落ちるんだ。

 もうポメラは用無しだ。

「ゼッシュ様ぁっ!」

 ポメラはしつこく僕の名を呼んでいた。助ける気などまったくない。ついでにシドロフェス殿下の様子を見に行くと、骨と皮まではいかないけれど痩せ細っていて、昔の彼の面影などなかった。

 自業自得だ!

 人生の勝ち組は僕一人だけでいい。

 僕は早速、国王陛下の元へ向かい、ポメラの処刑を要求したのだった。

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