【完結】婚約者から「内縁の妻と子供がいるけど、縁を切るからもう少し待ってて」と言われましたがお断りします

風見ゆうみ

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7   婚約者の言い分 ③

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 昨日、ナレーシャがノヴァとラピートに手紙を送っていたが、彼らのもとに手紙が届くのは約三日後から五日後の予定だった。
 だが、これはナレーシャの予想であり、実際はある理由で、その手紙はノヴァたちのもとに届くことがない。
 それなのになぜノヴァがこの場にいるかというと、ルリファたちが旅行に行くと聞いて、ラピートと共に二人を驚かせようと、こちらに足を運んでいたからだ。

 ナレーシャの両親にはその連絡が入れられていたため、別荘の使用人たちは彼らが来ることを知っていて、段取りも終えていた。

 四人で夕食を取りながら、主にナレーシャがコートマとアグリーの件を話した。

 話を聞いたノヴァたちがコートマを許せるはずもない。
 本当ならばノヴァたちは宿に泊まるつもりでいたが、コートマを待ち受けるために、別荘に宿泊していた。

 コートマの弟であるラピートもこの場にいるが、今はわざと姿を隠していた。

「どうして君がここにいる?」
「ナレーシャとルリファが旅行に行くと聞いて、久しぶりに会いたくなったんだよ。だから、二人には何も言わずに近くまで来ていた。僕たちは幼馴染だし、会いたくなることはおかしくないよね」

 ノヴァはルリファとコートマの間に立って微笑んだ。

 漆黒の艶のある髪に血のような赤色の瞳を持つノヴァは、眉目秀麗ということで女性から人気があるが、婚約者はいない。
 選ばれた女性が危害を加えられる可能性があるという理由で決まっていないことになっているが、この理由は建前上のものである。

「ノヴァ、君は相変わらずだな」
「どういう意味?」
「幼い頃からルリファに付きまとって嫌われていたよな」
「それは誤解です。昔は苦手でしたが嫌ってなんていません」

 ルリファはコートマの話をすぐに否定した。
 幼い頃のノヴァは、素直になれない少年で、気になっていたルリファによくちょっかいをかけていた。

 二つ下のルリファには、彼が自分に意地悪をしていると思い、苦手だった時期もあった。

 成長していくうちに、ノヴァはたまにからかうことはあっても、ルリファが本当に嫌がることはしなくなった。ルリファも昔の彼の行動が自分のことを嫌っていたからではないとわかるようになった。

 だから、今のルリファにはノヴァに対して悪い感情はない。コートマの発言で、彼の二人への興味は、子供の頃で止まっていたのだとわかった。

(手紙にも書いたのですが、ちゃんと読んでくださっていなかったのですね)

「そうか。それは悪かった。でもさ、友人だからといって婚約者で恋人同士である俺たちの話に無理矢理入ってくるのは違うんじゃないか?」
「婚約者で恋人同士? そう思っているなら、どうして浮気しただけじゃなく、子供まで作っているのか知りたいね」
「アグリーが勝手に生んだんだ。俺はおろせって言ったんだけど生んじゃったんだよ。俺には関係ない」
「だから、簡単に縁を切るなんて言えるのか」
「そうだ」

 ノヴァの問いに、コートマは微笑んでうなずいた。

(どうしてコートマ様は、自分の発言が非常識なことだとわからないのでしょうか)

 ルリファは怒りと恐ろしさを同時に感じながら、コートマに尋ねる。

「コートマ様、昔のあなたは女性は守るべきものだとおっしゃっていました。それなのに、どうしてアグリー様を守ろうとしないのですか?」
「例外があるんだ」
「……例外?」
「アグリーは俺と浮気した。俺の中では、悪いことをする女性は守る必要なんてないんだ。だから、そんな女性が生んだ子も可愛くなんてない」

 浮気相手は自分であるにも拘わらず、笑顔で答えたコートマを、ルリファは呆然とした表情で見つめた。


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